第43話 下村さんの娘
授業が終わる、いつもは弁護士事務所に直行するのだが、今日は中本条駅に来ている、事務所で経理を担当している、下村さんに頼まれたからだ。
下村さんには、俺と同じ高校1年の娘さんがいる、勉強しないし、遊びほうけている、そのことで喧嘩、家を飛び出し、3日も帰ってこない、中本条駅付近の女子グループの中にいるというのはわかっている。
下村さんに拝まれた、娘をなんとかしろと、お袋にまで言われた、なんで俺が?
、愛車ドレイクでやってきたわけだ、バイザーの隅に表示されている半透明のモニターには、下村さんの娘、恵美子さんの顔が映し出され、ヘルメットに取り付けられたカメラ、単車に取り付けられたカメラ、付近の監視カメラと連動して、顔認証検査が実施されている。
スゲー、その一言だ、ここまで進んでいるとは、隠れても直ぐ見つかる。
中本条駅の監視カメラで見つかり、そこまでの移動経路が表示されていた。
異世界に転生してきたのかも、浮気したらすべてを奪われ、母親はメッチャ恐ろしいし、鬼や魑魅魍魎が跋扈し、高校生活は異常に世知辛い、隠れても、最新技術ですぐに見つけられる、凄い世界だ。
鬼斬の装備、個人的な事に使用してもいいのだろうか、多少の疑問はある。
男のグループが女子のグループに声を掛けている、青春じゃのう、自分が高一で有る事を忘れ、ついついおっさんになったような言葉が出る。
下村 恵美子さんは捉えている、女子のグループにいる、様子見、できれば一人になったとき声をかけたい。
男のグループともめだした、お金でもめているような。
女子達が走って逃げる、「 待てって、金払えよ 」男が怒鳴る、女子を追いかける男子。
恵美子さんも逃げている、追尾。
愛車ドレイクはそういった機能も備えている、エンジン音がしない、モータ走行にきりかわった、ハイブリッドなのである。
足はぇ、確か中学は陸上部短距離選手だったとか、ぐんぐん男をひきはなす、脇腹を抑えながら追いかけていた男はうずくまり下呂吐き中、同性としてはやるせない。
一人になったので、追尾をやめて、走っている横に並ぶ。
恵美子さんも、息切れ体力切れでよれよれ。
「 冗談じゃないわ、お母さんにたのまれたなんてぇーーーっ! 」
「 友達ほっておいていいの、協力すれば助けるけど 」
恵美子さんは、渋渋、了承した。
単車の裏に乗せて、戻る、女子のグループは連れ戻されたみたいで、男性のグループに取り囲まれていた。
「 あっ、恵美子 」男のグループは単車の正面警視庁のマークに気づいて焦りまくる。
「 話を聞いてください 」
声を掛けて来たのは女子のグループ、一緒にカラオケ、割り勘という条件で4回、一度も女子たちはお金を払ってない。
4回も支払いを踏みにじられるというのが、男グループの下心が観えるというのか、同情したくなる、きっと彼女いないのだろう。
「 踏み倒した金を返せと、言っているだけらしい 」
「 男にしてはせこいかも 」
初めから俺達のおごりというのならそれでもかまわない、けれど、割り勘とう条件で声をかけてきた、許せないという事らしい。
「 いくらですか 」
男達は細かかった、領収書をもっていて、スマホの電卓で合計金額、2で割った、しめて11万3千14円。
立て替えて払った、男達はニコニコして帰った。
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