18話
「そんな第三王女様がなぜここに?」
「それは~~~…と、隣町に出かけていたんですの!」
この反応、絶対何かあるな。
「そ、そんなことよりあなたの名前は?名乗ったんだから名乗り返しなさいよ」
「……アルライト=ノクオーツです」
「ふーん、アルライト=ノクオーツねぇ…ん?ノクオーツ…?ノクオーツ伯爵の…?」
「どうかしたんですか?」
「い、いえなんでもありませんわ!ところでアズはどうするのですか?」
「目が覚めるまで待ちたいんですけど今日中には王都に行きたいので…」
あまりにも事が転々としていて忘れていたが今日中に王都に着かないと大変なことになる。日を見るとやや正午を過ぎたあたりだろうか。
「あら、じゃあ一緒に行きますか?一人でアズの面倒を見るのも大変でしょうから。今から行くとそうね…門限ギリギリに着きそうね。ま、最悪顔パスで入れるからいいわ、行きましょ」
「ありがとうございます」
さすがにここから徒歩で王都に向かうのは無理なのでとりあえず僕たちが使っていた馬車に戻った。数キロ先にあるので普通に時間はかかった。
そこから王女様に道を教えてもらいながら何事もなく辿り着くことが出来た。
門限は普通に間に合ったし、なんなら検問所もたくさんの人だったが顔パス&急患(師匠)ですぐに通してもらえた。僕は命の恩人として扱われた。
王都に入ってからは王族も通う大きい診療所に直行し、診察を受けた。
強い衝撃で一時的に気を失ってるだけとのこと。他は特に目立った損傷も無く、光魔法の【
てことでかけてもらった。
本来なら銀貨8枚ほどもらうそうだがここも第三王女の顔パスで
「……うーん」
「アズ!」「師匠!」
「二人とも無事…ってあのオオカミは!?」
「アルライトが倒s…「逃げ切ったんですよ師匠!!!」
「「は?」」
「ね!?クルメリアさん!?」
「え、いやあなた…」
「ね!?」
「…そうね。そう、逃げ切れたのよアズ!やっぱりオオカミは自分のテリトリーから出ないんだわ!!」
「ふーん……まぁ無事で良かったわ」
その後30分ほど様子を見て大丈夫そうだったので無事退院した。
辺りはすっかり暗くなっている。
第三王女様とは診療所で別れ、師匠に道案内されながら歩き始めた。
これで普段通りかと安心していると腹が鳴った。
「あはは、迷惑かけてごめんね。ご飯はもう少ししたら食べれるから我慢してね」
「す、すみません…」
「ねぇところでさ、私が気を失う前に君の声が聞こえたんだけど…気のせい?」
「え!?あー、気のせいじゃないですかね~?魔法使えるわけでもないし」
「そうだよね。幻聴…?いやそんな音聞こえる歳じゃないはず…」
「そ、そういえば今どこに向かってるんですか?」
「私んち」
「へ、へぇ…」
「………」
「………」
しばらく沈黙が続いた。
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