16話
師匠は死なせない。
魔法が使えなかった頃からの弟子だ。でも今は違う。
変わった方法ではあるけど使えるようになった。
心強い二人もいる。片方は冷たいけど。
準備をしていたが嫌な気配がした。
『主、急げ。まずい』
「わかってる」
『あとなんでもいいからその魔法を発動した後に使う魔法も書くのじとまるゃ。止まるものが無ければ壁に激突じゃぞ』
急いで紙に魔法陣を書き上げた。間に合ってほしい。
自分の中では精一杯頑張っているが、この方式で複合魔法を書くのはすごい時間がかかってしまう。間違えればそのままドカンだし。
止まるときに使う魔法も考えた。
不慣れなこともあり、書き上げるのに五分弱かかった。
リーンからは遅いと言わんばかりの眼差しを向けられている気がする。
ここからは前と同様。
外に流れている魔力を感じ取り、それらを使い魔力回廊と魔法陣を共鳴させる。
魔法陣が光った。これは成功したと思ったと同時に遠くで爆発したような音が聞こえた。
「あそこか。【疑似:ライトニング】!!!」
魔法が発動した瞬間、何もかもを置き去りにしていた。
速すぎる。こんなに早いと身動きが取れないのではと思っていたが予め準備していた他の魔法が役に立った。
【
普通にやろうとするととても難しい技で、師匠でも出来ないぐらいだ。
高度な技術がいるかと思いきや実は神様から教えてもらった方法なら簡単に使える。
もしかしたら昔の方法っていうのは割とチートなのかもしれない。
そして今使った【
発動してから約三十秒。師匠の姿が見えた。
「師匠おおおおおおおお!!!!!」
地面に落ちていくギリギリで師匠…ともう一人の女性を助け出した。
さすがに自分の腕力じゃ一人が限界だったので申し訳ないけどあらかじめ用意していた魔法【クッション】+【付与:衝撃吸収】で助けた。実はぶっつけ本番で使った組み合わせなのだけれど、上手くいったみたいでよかった。
女性が少し離れたところで僕も止まった。
「大丈夫ですか!師匠!!」
「どうして君が…ここに……」
『気を失ったの。ま、ちょうど良いが。さて主、倒すべき敵が後ろで私らを観察しておるぞ』
『失敗したら承知しないわよ』
「気を付けます…」
『いいか主。私らが合図したら抜刀しながら【花散り】と言うのじゃ』
「わかりました」
改めてオオカミをしっかりと見た。
物理も魔法も効きにくそうな毛並みに禍々しいオーラ。
正直それだけで怖気づきそうだが、今は神様とリーンがいる。
だが先に女性を魔法ごと動かして師匠の近くに移動させた。
これで何も問題はない。
『主、こちらも準備オッケーじゃ』
「了解」
刀の柄を握る。自分の中に魔力が流れ込む。
神様とリーンが詠唱を始めた。
オオカミはそんなもの効かぬぞと言わんばかりにニタッと笑みを浮かべる。
なんならお座りもして舐めプをしている。
『愚かじゃ』
『かわいそうな頭』
『『儚く散れ』』
「――【花散り】」
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