第4話:

師匠①

 わたしはもともと姉が嫌いだった。


 わたしよりもずっと賢く。


 わたしよりもずっと健康的で。


 それに引き換えわたしの頭は平凡で。


 健康面に至っては隣に住むおばあちゃんの方がずっと元気だった。


 双子だというのにこの違いはいったい何だというのだろう。


 これではまるで、わたしが姉の出涸らしみたいじゃないか。


 それにお父さんを独占しているのも気に食わない。


 代わりにわたしはお母さんを独占していたが、それはわたしが病弱で傍に付いてくれているだけにすぎない。


 それはわたしが望むものとはかけ離れていた。


 姉のあの幸せに満ちたあの笑顔を見る度に、わたしの中でドス黒い何かが大きくなっていくのを感じる。


 それが、殺意にも似た感情に変わった。


 あの日、あの女が風邪をこじらせたりしなければ、あんなことにはならなかった。


 お母さんと二人でクエストに挑んでさえいれば。


 そうすればお母さんだって……!


 姉が――あの女が憎い。


 あの女さえ居なければ、わたしは幸せでいられたのに!


 死ね。死んでしまえベアトリス!


 わたしの前から消えてなくなれ!

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