20話

王都はほんとに賑やかだ。

朝から露店がたくさんあるし、そこに売られているものを買いにたくさんの人が来ている。

平和だ。とてもいい世界だと思う。

そんなことを考えながら歩いていると、見えてきた。


王立メリュディス魔法学校。


世界一と言われるのも納得の大きさだ。

というかここ辺りからちらほらと学校に向かう人の姿が見える。

さすが各方面からやってくるだけあるな。

門扉のところに受付をしている人物がいたのでそこに向かうことにした。


着いた頃には少し列が出来ていたがそこまでだった。


「すみません」

「受験の方ですか?お名前をどうぞ」

「アルライト=ノクオーツです」

「…あら?あなた貴族ですか?」

「あ、はいそうですが…」

「こちらは一般受付になっております…少々遠いのですが正反対にも門扉があって、そちらで貴族受付していますので…」

「そうなんですね、ありがとうございます」


まさかの正反対。一緒に受けたらダメなんだな。

急いで向かうと見るからに派手な色の門扉と、高そうな服を着た受験者たちが歩いていた。

顔見知りには会いたくないな。一応地元に私以外二人の貴族がいた気がする。

あと師匠が言っていた「国王の家系に一人、荒っぽいのがいる…」この辺も気を付けておけばいいだろう。

受付に着いた。一般の方を担当していた人とは見た目が全然違う。

貴族に失礼なく対応するための結果だろう。


「お名前を」

「アルライト=ノクオーツです」

「………はい。名前を確認いたしました。こちら受験番号が書かれたバッジです。胸元に付けてください。」

「わかりました」

「学力テストから始まります。順路は書いてありますのでそれに従い進んでください。座席は受験番号が書かれた場所にお座りください。それでは」


ちょっとバッサリしてたけど悪い感じじゃなかったな。

というか、みんなノクオーツという名前を聞くと少し顔が変わるのだが…なぜだろう。

そんなことを考えながら会場へと進む。


3階まで階段を上り、広い廊下を真っ直ぐ進み突き当りを右に。

さらに真っ直ぐ進んだ先にある教室…ではなく、講堂が試験会場らしい。

中に入るとあまりにも広い空間がそこにはあった。

こんなに広かったっけ?と思うぐらい。


『空間魔法じゃな。規模はまぁまぁと言ったところか。あとは…妨害魔法も張られておるな。ま、神である私らには効かんがな』


カンニングし放題じゃん。やらないけど。

受験番号を確信しながら自分の席へと着く。

今更だけどこの空間、あまりにもピリッとしすぎていて呑まれそうだ。

一気に緊張感が押し寄せてくる。


時間になるまでは教本を読んで過ごしていた。

割と心を落ち着かせていたつもりだったが、手汗がびっしょり。

本を持っていた部分が若干湿っている。

教壇に一人の男性が立った。


「これから試験を始める。全員、机の上には筆記用具のみにしろ。試験に関係ない物はしまいなさい。そして受付で渡されたバッジをカバンに付けなさい。」


言われた通り、教本をカバンにしまいバッジを付けた。すると―

【確認しました―拘束魔法を発動します】

とどこからかアナウンスが流れて…カバンが拘束された。


「このバッジには拘束魔法がかけられてある。この会場内でのみ発動する仕組みだ。試験が終われば解除されるから安心してほしい。」


なるほど、これだけ広いわけだから監視の目が届かないところでカンニングする人がいるかもしれないからか。というか過去にそういうことがあったからこうなったんだろう。


「ふむ……受験番号576番!バッジがカバンに付けられていないようだが?」

「す、すみません!今付けます…」

【確認しました―】


「…もしかしたら不必要なものをカバンにしまわずバッジを付けた者がいるかもしれない。万が一そのような行為を発見した場合、最悪その場で失格となる。いないとは思うが最後に確認しておく。そういうことをした奴はいないな!?いるなら申告しなさい。減点で済ませます」


流石にそんなことする人はいない―――


「す、すみません」

「私も…」

「俺も…」


????????????

今申告した人の声だけで10人以上いたが。

どうなってんの…?


『不穏じゃのう』

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