第73話 8m級鬼 3
指揮車両ではなく、応急的に準備された建物の会議室、超犯罪科の鬼斬さん達、言葉に出さないが、仲間が亡くなり辛いというのが感じられた。
「 神々廻君、私この件から手を引きます、戦っても無駄死にするだけだって思ったから 」
服部さんははっきりとそう言った、なんか立派だと思う、逃げるのが卑怯だとか感じない。
8m級と5m級は、封鎖網を無造作に突破し、人間を蹂躙している。
服部さんだけでなく、一般参加の4人のうち3人が事態した、俺は不参加を命じられているので結局一般からの参加は無しになっている。
魔道所長の判断で、各個撃破できる、距離が開くまで、待機となった。
人間が殺されていく。
8m級鬼の映像、ドローンや周辺の監視カメラから送られてくる、こいつ左の拳を突き出す瞬間、腕を後ろに引き寄せる癖がある、足を踏みつける瞬間、腰を落とす癖がある。
枝垂桜と紅桜と、動きを観察、「 ご主人様、斬れます 」斬り込むタイミングは紅桜が見極め、枝垂桜で突き刺す。
一升瓶より大きなのを、ぶら下げて、どうどうと練り歩く鬼。
神サイズ! うらやましなんて思ったのは男の秘密である、人の味方だったら手を合わせて拝みたい。
なぜだろう、俺がこいつを討伐するしかない気持ちが体の奥底から湧き上がって来る。
相談したところで、止められる。
「 やってやる 」黙って外に、警視庁の整備担当者が、愛車ドレイクを整備してくれていた、いつでも最高の状態で使えるように、人は自分ができる事を精いっぱいやっている。
「 お気をつけて 」整備員の人に見送られ、8m級鬼に向かう。
実は、それほど怖くなかった、むしろ人が死んでいくほうが、精神を削られた気がする。
鬼斬達は、3匹の鬼を、モニターで見ていた。
「 神々廻君! 」
8m級鬼に黒い単車が急接近、単車が横を向く、人が飛び降りる、単車はUターンして走り去る、両手に剣を持った、人が鬼に向かって走る。
足が振り下ろされる、完全に避けたのに、鬼が纏う妖気で弾き飛ばされた、カーボンナノファイバー製のバトルスーツがいきなり引き裂けた。
右拳が、風の唸り音を揚げ迫って来る、紅桜でいなしながら、飛びのく、体勢は崩れてない、喧嘩殺法、武道を習得している動きではないが、驚異的な運動能力、どんな体制からでも攻撃を仕掛けて来る。
攻撃をいなして、避けて、避けて、避け続ける、粘りに粘った、左腕を引く、「 今です! 」8mもあると、近くだと足しかみえない。
膝の裏側を斬る、鬼はカクてなってバランスを崩した。
顔が視界に入る、首筋に一閃、噴水のようの血が吹き上がる。
狂ったように、足で踏みつけ、拳を叩きつけてくる、飛びのき、転がり、走り、逃げまくる、「 左! 」「 後ろ! 」逃げる方向の指示、鬼なんか観てない、言われた方向に逃げるのみ、鬼が纏う瘴気でなんとなく動きが読める「 左に飛んで! 」拳が落ちて来て、アスファルトの道路にめり込む、枝垂桜を横殴りに振る、リストカット成功である。
首から血を吹き上げ、右足の膝の後ろから血を流し、手首からも血を吹き上げているのに、眼はギラギラ、怒り狂っている。
「 ご主人様、動きが遅くなりました、じっくり見ればいけます 」
天然理心流二刀流の構えを取り、鬼の真両面に、鬼は叫び声をあげているが、襲ってこない、こっちを警戒しだしている。
腰を落とす動き、右足は怪我をしているので、左足で踏みつけてくる、右に飛んだ、予想的中、軸足として残っている、右足のアキレス腱切断。
のたうち回り転げまわり、建物を破壊、深追いはしない、弱るまで様子見、10分ほどのたうち回り、動きが緩慢に、喉を更に深く切裂くと、猛烈な花吹雪が舞い上がるように、鬼の体は消えていく、枝垂桜と紅桜からドクン、ドクン、ドクン、ドクンと鼓動が伝わってくる。
「 ふぅぅ 」気づいたら全裸、鬼の血で全身くまなく真っ赤。
瓦礫の中に座り込む、服部さんに抱き着かれた、いつの間にか鬼斬が俺の周りにそろっていた。
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