終章 グラーヴェ

The weak can never forgive. Forgiveness is the attribute of the strong



東郷機関事務所地下1階での新たな展開に焦点を当てていく。空は心に秘めた葛藤と現実の残酷さとの折り合いをつけながら、新たなミッションに向けて準備を進めていく。

レオナと対決する準備していく中、詳細は明かされておらず、空は他のエージェントたちと共に、緊迫感漂う事務所の中で指示を待っていた。


彼の心は依然として先ほどの出来事に引き裂かれていた。レオナの冷酷な行動に対する理解と受け入れの間で揺れ動く中、ミッションへの集中が求められる状況にあった。


「神薙空くん。ミッションの詳細が出たよ。準備はできている?」呼びかける声に耳を傾けると、彼をリーダーとするレナが近づいてきた。彼は頷きながら返事をした。


「準備は整っています。ただ、先ほどの出来事がまだ頭から離れませんね。どうしても理解できない部分があって……」


レナは深いため息をつき、彼の悩みに理解を示した。東郷機関では未知の生命体との戦闘が日常茶飯事であり、エージェントたちは時折冷酷な選択を迫られることもある。

しかし、それがどれほど心に負担をかけることか、彼らもまた知っていた。


「貴方だけではない。みんなが同じような感情を抱えている。だからこそ、仕事に集中して前に進むしかない。ミッションが終わったら、ゆっくり話し合おう? 今は仕事。理解を示して行動して」


レナの言葉に従い、空は心の葛藤を一時封じ込め、ミッションに向けての集中を取り戻した。

エージェントたちは機関の指示に従い、地下1階から新たな展開が待ち受けるエリアに向かった。


地下1階の施設内では、情報収集や武装の準備が行われていた。エージェントたちはクールな表情で各自の役割に従事し、専門的な機材を整えながらミッションに備えていた。


レナが再び全体に声をかけた。


「今回の任務は制圧作戦であり、敵は武装している。負傷者が出るかもしれない。全員、慎重に行動するように」


エージェントたちは一斉に頷き、各自が用意された装備を携えて指示に従った。


それに対し空はレナに敵の情報を尋ねると、レナは口をとがらせながら次の指示を伝えた。「敵は元アメリカ特殊部隊所属していた者で、裏切り者と見なされている。彼らは高度な戦術を持ち、非情な手段で目的を果たすことで知られている。敵の装備は分からかいけど多岐にわたり、防護服や高性能な武器が含まれている。彼らは危険で、容赦ない行動が予測されると思う」


情報を受け取った神薙空は、緊張感を抱きながらも固く決意した表情を見せました。「了解しました。全員協力し、制圧作戦に臨む。其れと質問ですけど、アビリティーインデックス2位の人物がまだ到着してないけど教えてもらえますか?」


レナは一瞬考え込んだ後、口を開いた。「その人物は既に到着してるけど?」


レオナ・ローレンスの名前を聞いて驚きを隠せなかった。アビリティーインデックス2位のエージェントであり、かつての仲間が裏切り者となっていたことは、彼にとって思いもよらない展開だった。


「なぜ、レオナが…」 空は呟いたが、レナは厳しい表情で口を閉ざした。まだ詳細は伝えられていないようだった。


レナが続けて言葉を紡ぐ。「レオナ・ローレンスがどうかしたの?」という問いに、空は沈んだ表情で答えた。「あいつは尊殿を暗殺しようとした危険人物でした危険人物で…」 空は一瞬の沈黙を経て、言葉を続けました。「何かに取り憑かれたように変わっていたんだ。そのとき、彼女の人格が変わり、我々の中に混乱を巻き起こした。そして、尊殿への襲撃を企てたんだ。だが、その時は未遂に終わり、何とか彼女を制止できた。しかし、彼女が今回のミッションに絡んでいることは考えられるも」


