第68話 妖刀風殺 2

 唖煩あぼん渓谷にかけられた鉄橋から、列車が谷底に落下! 鉄橋に取り付けられている風速計は微風状態が続いていた、ところが列車が鉄橋を渡っているとき、計測不能、風速計がこわれた、計器が壊れるほどの突風、列車は突風に巻き上げられ脱線、谷底に転落した。


 消防、警察、鉄道の関係者が唖煩渓谷の谷底に到着、163人の死体、事故での損傷だけではない、鋭い刃物で斬り刻まれていた。

 斬りきざまれた若い女性であろう遺体は裸に。


「 どういうことだぁ 」


 さらに谷底の別の場所で、キャンプをしていたと思われる集団が斬り刻まれた死体となって発見された、女性と思われる死体は裸。


 超犯罪課も現場検証、妖刀風殺に取り憑かれた男は鬼化したとしか考えられる、妖刀を使う鬼、超犯罪課ができて初めての敵、どれほど危険な存在なのか想像できない。


 超犯罪課から、妖刀に取り憑かれた男が鬼化した可能性が高いという連絡を受け取った。

 唖煩渓谷、列車転落の事故のニュースでテレビのチャンネルは占領されてしまっている。


 唖煩渓谷は他府県であるが、山から山へ峰伝いで大槻山(大槻神社がある山にもつながっているらしい)

 嫌な予感が半端ねぇ、前世の記憶から知っている人に危険が迫っていると思うだけで心がざわつく。


 しゃねぇ、大槻山から唖煩渓谷に向かって歩いてみるか、昔修験者たちが修行で歩いた道が残っているかもしれないらしい。


 俺の計画は大事になってしまった、超犯罪課から真田さんと福島さんが一緒に、当然女性と山歩きなんてと陽子も、さらに修験者さんが道案内。

 日曜日の早朝、俺達はバックパックを背負って、峰伝いに歩いている、嫌な予感が半端ねぇ。


 バックパックの中は着替えである、カーボンナノファイバー製のスーツではなく、山歩きの恰好、運悪く鬼なんかと鉢合わせしてしまったら、国家機密が露天する。

 陽子にチッコイって知られたら立ち直れない自信がある。


 山を歩き始めてまだ1時間、人がほとんど通らないのか落ち葉で埋もれた細い道を進む、真田さんと福島さんが、話しかけて来る、陽子は俺のバックアップを手で握りしめ、睨みつけてくる。

 気疲れで倒れそうだ。


「 このあたりにしましょう 」

 金属センサーと人感センサーの設置、妖刀風殺を手にした下呂かどうかまではわからないが、刀や人が通れば反応する。


 小休憩、形態のコンロでお湯を沸かしコーヒー、山の中、俺の周りには美人で大人のお姉さんが2人と陽子、メッチャえぇ。

 修験者さんは少し離れたところに腰をおろしている。


 金属センサーと人感センサーの設置、妖刀風殺を手にした下呂かどうかまではわからないが、刀や人が通れば反応する。


 センサーを3カ所に設置し無事戻ってきた、鬼にも魑魅魍魎にも妖怪にも遭遇しなかった、平和が一番である。

 さらに大槻神社を囲むようにセンサーを設置、いつでも駆け付けられる、俺は知らない人はどうでも良いが、知り合いが傷付けられるのは耐えられそうにない。


 下呂は唖煩渓谷に潜んでいた、200人近い人を斬って妖刀風殺が落ち着いてきたというのか、斬りたくてどうしようもないような衝動が無くなった。

 代わりに下呂本人の女が欲しい衝動が大きくなってきた。


 列車転落の事故現場下呂は木陰から様子を伺っていた、多くの人が集まってきている。


「 あれは! 女子アナじゃねぇかぁ。。。 」


 気づいたとたん、現場検証で集まっている警察関係者、亡くなられた人を回収している消防関係の人達、支援するために自衛隊、それを報道するための報道陣。


 その中に問答無用で斬り込んだ、彼らは戦う準備をして集まっているわけではない。


 現場はパニック、警察官から発砲の音、風の膜により銃弾は速度を落とし、妖刀風殺は銃弾までも斬った。


 さらに80人近い人が斬殺、唖煩渓谷周辺は立ち入り禁止に。

 狙撃部隊が投入されたが、銃弾を斬る、妖刀を持った鬼により壊滅させられた。


 超犯罪課の鬼切13名、下呂を追い、唖煩渓谷に入った。

 俺は警視庁から支給されているスマホで情報は得ているが、出動要請はうけていない、鬼や動物は斬れない事も無いが、鬼化しているらしいが下呂は人間である、ぶった斬る自信ねぇし。

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