8話

なんやかんやあって退院した。

先生は定期的に来てくれとのことだったのでこれからも通うことになりそうだ。


久しぶりの我が家は何事もなかったかのように元通りである。

凄腕の人たちが三日ほどで直してくれたそうな。


「ただいまー」

「アルライト様!? すみません、今お呼びしますので!」

間もなく―

「使いを出すと言っただろう馬鹿者!連絡ぐらい寄越さんか!」

「あはは…ごめんなさい」

「まぁ、無事に帰ってきてくれて何よりだ。おかえり。ほら。お前も何か言ったらどうだ。」

「え、っと…アル君…」

「母さん……ただいま」

「…おかえり」


これまであまり触れてこなかったが母さんと僕の間には変な隙間があるせいでぎこちないのだ。不仲、というほどでもないのだけれど。


「おかえり、アルライト君」

「ただいま、師匠」

「その…悪かったわね。師である私がちゃんとしてなかったから…」

「大丈夫ですよ。体の方も治りましたし」

「そっか…」


師匠は複雑な顔をしながら笑った


―――――――――


「さて。ティルムよ。いくつか聞きたいことがあるのだが」


父の応接室にて―

僕と師匠、ティルムと父さんで集まっている。


「ティルム。お前はこれからも魔法を使って行く覚悟が出来ているか?」

「は、はい…出来てます」

「自分の力を過信していたか?」

「…はい」

「はぁ……あまり自分の力を信じすぎるなよ。謙虚になれ。わかったか」

「はい」

「次にエルレイト」

「は、はいっ」

「ちゃんとティルムを見てやってくれ。次はないぞ」

「はいっ!」

「アルライト。お前からは何かあるか?」

「んー、特には無い…あ、ティルム。もしかして上級魔法発動したときに精霊でも見た?」

「え、あ、うん。見ました…トカゲっぽい見た目の…」

「「「サラマンダー」」」「か」「を見たのか!?」「!?」

「どうしてその存在が…それで、何が関係しているのだ」

「父さん、おそらくサラマンダーはティルムに威圧か何かのスキルを使ったんだと思う」

「それが影響した、と。辻褄は合うが…そんなことあるのだな…。まぁなんにせよ、今回のお咎めはなし―と言いたいところだがティルムはしばらく座学でもしていなさい。エルレイトかアルライトに教えてもらえ」


――――――――――


この世界で火、水、土、風の魔法を使うには精霊の力を借りる必要がある。

下級は並大抵の人は感じられないほどの弱い精霊から。

中級は大半の人が感じることができる存在の精霊から。

上級は逆に精霊が強すぎることもある。

例外としては聖属性と闇属性の魔法だ。

この二つは自身の魔力回廊に流れている魔力しか使わないので魔法の腕もその人次第になる。


ちなみに今回のサラマンダーが顔を見せた、ということは…ティルムには極級魔法を使える素質があるということ。

極級魔法…使えるだけで兵器のように扱われる存在になってしまう。

いつになるかは分からないけどちゃんと守らないとな。

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