最弱、最強になる

捌之灯 恵毬

――

とおいとおいむかし。

あるところに名も無き神がいました。

その神の影響で人々は魔法を使うようになりました。


しかし。それをよく思わない神達がその神を幽閉した。

気付けば世界から名も無き神の魔法は消えた――



「はぁぁぁぁぁぁ~…退屈じゃ。話し相手はおらんし―わしの魔法は消えてるし。このまま信者がいなくなれば消えてまう。はて、どうしたものか…」


幽閉された地で名も無き神はため息を一つ零し、手元に置いてあるそれに目を落とす。


「誰かにこの刀を、紡いできたわしの思いを託したい………そうじゃ、あの魔法を使えば。神達の記憶からわしは消え、代わりに何百年後の時代に飛ぶ…」


生涯誰に教えることもない、一度しか使えない秘儀。

愛刀を抱えていざゆかん。


「時空跳躍」

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