レナは深く眉を寄せ、「理解しました。ただ、今は制圧が最優先。彼女がどのように変わったか、その理由も確認しつつ対処する。注意して行動するように」と指示を出しました。


空はレオナ・ローレンスとの対決に向けて気を引き締め、地下1階の施設を出発した。


地下1階の施設を出発した空は、仲間たちと共にミッションに臨む決意を固めていた。しかし、心の奥底ではレオナの変貌や裏切りに対する理解がまだ揺れ動いていた。


エージェントたちは冷静な表情で進んでいき、機関から提供された情報を頼りに敵の元特殊部隊員たちとの対峙に備えていた。戦闘の過酷さと危険性が彼らを取り巻く中、心の靄を抱えながらも使命感に従って進むしかなかった。


レナが指揮を執り、空にミッションの進行状況を伝える。「敵の位置が確認されました。彼らは施設の奥深くに潜んでいるようです。慎重に進み、制圧していきましょう」


エージェントたちは黙々と進んでいく中、空の心は未だにレオナとの対峙に向けて揺れ動いていた。彼女がかつての仲間から裏切り者へと変わる過程で何が起こったのか、その理由や背景に疑問が渦巻いていた。


ミッションの進行中、空は仲間たちと連携をとりながら施設の奥深くに迫っていった。敵の存在を感じながらも、心の中ではレオナへの疑問が渦巻いていた。


「レオナがどうしてあんな行動に出るようになったのか…」 空は再び考え込む。かつての仲間が裏切り者となり、その変貌に彼は戸惑いを感じていた。


一方で、ミッションに集中しなければならない現実が空を押し寄せる。施設の中ではエージェントたちが機敏に動き、敵の制圧に向けて進んでいた。


レナの冷静な声が空の耳に届く。「敵の数は予想以上に多い。仲間と協力して進んでちょうだい」


空は頷きながら、不安と疑問を抱えたままミッションに向けて前進した。施設の闇を切り裂く銃声とエネルギーの光が、彼らの前進を物語っていた。


敵との接触が近づくにつれ、空の心はますます複雑に絡み合っていた。レオナとの過去の記憶が鮮やかに蘇り、同時に彼女の変貌に対する理解の欠片も探し求めていた。


「おい気を付けろ。ブービートラップだ」


エージェントたちは慎重に進む中、施設内に仕掛けられたブービートラップに遭遇した。ピンは既にはずられて、垂直に真っ直ぐ伸びる金属線が目の前に張り巡らされている。なので、触っただけでもレバーが解除され、爆発する可能性がある。これだけ真っ直ぐで完璧な線は、卓越した技師でないと到底できない領域で、線とレバーのバランスが一死の勝負になる。


これは敵の狡猾な罠だろうと空は察知した。周囲のエージェントたちも慎重に線を避け、トラップを回避しながら進んでいく。


レナが指示を出す。「トラップに注意しながら進んで。敵の執念深さを感じるな。目標は奥深くにいるはず」


エージェントたちは再び頷き、トラップの回避に専念しながら進んでいく。施設の中は複雑で、敵の存在が不透明なまま、緊迫感が漂っていた。施設の壁に沿って進む中、レナが拳を出し、合図で部隊を停止すると手持ちの機器で敵の動向を確認する。レナの眉間には緊張と集中の表情が浮かび、エージェントたちも静かに待機していた。


「近くに居る。2班別れて奥深くに潜入し、敵の位置を特定してください。敵を確認次第、速やかに処理に移行します」


レナの指示に従い、エージェントたちは2班に分かれて施設の奥深くへと進んでいく。空は同行する仲間たちと連携をとりながら、慎重に進んでいった。


廊下には硝子や放り投げた家具などが飛び散った破片が散乱しており、施設内は先ほどよりもさらに緊迫感に包まれていた。


エージェントたちは慎重に進む中、突如として敵の奇襲が始まった。施設の壁に隠れていた敵が銃火器を浴びせられ、エージェントたちは即座に銃撃戦に突入した。施設内に響く銃声が、冷たい廊下に反響し、緊迫感を一層高めた。


