2話

起きた。久しぶりに過去の夢を見た。


アルライト=ノクオーツ、15歳。

あの日から父と母に魔法を教えられながら初等学校に通った。

どうにか頑張ってやってみるが魔法が発動することは一度もなかった。

10歳の頃。父が師を雇った。


「私はエルレイト・アズリーム。どれぐらいの付き合いになるかわからないどよろしくね」


後々で知った話なのだが王都で5本指に入るほどの実力なのだとか。


師匠が来て1日目。魔法適正がわからないことを告げると身体の至るところを触られた。


「ふむふむ…あら…えぇ?…あなた体内の魔力回廊とんでもないことになってるわよ。過去になにかあった?」


魔力回廊。

人類や魔物。魔法を使う生命体には必ず存在する器官である。

僕はどうやらこの回廊が治るかも分からないほどズタボロらしい。

師匠曰く、無理やり使えば死ぬ―――と。


しかし過去に何かあったなんて僕にはわからない。

子供の頃の記憶なんてそう長く覚えていられないから。



―――――――――



僕には二つ下の妹がいる。

ティルム=ノクオーツ。


「お兄ちゃんだいすきー(棒)」


…感情はあまり表に出ないがこの通りお兄ちゃん大好きっ子だ。

そんな妹は火、水、風、聖の魔法、四属性適性である。

しかも聖属性の魔法はかなり希少であるため将来有望だとか。


その妹も師匠が見てくれるようになった。むしろ妹中心になった。

当然か。


魔法適正の結果が出てからというもの僕はよく妹と比べられるようになった。

初等学校ではまだヒソヒソと話されるぐらいだったが、中等に上がってからは腫れ物扱いされたり蔑まれたり。高等に通うのが正直憂鬱である。

もういっそ学校には行かずに屋敷の書庫に閉じこもるのも一つかもしれない。

無理やり使えば死ぬと言われた以上、魔法の知識だけは付けようと本を読むようになったのだ。初めは気が進まず嫌々読んでいたが、案外面白いと感じてから好きになった。



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