第14話 月姫と

授業中、隣の席の女子がヒソヒソ話してくる、


「 殺されるわよ、明倫高校男子をすべて敵にしたのよ 」

「 HRが終わったらすぐに、逃げなさいね 」


グタグタと長いホームルーム、2組は終わったのか、大槻が廊下で待っている。

拳を握りしめ唸りだす野郎ども。


大槻は話があるようだったけど、俺はバイトがあるので、さっさと帰った。


弁護士事務所からの帰り、ファミレスによって夕食を済ませ自宅前、本田と松村が立っていた。


 いきなり喧嘩腰、「 裏切り者! 」友情を踏みにじったとかわめきだした。


2人は同じ町内、幼馴染である、彼女いない歴、年齢と同じ、俺達3人組、帰りが遅いので、外に出た、本田の姉と妹、友情を踏みにじったとか叫んでいる、近所なので家族の人が気付いて、理由が、女子と話していただけだと知り、姉と妹は平謝り、「 一遍死ねぇーーっ! 」とか怒鳴りつけ、連れて帰った。


「 月姫が一緒にお弁当食べよってさそったんだぞーーっ! 」


「 月姫と! お弁当たべていたんだぞーーーっ! 」


「 放課後、待たせておいて、バイトを理由に、先にかえったんだぞーーっ! 」


まだ喚いている。

幼馴染、こんな奴らとつるんでいたと思うと情けねぇ。


「 あほらし 」

振り向く、お袋の眼から殺人光線が出ていた、ゾクゾクゾク 背筋が凍り付く。


「 さっそく、女の子に手をつけたのね 」取り調べが始まった。


「 あっ、宿題があったんだ 」

「 事務所でしたでしょ 」


「 あっ、風呂入るわ 」これは失敗だった、一緒に入っている。


お風呂上り、頭と体にタオルを巻き付けただけのお袋と、トランクスだけの俺は、二人で一つの椅子に座り、パソコンのモニターを眺めているわけである。


‘ 大槻神社 憑き喪祓いの儀とは、人に取りついた、悪霊、怨霊、妖怪を大槻神社の御神体、月の退魔鏡より払う儀式 ’


「 胡散臭いわねぇ 」こくり。


「 ここの娘に、ストーカーされているわけね 」

「 今日1日だからわからない、様子見るよ 」


登校するなり、大槻に捕まった、二人の童が気になって眠れなかったと文句を言う、俺には関係ないはず。


「 ここではなぁ、人目があるし 」


今どきの高校って、昨日1日だけで、俺達は付き合っている事になっていた。

大槻は、まったく気にしていない、大物かもしれない。


2時間目と3時間目の休憩、大槻がやってきて生徒指導室を貸してもらったから、お昼休みは二人っきりだと言って帰った。


錯乱する男ども、先生が入って来たが治まらない。


昼休み生徒指導室で、二人でお弁当を食べている、窓のカーテンは閉め切り、ドアには鍵が、

「 人目があるって言ったからよ、説明しなさいよ 」

「 まぁいいか、 枝垂桜、紅桜 」


2人の童は、刀を差しだす、2本の刀を抜き放つ。


大槻は壁に張り付き、ガタガタ震えだした、「 お、鬼斬様ぁ、ぁーーっ 」


「 し、失礼しましたぁーーっ 」 膝におでこが引っ付くくらいお辞儀をして、あわてて出ていった。


食いかけの弁当箱が、机の上に。


「 しゃねぇ 」


1年2組の教室に弁当箱を渡しに、大槻、おろおろ、顔が真っ赤に、どうなっているのだろう。


生徒指導室で二人っきり、真っ赤な顔をして飛び出した、月姫、その後教室でも、


「 神々廻ぁーーーーっ! きっさまぁーーっ! 何をしたぁーーーっ! さわったのかぁーーーっ! 」


こいつらなんなんだ。

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