第26話 お袋帰宅

お袋からTELがかかってきて、2時間半、完全な寝不足、どれだけ話す事があるのだろう。


 授業が終わって、下本条駅の改札口前で、天井から吊り下げられた電工掲示板を見上げている、後3分で到着。


 お袋が出張から帰ってくるので駅にお迎えである。


自転車は学校においてバスでここまで来た、単車がほしいなぁと思う年頃なのです。

バイトを頑張って溜めて単車を買おう。


電車が入ってきた。

お袋の姿を見つけ手を振る。

 事務所の弁護士さんの北上さんと、警備の原田さんの3人一緒だ、元気そうな顔をみてほっとした。


駅に隣接している食堂街、個室に入る、「 猟、猟、猟 」お袋は俺にしがみついてスリスリ。 美人だし可愛い仕草に大満足。


「 猟君大丈夫なの 」

「 何がですか 」


「 私たちね、マザコンの息子、シングルマザーって大変だなぁって思っていたのよ 」

テーブルにおでこをぶつけそうになった。


「 でもね、よくわかったわ、先生って子離れできてない母親だって 」


「 しかも重症よ、私たち子離れできない母親の弁護、何度も受けた事があるのよ 」


「 子供依存症、病気も入っている、だいたいこんな感じよ 」お袋を観ている。


「 いやじゃないの、困ってない、遠慮なく私たちに相談してね 」


このままでは、彼女を脅したり、ベッドやお風呂に乱入、デートの邪魔、新婚旅行だって付きまとわれるわよ。


「 はぁ 」

「 なんか、話が違いません 」


「 小学高学年くらいから、ろくに口も利かない、中学生になったら、顔も合わせようとさえしないって、聞いたことがあります 」


「 それ、私も聞いたよ 」北上さんと原田さんが盛り上がる。


俺の体って、どうしようもないような奴だったのだろうか、死に別れたら、話す事だって、愛情を感じることだってできないのに、ふざけた体だ。


「 出張はどうでした 」

「 仕事は順調よ、宿に戻ったら猟君のことばっかり、だったわ 」

「 毎日2時間くらい電話で話しました 」

「 そうなの、たいへんだったわねぇ 」


料理が運ばれてくる

「 猟、あーして、たべさせあげる 」

「 先生! いい加減にしなさい 」


「 先生はこっちです 」お袋正面、両横、北上さんと原田さん、こっちのほうが緊張する。


「 いい加減に子離れしてください 」


俺ん家では、メチャメチャ気合が入ったお袋により全身くまなく洗われ抱き枕にされて寝た。


「 いい加減にしろよなぁ 」とは言ったけど、本根は嬉しかったりする。


いつの間にか、一緒にお風呂に入るのも、皮を剝いて洗ってもらうのも、俺が隅々まで洗うのも自然の流れのようになってしまっている。

このままでいいのだろうか。。。。。いいよなぁ。。。。

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