空は素早い動きで障害物の後ろに隠れ、的確な射撃で敵に応戦した。同行する仲間たちも瞬時に対応し、施設内の狭い空間での激しい銃撃戦が繰り広げられた。


「敵は一人か!?」と仲間の叫び声が響く中、空は慎重に敵の位置を探り、仲間たちと共に制圧に向けて進んでいった。しかし、敵の奇襲は洗練されており、施設内の障害物を利用して巧妙に立ち回る。


「こっちからも撃たれている!支援を求む!」との声が通信で届き、エージェントたちは敵の策略に対抗して状況を理解しようとした。空は心の中で冷静に敵の行動パターンを分析し、仲間たちとの連携を強化して立ち向かっていく。


「敵は一人で機関銃を撃ちまくってる。突撃したら蜂の巣になる可能性が高い。カバーを利用しつつ、的確な狙撃で制圧するしかない」と、空は仲間たちに指示を出し、状況に応じて慎重に発泡する。すると仲間の隊員が手榴弾を投げると爆風と共に、銃声の音は一瞬の静寂が広がる中、仲間たちは慎重に前進した。爆風の影響で煙が立ち込め、視界が制限されている中、空は敵の位置を確認するために機器を駆使した。


「煙で視界が悪いが、敵は一人だと思う。みんな、障害物を利用して接近し、制圧しろ!」


エージェントたちは空の指示に従い、煙の中を巧みに隠れながら敵の元へと近づいていく。同時に、空は仲間たちと連携して的確な警戒を行い、敵の動きを制限していく。


辿り着くと既に敵は爆風に巻き込まれれてしまっていた。施設内には煙と焼けた匂いが充満し、エージェントたちは注意深く進んでいく。


空がリーダーシップをとり、仲間たちと連携しながら敵の残党に立ち向かっていく中、施設の奥深くで異変が生じた。機器のセンサーが異常を検知し、エージェントたちの耳には奇妙な音が響いてきた。


「これは……なんだ?」 空が尋ねると、仲間たちも困惑の表情を浮かべた。異常なエネルギーの反応が施設内で蠢いているようだった。


レナが通信で語りかける。「敵残党はひとまず制圧した。だが、施設の奥には不気味なエネルギーが渦巻いている。気を引き締めて進んでください」


エージェントたちは心の奥底で不安を感じつつも、使命感に従って進んでいく。施設の奥深くに進むにつれ、異次元的なエネルギーの影響が強くなり、エージェントたちはその存在に戸惑いを隠せなかった。


「おい出たのか!?恐ろしい霊が!?」


「人聞きの悪いこと言うな!ただの異常気象だろ?いつものことだ!」


「何かがおかしい…」 空が呟く中、施設の奥深くで異次元的なエネルギーが蠢いていた。仲間たちも不安そうな表情を浮かべ、探知機器の異常な反応に警戒心を高めていた。


レナが通信で続ける。「異常なエネルギーはこの先にあるようです。敵か、それとも……」


言葉を濁すレナの声に、空は不安を感じながらも前進する。施設内には異次元的なエネルギーの影響で現実と幻想が交錯しているような錯覚が広がる。


試しに空は放射線装置を手に取り、施設内の異常なエネルギーに対して測定を試みた。数値が不安定に振れ、装置が異常な反応を示す中、エージェントたちは不可解な現象に直面していた。


「80ミリシーベルト……放射線レベルが普通じゃない。これは一体……」


空の言葉が途切れ、同行する仲間たちも困惑の表情を浮かべた。施設内の異次元的なエネルギーが彼らの感覚を混乱させ、現実と幻想が交錯する中、次第に不可解な光景が広がっていく。


