第69話 妖刀風殺 3
超犯罪課からの呼び出しがあり、監視衛生からの画像を見せてもらっている。
唖煩渓谷の谷底、切り立った断崖から煙が上がっている。
谷底の様子は断崖が邪魔でわからない。
「 詳しくはわかりませんが、今映っている断崖の底に隠れているようです 」
「 少し前の映像です 」
あまり鮮明ではないが、脇に女性を抱えた全裸の男?(鬼?)が谷底に向かって飛び降りた。
服を着ていないのがなんとなくわかるし、女性だと思えるのはスカートを履いているのがわかったからだ。
ちょっと感動、空の上からでもここまでわかるのにびっくりした、もう少しカメラの性能が上がれば、覗き放題ではないだろうか。
「 死体が切り刻まれており、本人確認が進んでおりませんが、何人かの女性が連れ込まれているようです 」
「 どうやら妖刀というより、取り憑かれた下呂の意思なのか、女性を集めているようです 」
「 このあたりは急流、ボートで近づくのは困難です、崖の上からロープで降りるというのも、相手は妖刀と鬼化した人間、下降途中でロープを切断、襲ってくる可能性が高く、簡単に近づく事が難しい状況です 」
「 私なら簡単に降りられますが、風殺を持った鬼と戦える自信はありません 」服部さんだ。
「 神々廻君は 」
「 飛び降りても大丈夫な気もしますが、やった事はないのでなんとも 」
作戦会議にていろいろな意見が飛び交った、最終的に、崖を降りるのではなく、おびき出す方向で落ち着いた。
下呂という人間についての考察、妖刀風殺に取り憑かれる前の歳や容姿はもちろん、ちっこいそんなことまで、性格、親兄弟、独身、童貞、定期的にエッチ本の購入、エロサイトからのダウンロード、巨乳にこだわりがあることまで。
プライバシーって無いのか、もしかして俺の国家機密まで知られていたりして、冷や汗が出て来た、別の意味でも、会話の中で女性達が、変態だとか、ドスケベだとか、人格が破綻しているとか、ぶつぶつ、思い当たる事があり過ぎて逃げ出したい。
お、俺は、変態でもドスケベでも無いし、性格破綻者でもないのに、下呂と一致する部分がある、な、何故だろう・・・ 本田や松村、クラスの男なんか、100%一致している気がする。
超犯罪課の女性鬼切さん達、容姿にそれなりに自信を持っておられるようだ。
下呂が潜んでいると予想される場所近くの谷底、女性退魔師さんだけでキャンプ、下呂が襲ってくるのを待ち伏せ。
「 まぁ、変態の男なんて、美女がそろっていたら、ひょこひょこ覗きにくるのよ 」
メッチャこの会議から逃げ出したい。
会議から、5日後再び呼び出された。
鬼切の浅井恵梨香さんが、連れ去られ、今川さん、福島さん、真田さんの3人が負傷、呼び出して捉える作戦は失敗。
浅井さんの救出含め猶予は無い。
「 なんて奴だぁ、超犯罪課ナンバーワンの巨乳を連れ去るなんて、許せん! 」激しく同意
吠えているのは、男性の鬼切前田さんである。
思わず、釣られそうになり焦ったわ。
前世殺し屋としての精神力で耐えたはず。
「 神々廻君、うなずいたわね、うなずいたよねぇ 」どうして服部さんに追及されなければならないのだろう。
「 そうなの、私は気づかなかったけど 」
「 うなずいてません! 」
「 私の眼はごまかせないのよ 」
「 お、俺、帰ります 」逃げるしかねえ。
逃がしてもらえなかった、居心地最悪。
妖刀風殺と下呂の映像、顔は死人のような感じで、体もやせ細り、全裸、あそこを勃起させ、左手に風殺を持っていた。
なんてデカさだ! 御利益があるなら手を合わせて拝んでもいい。
「 事前調査の情報のとうり、ちいさいわねぇ 」
へっ いまなっつたぁ!
「 調査では霊能力は持ってないはずだけれど 」
「 神々廻君どうなの 」俺に聞くなぁーーーっ! 心の叫びが半端ねぇ。
「 普通の、れ、れ、霊能力者は、もっともっともっと、小さいです 」
物凄く気にしているのに、デリカシーとか無いのか。
男心は極薄のガラスでできている、粉々に砕け散った。
今川さん、福島さん、真田さんによると、戦う何処ろか、突風で風に巻き上げられ、川にドボン、流れが速くそのまま流されてしまった。
川底や岩に体をぶつけ傷だらけになっている。
浅井さんは、風に巻き上げられていないようだった。
「 最初から、美人で巨乳の浅井さんを狙ったわけですね 」
「 いい趣味しているよなぁ 」
前田さん俺に話しかけるなぁ・・・・
俺は学校を休んでまで鬼切の仕事をする気持ちはあまりない、人を斬る事になるかも、心は断る事になっていたのに、いろいろな諸事情により、断り切れなかった。
「 学校については公休扱いにするから 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます