第45話 霊光寺に向う
ついに夏休みである、徐冷の依頼で霊光寺まで遠乗りである、出発は早朝、家の前には、愛車ドレイク。
バトルスーツのような、ライダースーツを着てヘルメットを脇に抱え、玄関をでる、気分は映画のワンシーン、ジェット戦闘機のパイロット。
気持ちから入るタイプなのである。
見送りに、陽子、陽子のお母さん、関係ない本田、松村までがいた。
背筋を伸ばし、さっそうと単車にまたがる、気分はジェット戦闘機パイロット、決まりまくり、メットを被ろうとして、お袋が話しかけて来た。
「 お弁当と、着替えは、ここに入っているから、歯磨いてねるのよ、着替えはこっちのカバンだから、ちゃんと電話するのよ 」カックワリィィ
気持ちから入るのに失敗したため、ヘロヘロで出発。
もう一度、家から出る所からやり直したい。
高速道路に入ると、オートパイロット、速度は時速100Kmに設定。
「 ドレイク、元気が出る音楽かけてくれる 」
「 少しボリューム下げて 」
パーキングで2度ほど休憩、下道、泊まりは霊光寺が手配してくれた、お寺である。
ホテルに泊まりたかったけど、気を使ってくださったのでご厚意に甘えた。
なんと、ゴエモン風呂初体験、小僧さんが風呂場の外にいて薪で風呂焚きをしている、
「 湯加減いかかですか 」
「 かけ湯してから入って下さいね、底板を沈めて乗って下さい、火傷しますから気をつけて 」
「 ありがとうございます、了解です 」
木の衝立で仕切られてはいるが、覗こうと思えば、どうにでもなる。
国家機密を知られるわけには、風呂には鍋の蓋が浮いているし、タオルで隠さないといけないし、焦ったわ。
仏像が沢山ある部屋に一人、二人の童を抱きしめて眠る。
常識がおかしい気がする、いくら何でも仏像だらけの部屋に、健全な高校生男子を一人にしてはいけない気がする、寝付けない。
夕食は精進料理、美味しかったが物足りない、満腹じゃないから寝付けない事にしよう。
ヤバイ! おしっこしたくなってきた。
童に手をつないでもらってトイレに。
「 ご主人様、トイレくらい一人で行けるようになりましょうね 」
ご主人様としてのプライド、男としての矜持、今晩だけは捨てるしかない。
お礼を言って、夜明けに出発、お寺の朝は早い、高速に乗りドライブインに直行、ハンバーガー食いまくり、昨夜と今朝、精進料理、おいしかったけど、物足りなかった。
霊光寺に到着したのは、昼前だった。
本堂で一人で待たされている、仏像が並んでいる、早く誰か来いよ、一人にするなんて、二度と来ないから、俺の体は物心ついた時から、人非ざる喪のが見えていた、それだけに、普通の人よりも、何百倍も怖いという正当な理由があるのだ。
少し足がわるのか、足を引きずるようにして歩く、小柄な尼僧がやってきた。
「 霊光寺の住職、霊光院です 」
西村咲子さん、17歳、1年半霊光寺にて薬漬けで眠らされたままの状態、ポルターガイスト現象が発生し病院から追い出された経緯がある。
「 電話でも説明しましたが、俺はお祓いを専門としているわけではありません、できる事はあまりないと思います 」
「 わたくしたちも手をつくし、できる事はございません、鬼斬様なら何かの糸口があるやもしれません 」
「 このままでは彼女の命は長くありません、可能性があるなら何でも試したいのです、電話でも説明しましたが、どうかご協力ください 」
白州師匠から、知識を仕入れてきている、大槻神社から退魔のお札も沢山もらってきた、やるだけはやってみよう。
悪霊っていうのは、実際それほど力など無い、怖いって思う心に付け込まれる、気持ちを強く持っていれば、とり憑かれるようなことはない、理解はしている。
現実的には、仏像のある部屋に泊まっただけで、怖くないとか、気持ちをしっかり持つのは無理だと知っている。
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