廊下の先には歪んだ影が蠢き、奇妙な音が響いていた。エージェントたちは緊張感を増す中、異次元のエネルギーがどのような存在を生み出すのか予測がつかなかった。


「もしやここの施設は原発近くに建てられてるのか?」


「いや、違う。原発はここノヴァシティに設置されてない。むしろ原発の稼働は全国停止されている。異常なエネルギーの源は原発ではなく、施設内で何かが起きている可能性が高い」


エージェントたちは不安と興奮が入り混じった状態で進んでいく。施設の奥深くには未知の脅威が潜んでおり、彼らのミッションはますます複雑化していた。


「じ、じゃあ何が原因だって言うんだ!? 悪魔の仕業か!?それとも宇宙人か!?」


ある隊員の言葉に、ユキとの会話が突如空の脳裏に浮かんだ。ユキはかつて、遺伝子に秘められた未知の可能性について熱く語っていた。そして、施設内で発生している異次元的なエネルギーの正体について考え込む中、空は新たな展開への扉が開かれることを感じた。


「もしかして、これは遺伝子に関係する何かなのかもしれない。ユキが話していた未知の可能性……」 空は仲間たちに向けて言葉を紡ぎましたが、その瞬間、施設内に異常な波動が走り、未知の存在が姿を現した。


瞳には黄色い翼のマークが浮かび上がり、赤く照らされた。


「これは…!」 空が呟く中、その存在は不気味な笑みを浮かべて彼らに迫ってくる。異次元的なエネルギーがその姿を包み込み、まるで未知なる領域から来たかのような存在感が辺りに漂っていた。


暗い廊下の中姿を現したのはエリザベスだった。エリザベスの出現に、エージェントたちは驚きと緊張が入り混じった表情を浮かべた。彼女の瞳に輝く黄色い翼のマークは、まさにユキが言及していた未知の可能性を象徴しているようだった。


「Nous nous reverrons, mon frère(また会ったね、お兄さん)」


エリザベスの言葉は冷酷でありながら、どこか優雅な調べが漂っていた。彼女の存在が施設内に何らかの異次元的なエネルギーをもたらしていることは確かで、エージェントたちはその真相を解明する必要があることを理解していた。


「久しぶり、エリザベス。さっきのエネルギーは何だったんだ?君の能力か?」



エリザベスは微笑みながら答えた。 

「あなたたちが目撃したのは、私の新しい能力の一端。遺伝子の進化によって得られたものだよ」


空は驚きを抱えながらも問い詰めた。「なぜこんな異次元的なエネルギーを使っているんだ?」


エリザベスはゆっくりと歩み寄りながら説明した。「私は人間を超越する存在になるため、未知の力を求めている。この施設はそのための実験場。あなたたちエージェントも、私の進化の一環なの」


仲間たちは驚きと疑念の表情を浮かべ、施設内には異次元的なエネルギーがさらに強まっていく。エリザベスの存在が、彼らのミッションを超えた新たな局面を切り開いていることを理解しつつ、空は困難な決断を迫られた。


「君の進化が施設内の安定を乱している。このままでは被害が拡大するから止めてほしい」


エリザベスは静かな笑みで答える。「それは避けられない代償。未知なる力を手に入れるためには、犠牲がつきものだよ。あなたの仲間もそうだったでしょ?」空はエリザベスの冷酷な言葉に対峙しながらも、仲間たちの安全を守るために立ち向かう決断を下す。


「君の進化が施設内の安定を乱している。このままでは被害が拡大する」 空の声が冷徹に響く中、仲間たちとの絆を胸に刻みながらも、空は冷静にエリザベスに対峙する。「君の進化が他者を危険に晒すことは許せない。俺たちはここにいるすべての者の安全を守る」


