第71話 8m級鬼 1

 妖刀風殺関係で俺の仕事は終わったわけだ、俺ん家で、お袋とまったり、登校前、朝飯を食いながら、モーニングテレビ番組を観ている。

 下呂は両手を失ったが無事保護された、死んでなかったので、ホッとしている。


「 妖刀風殺が憑依した下呂に、捕まり無事に救出された三田村アナウンサーです 」


 ぶぅーーーっ! コーヒーを噴き出してしまった。


 登校前必ず見ている、モーニングテレビの女子アナだった。

 童顔、巨乳、足が綺麗、三田村アナウンサーのニュースを聞くだけで元気が出る逸材。

 毎朝元気をもらっていた、引き出しにしっかりしまい込んだ記憶を探る。


「 なぁーーーっ! 」 顔はそれなりで童顔、貧乳ってもんじゃねぇ乳首しかなかった、足は綺麗で、股の部分は剛毛。


「 こいつかぁーーーっ! 」


 テレビに映っている三田村アナ、お乳の部分がドォーーン。


「 は、犯罪だぁーーっ! 」

「 猟! 落ち着きなさい、どうしたの 」


 顔は化粧で化けて、お乳は無いのに巨乳、おもいっきり惑わされていた。

 純真無垢な男心をもて遊ぶ悪女、日本中の男を惑わしている凶悪犯罪者がテレビに出ている。

 スッピンで全裸だったので、気づかなかったというより、ここまで外見が違ったら、わかるはずねぇ。

 登校中、本田や松村三田村アナの巨乳について白熱した意見を交わした事さえある、何をおいても、逮捕すべきだと俺は思う。


 なんて世界だ、顔はスッピンをみるまで、綺麗なのかどうかわからないし、生乳を観るまで大きいのかチッサイのかもわからねぇ、真実は謎に包まれたまま、純情無垢な男子高校生は惑わされてしまうのか。


 テレビのチャンネルを変えた、つつましやかな膨らみだけれど、顔はいいアナウンサーが出ている朝番組に変更、今後はこのチャンネルを観る事にした。


「 なるほど、陽子ちゃんに似ているかもね 」

 ぶぅーーーっ!

「 もう、何回噴き出すの 」


 ニュースの内容はチャンネルを変える前とほぼ同じ、唖煩渓谷の断崖絶壁の谷底に流れる急流の川底に沈んだ妖刀風殺の回収作業。

 200人近い人を斬殺した妖刀の回収である、怪しげな恰好をした、祈祷師、霊媒師などが集まり、消防、警察、自衛隊、それにマスコミ、ごった返している。

 その場で俺が回収しなかったのは、総勢16人もの全裸女性が目の前に、すっかり頭から抜けてしまったのは、男なら当然である。



 古墳調査

 過去歴大学の古墳調査の生放送、古墳から巨大な石碑が発見されたと話題になっていた、その石碑を掘り出している中継である。


 過去歴大学とは、考古学を主に、遺跡の発掘、古文書の解析、などで多くの実績がある学校である。


 地中に埋まっている石碑の上に、櫓を組み、電動滑車が取り付けられ、モータによりケーブルを巻き上げると、徐々に地中の穴から巨大な石碑が持ち上がる。


 弁護士事務所のテレビで、報道番組がナマ中継しているのを何気なく観ていた。

 石碑の重さに耐えられず、櫓の基礎が壊れた、櫓が崩れ、巻き上げのロープが音を立てて切れる、石碑が落下、途中から滑車を支えていた柱が折れた。


 次の瞬間、鬼が映っていた、逃げ惑う人を鷲掴み、口に放り込む、映像が途切れしばらくお待ちくださいに変わった。


 形態のバイブレーション、TELを取る。


 モニターには、鬼の映像が映し出されると同時に、情報が出ている。

 8m 級 1匹、5m級 4匹。


 場所の情報、8m 級でかすぎる鬼、記録上最大の鬼、不用意に接近禁止、地域封鎖、鬼斬は指定の場所に集合。


 服部さんか確認の電話があった、ここからだと片道 4時間ほどかかる、どうするという問い合わせだった、とりあえず行くと答えた。


 超犯罪科にも、現地に向かう事を連絡。


 愛車ドレイクで高速道路を走る、メットに取り付けられた端末から情報が次々に入ってくる。 


 警察による封じ込め失敗、鬼は暴れまわっている、テレビで少し放映されてしまったことから、やじ馬が殺到、収拾がつかなくなったところに、鬼が突っ込んだ、数百人の死傷者が出た模様、自衛隊が地域封鎖に動いている、周辺住民の避難など大混乱。


 パトカーが破壊され、警察官が拳銃を発砲、鬼は傷つかない、地上攻撃用のヘリが現地に、ミサイルによる攻撃も無駄に、空中を飛んできた電信柱に報道機関のヘリが串刺し、空中を飛んできた車と激突、攻撃ヘリまで破壊、鬼は暴れまわっている。


 鬼、妖怪、魑魅魍魎 に対応するには霊的な武器が必要、何故か一般的な武器では傷すらつかない。


 8m 級の鬼に誘発されたのか、4m 級、3m 級が周辺区域から現れて、被害がさらに広がっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る