1話

「アルライト=ノクオーツ―これより魔法鑑定儀を行う。水晶に手を当てよ」


―これは七歳のときの記憶


「なっ…なんだこの光は!?見たことがない!!」

「私たちも一気に名声が上がるわ。ねぇ?あなた」

「あぁ。神童の誕生、だな」


かつて見たことないもない光に聖堂は包まれ、誰もが期待した。


「鑑定結果!!……ん?」

「どうした?」

「い、いえ…それが…」


「鑑定結果、アルライト=ノクオーツ―魔法適正…なし」


神官から告げられた、絶望の言葉。

魔法がすべてと言っても過言じゃないこの国での魔法適正なしは、この先とてつもないいばらの道を歩むことになる。そしてそれは自分だけでなく子を産んだ親にも影響を与えてしまう。


「神官…つまらん嘘はやめよ」

「嘘ではありません!ただ、正確には魔法適正欄にもやのようなものがかかっておりまして…私たちでは判断することができず今は適正なしとさせていただいたのです」

「ふむ…この靄が晴れない限り何が使えるかわからない、ということか。どうしたものか…」


僕を見ながら戸惑いの表情を浮かべる大人たち。


「吉と出るか、凶と出るか―わからんがある程度歳を重ねるまでは世話を見よう……これでも一人の親だからな」

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