エリザベスは微笑みを浮かべ、「分かった分かった。しつこい男だねすぐ出てきいますよ」と言うと、エリザベスの口から出たため息が、施設内に響き渡った。


「ご協力感謝します。少し質問だけど、あの武装した男性は君の仲間か? バンバンと撃ちまくってたのは聞こえてたよね?」



「男性? 全く知らないよ?」エリザベスは不思議な表情になりながら答えた。その瞬間、通信からレナの慌てながら伝わってきた。「空、小さい子供のせいで部隊は全滅した! 施設に不法侵入者がいるみたい!」


空は状況を把握し、仲間たちに指示を出す。「施設内に不法侵入者がいる。全員、敵の排除に集中しろ!」


仲間たちは空の指示に従い、エリザベスとの対峙を一旦保留して新たな脅威に集中する。施設内を探索していく中、空はレナに通信で尋ねた。「その子供の正体は何だ?」


レナの声が焦燥感を帯びて答えた。「わからない。急に現れて、部隊を襲った。でも、ただの子供には見えないどこか異次元的なエネルギーを感じるんだ」


空は深く考え込みながら続けた。「子供ってエリザベスか?今エリザベス居るけど?」

 

しかし、レナは苛つきながら否定した。「エリザベス? 知らないわよ!! 馬鹿なこと言ってないで早くこっちに合流して!!」


空は不穏な空気を感じながらも、レナの指示に従い、返事をすると通信を閉じた。エリザベスの方を向くとヒッヒっと笑いながら呟いた。


「面白くなってきたねぇ〜、どんな相手だろう〜」


頭を左右揺らしして、不気味な動作をする彼女に空は困惑しながらも問い詰めた。「君の手にかかればどんな相手も無力になるとでも言うのか?」


エリザベスは瞳に燃えるような光を灯し、「あなたも試してみたいのでしょう?」と挑発的に微笑んだ。


空は冷静に答えた。「冗談はよせ、とりあえず我々は任務をやっている。危険だから今すぐ安全な所に逃げたほうが良いぞ」


エリザベスは不敵な笑みを浮かべ、「逃げるのはつまらないわ。それに、私を市民扱いするの止めてくれないかしら?」


エリザベスの戦う意志に、空は一瞬の躊躇いがあったものの、空は堅く言い放った。「君が市民かどうかは今は関係ない。ただ、この施設の異常なエネルギーが危険を引き起こしている。それを解決するためには、君とも対峙せざるを得ない」


エリザベスは深く incompétence(仕方ない)と言い放った。次の瞬間、一瞬の残像が見えると気付いたらその場から消えてしまった。空は不安を感じながらも、すぐに仲間たちと合流し、不法侵入者の捜索を続けることに決めた。


施設内を進む中、異常なエネルギーの影響がますます強まり、現実と幻想が交錯する光景が広がっていく。エージェントたちは警戒しながら進み、未知なる敵に立ち向かう覚悟を決めた。


不法侵入者を探している最中、施設の奥深くで再び異変が生じた。機器のセンサーが異常を検知し、エージェントたちは再び奇妙な音が響く中、新たな脅威に直面してしまった。


「これは……また別の存在が現れたのか?」空が不安げに呟くと、仲間たちも警戒の表情を浮かべていた。レナの通信が入り、彼女が「またあの子供が来た!! 早く急いで!!」と伝えてきた。エージェントたちは迅速にその場に向かい、施設の奥で銃を乱射する音が響いている中、不法侵入者の正体を明らかにしようとする。


エージェントたちが施設の奥に急ぐと、広い部屋は砂埃に覆われてしまっていた。砂埃の中から、小さな子供の姿が浮かび上がり、手にはロケットランチャーを構えていた。


「レオナ!?」 空が驚きとレオナを呼ぶ声を上げる中、小さな子供の姿をした不法侵入者はロケットランチャーを手にエージェントたちに向けた。


「隊長危ない!!!」一人の隊員が掩護を命じると放たれたロケランは天井に命中し、閃光と一部の壁を吹き飛ばす。その破片、衝撃波、瓦礫がエージェントたちを巻き込む中、一瞬の混乱が広がった。空は身を守るために急いでカバーを探し、レオナに向けて呼びかける。


