第2話 猫

 ハイサイ!

 子供の頃、家族でドライブが凄く楽しかった。

 両親はアクティブの人達で休日は必ず何処かへ連れって行ってくれた。

 その日も本島北部だったと思う、をドライブしていた。車の後部座席でボーと外を見ていた。

 都市部を離れ鬱蒼とした森の中を走っていた。

 結構深い所を走っていたと思う。

 気分はウキウキでこれからどこに行くのか楽しみで仕方なかった。

 木々が流れていく中、同じ景色に少し退屈になってきた時に目につくものがあった。

 木の上で何かがブラブラと揺れているのである。よく見ようと窓に乗り出した。


 死んだ猫だった。


 猫の死骸が木の天辺に吊るされていた。

 一匹だけではなく何本かの間隔で何匹も何匹も吊るされていた。

 等間隔で吊るされた猫は凄く不気味だった。

 木が風で揺れその先の下で左右にブラリブラリと力なく猫が揺れる。森は少し薄暗く、雨が近かったのかと今では感じる。とにかく酷く怖くなり前に向き直った。

 ビックリしすぎて声も出ないとはあるものだ。

 そして何故か見てはいけないものを見た気がして両親に言うことができなかった。

 

 いや今思えば多分父親にいえばそれを見るために車を止めると思ったのだろう。一刻も早く通り過ぎたかったのだと思う。

もしかすると何か不吉の物が追ってくるような感覚だったかもしれない。

 その後、楽しい気持ちに切り替えられる訳もなく急に大人しくなった私を見て両親も心配だっただろう。

 それから暫くは本島北部に行くのが嫌になった。あの時、猫の顔が見えなくて良かったと思う。

 あれから長じてから調べると、沖縄のある地域では猫が死ぬと化けないように木に吊るすのだという。なぜ吊るすのかはまだ判らない。

 後から聞く話ではあるユタは猫の心臓を使って生き霊を飛ばすらしい。

 あれは心臓が取られた後の猫だったのか?そんなことをする人間の方がよっぱど怖い。

 しかしそんな風習がほんの30年ほど前まで、まだ行われていた事が今では怖い。

 今でも昔の因習が残っている地域はまだまだ沢山あるのかもしれない。

 あれから大人になった今でも本島北部に行くと、ふと見上げることがあるが終ぞ見かけることは無かった。

 なくなったのかそれともまだ密やかに行われているのか・・・。

 実はまだそういう因習、風習の名残が筆者の子供の頃はまだ残っていたので今後ご紹介したい。

 

 ところで筆者は猫を飼っているが、猫に長生きすると猫又になるというが是非なってほしいものである。

 

 またやー。


 

 

 

 

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