第13話 月姫
高校に通いだして2ヶ月、高校生活にもなれてきた。
3年男子主催で毎年実施されている、ミス明倫決めるコンテスト、密かに、厳正に
その候補のJKを確認する作業である、早弁をして昼休みになると、チェックしに行くのである。
今日は、事前情報ではほぼ間違いないと噂されている、1年2組の大槻 陽子さんの確認である、投票する以上、責任がある、候補者全員を厳正に観ておく必要がある、俺たちは正義感と使命感に突き動かされている。
本田情報によると、大槻陽子さんは天気の良い日は裏庭でお友達とお弁当を食べるようだ。
松村が事前に隠れやすい場所を調査済み。
俺達は、自動販売機で鍛えた、ほふく前進を使い、桜の木を利用して接近。
「 えぇ、やっぱ、スゲー美人だぁ 」
「 えへへへへ 」
「 付き合ってくれないかなぁ 」
本田と松村と俺、3人で妄想の世界に旅立つ、あれ? 俺は精神年齢35歳なのだが。。。
教室に入るなり、クラスの女子に声を掛けられた、
「 制服に草を付けて何をしていたの? 」
「 いやぁ、あのぉ 」大槻陽子を盗み見していたとは言えない。
「 聞きたい事があるのだけれど 」
俺は大人の女性と援助交際やつている高校生という設定になっていた。
スマホの写メを突きつけられる
「 お前ら、ド変態だったのか、想像するだけでもキモイ! 」
「 証拠があるのよ! 」
「 それ、俺の母親 」
「 嘘ね、ここまで綺麗な人はモデルでしょう、嘘だとわかるわよ 」
「 腕なんか組んで 」
「 良く見ろよ、腕を絡ませているのは、俺じゃない 」
「 ごまかしてもダメよ 」
「 本田か松村、家が近所だから確認してみろよ 」
2人に確認したようだ、「 お前らの頭のなかって、そんなことばっかりかぁ 」
「 変態、ドスケベJKってわけか 」
からかうとむきになる、なぜか俺が正しいと自信があるときは、たとえ女でも強くでられる、
精神年齢が違うので余裕だ。
ミス明倫の結果が発表。
明倫男子専用のスマホのグループからの案内をチェック。
1年2組には、なみいるJKを押しのけ圧倒的人気でミス明倫となった、月姫がいる、名前は大槻陽子、入学式から大きな話題となり、わずか2.5ヶ月で明倫の天使、月姫様と呼ばれるように。
清楚、凛とした佇まい、超絶美少女、まさに天使なのだ。
「 よし、今日も行くか 」
本田と松村と眼を合わせうなずく。
今日の昼休みも、桜の木の陰に身を伏せ、中庭で友達とお弁当を食べている月姫の様子をガン観してきた、これぞ青春、なんて充実した高校生活なのだろうか。
学校でも童の姿は誰にも観えないようだ、手を繋いで廊下を歩いていた、女児だけど俺的には両手に花、35年も他人を拒絶していたのだ、嬉しくて嬉しくてたまらない、
俺くらいになれば、女性だったら女児だって許容できるくらい達観しているのだよ、女児である童、文句なんてあるはずねぇ。
顔をニヤニヤさせて廊下を歩いたら変態に間違えられる、俺は孤高の殺し屋、顔を引き締めようとするのだが、引きつっている気がする。
偶然2組の教室から出てきたのが、月姫、眼があったというより、童をガン見。
「 観えるのか 」
月姫は俺の腕を取ると、裏庭まで一気に走る、
「 おぃ、何がしたい 」
「 あなた何者ですか! 」
「 神々廻(し しば) 猟(りょう)です 」なんか、カクッてなった。
「 そうではなくて、お二人を連れておられるから 」
「 あぁ、挨拶しなさい 」
「 枝垂桜です、紅桜です 」
紅桜は俺の足の裏側に顔だけ出している。
「 お話ができるのですかぁーーーっ! 」肩に両手を置いてガクガクゆする、顔が近い、「 落ち着け 」
「 す、すいません 」
ベルが鳴った、休憩時間が終わってしまった、あわてて教室に戻る。
妙に男連中が殺気だっているような気がする。
ついにお昼、俺が学校に来る最大の目的、お袋のお弁当タイムだ。
ドタドタ、ガタガタ、「 神々廻ぁ、きっさまぁーーっ! 」いきなり俺を取り囲み、喧嘩腰、1年2組の男子達も、本田や松村まで、いきり立って教室は入れない状態。
「 神々廻君、神々廻君 」 声が聞こえる、道がさっとできたように開いた、月姫がいた、
「 一緒にお弁当食べよ 」ニッコリ。
「 ぐわーーーーーーっ! 」カオスとなった教室から中庭に。
やたら、意味不明な質問を、見てくれだけで中身はオタクなのかぁ
「 俺の事を訪ねる前に、自分の事を話せよ 」
「 誰だ 」 一応知っているけど、名乗ったのは俺だけである。
「 月姫って、そんな名前だったのか 」
「 月姫って言わないで、大槻陽子よ 」
大槻は、憑き喪祓いの儀を生業としている、大槻神社の娘、憑き喪とは、人に取りついた、
悪霊、怨霊、妖怪の類、御神体、月の退魔鏡の光により、悪霊祓う儀式、現実とゲームの世界を彷徨っているような内容を、真面目な顔して話す、オタク超絶美女。
大槻の話を聞いているだけで昼休みが終わった。
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