「レオナ、お前だろう?なぜこんなことを!?」


煙と砂埃の中から、レオナの声が返ってきた。


「なぜって……なんでって?!」レオナは激昂しながらも、瞳には異常な輝きが宿っていた。「私は何も悪くない! !悪いのは人を虐める者たちだ!!それ以外はないわ!!」


煙が晴れると、レオナの姿が浮かび上がった。彼女は冷徹なまなざしでエージェントたちを見つめ、言葉を続けた。


「やっと分かった……何故こんなに悪い人が、こんなに悪い人が……」レオナの言葉が途切れ、破片が舞い散る廊下でエージェントたちは彼女の急襲に戸惑いつつも、その背後に潜む理由を理解しようとしていた。


「レオナ、冷静になってくれ!」空はなんとか制止しようと試みるも、彼女の目には怒りと悲しみが入り混じり、まるで燃えるような炎が灯っていた。「不安は消されない……今解決してもまだ不安が広がっている」


エージェントたちは緊迫感漂う中、空は欠けた壁の血を辿ると六人の遺体が重なっていた。エージェントたちは沈黙に包まれ、レオナの行動が背後に隠された悲劇の一端を明らかにしていた。空は深い悲しみを感じながらも、彼女に対峙した。


「レオナ、君の行動は理解できる。だが、限度がある。もちろんお前が危機を感じた気持ちははっきり分かる。でも、君の行動が招いた結果はもう一度考えないといけない。これ以上の被害を防ぐために、協力して問題を解決しよう?」


レオナはまだ憤怒のまなざしを向けながらも、空の言葉に耳を傾けた。彼女の中に渦巻く感情が複雑に入り混じっていたが、一瞬の沈黙の後、彼女は深いため息をついた。


「でも……でも、これ以上誰かが苦しむのは嫌なんだ。私はただ、正義を貫くために戦っていたつもりなんだ。でも、どうしてこんなことに……」


「やっと心を入れ替えたか? それじゃあ一瞬に署までご同行するね」


優しい微笑みで伝える空は部隊に合図すると手錠を取り出し、隊員がレオナに近付くとエージェントたちはレオナを取り押さえ、彼女の危険な行動を封じることに決めた。手錠を装着しようとするが、レオナの中にはまだ燃えるような怒りが宿っていた。


「触るな!私を触るな!」彼女は絶叫し、身体を抵抗の限り反らせて手錠から逃れようとしたが、仲間たちは固く制止した。


「レオナ、冷静になってくれ。君の行動がもたらした結果を受け入れないと、これ以上解決は難しい」


空はなるほどの穏やかな声で言い、他のエージェントたちもなんとか彼女を鎮めようと努力した。しかし、レオナの心にはまだ抱えきれない苦悩が渦巻いていた。


「何もかもが壊れた……」と彼女はつぶやきながら、体重の半分の一人の隊員を軽々持ち上げ、投げ飛ばされる。他のエージェントたちは驚きの中、手錠を装着しようとするものの、レオナの力強い反抗に苦戦していた。彼女の瞳には激しい怒りと絶望が入り混じり、その力はまるで制御不可能な嵐のようだった。


「レオナ、君の怒りは分かる! でも、これ以上は危険だ。落ち着いてくれ!」空が懇願の声を上げるが、彼女の怒りはなお収まる気配を見せなかった。


部隊が発泡するとレオナは素早く身の軽い動きでエージェントたちの銃弾を躱し、そのまま施設の奥深くへと駆け出していった。空は仲間たちに指示を出し、レオナを追跡するよう命じた。


「追うぞ!何があっても発泡はするな!」


「神薙!! 何やってんの!!」


後ろにレナの声が部屋中に響き、空は驚きと混乱をした。

 

「神薙空くん!! 何で勝手に子供を手錠かけているの!?」レナがエージェントたちに向かって怒りをぶつける中、空は一瞬立ち止まり、その行動が冷静でなかったことに気づいた。


「すまない…ただ…彼女が危険だったんだ。制御できない力が湧き上がっていて」


「理解を示してあげてるのはいいけど、それで手錠をかけるのは、あまりにも過剰だよ!!」


レナが空に厳しい視線を向ける中、エージェントたちは混乱した状況を収拾し、レオナの追跡に集中することになった。


「空くん、子供も罪悪感はあってね、自分がやった行いを理解してるけど友達と家族も居ない一人で檻の中に過ごしたくないものだよ……」


エージェントたちは深刻な表情でレナの言葉に耳を傾け、空も反省の色を浮かべた。


「空くん、無理にでも手錠をかけてしまったの?」レナが尋ねると、空は瞬間的に躊躇いながら答えた。


「彼女の力が制御できないと危惧して何とか逮捕しようとしたが、確かに行き過ぎた行動だったな……」


空は深い反省の中で、レナの言葉を受け入れながら続けた。


「――分かった、空くん。でもこれからは危険だと思う前に、もっと相手の状況を理解して行動するようにして。彼女に対してもっと思いやりを持って接することが、今後のトラブルを避ける鍵になるかもしれない」


空はレナのアドバイスを真摯に受け止め、未熟だった自分の行動を改める決意を固めた。エージェントたちは再び追跡に集中し、レオナを探し出すために施設内を進んでいく。


「また改めて謝るよ、レナ。君の指摘は正しかった。今度は適切に対応するように心掛ける」


「私も知りたいことがあるけど、とりあえずレオナを止めないと」


空とレナが言葉を交わしながら、この六人の遺体と周りに広がる破片や瓦礫の中で、彼らの死に至るまでの経緯が不明瞭に浮かび上がる。


「この人達は? 若い男の子達だけど」


レナが指を指すと空は深くため息をつきながら答えた。「彼らはまぁ、少し頭のネジが外れた困った者たちさ。イカれた輩で馬鹿な行動をして人に迷惑をする不名誉な存在だったからね」


「つまり全国民の恥で、彼らは何度も警告を受けながらも犯罪行為を続け、最終的にはこの施設に侵入して亡くなったってことかな?」


レナが興味津々で尋ねると、空は複雑な表情で語り始めた。


「そう、彼らは社会から孤立し、問題を引き起こす存在だった。だが、不運にもそれが施設に侵入し、命を落とす事態に繋がるとは思っていなかった」


レナたちは深くため息をつきながら、遺体の前に立ち止まり、証拠として写真を撮る。レオナの姿はまだ追いつけそうにないが、彼女が何者かに狙われていることは明らかだった。


「行きましょう。犯人が逃亡する前に早く追跡を再開しましょう」


施設内を進むエージェントたちは、レオナの足跡を頼りに進む中、異変がますます強まっていく。光景が次第に歪み、現実と幻想が交錯する中、エージェントたちは警戒の中で進んでいった。



――月日が青白く照らされる光景が歪む中、屋上で空を見上げるレオナは幻想的な時間をかけめぐり、彼女の瞳には未知の感情が宿っていた。施設の深部から聞こえる異常な音とともに、彼女は急速に力を取り戻し、その身に秘めた力を解放し始めた。


「なんで……こんなことになってしまうんだろう?私はただ、正義を貫こうとしていただけなのに……」レオナの声は深い悲しみを秘めていたが、同時に強さも感じさせるものだった。 


異常な音の正体は金属を削る音でその音がますます大きくなる。削る音を聞きながら空を眺める時間を楽しんだその時、金属音が急に止まり、静寂が広がった。レオナは不穏な空気を感じながら後ろを振り向くと、屋上の扉に立つ謎めいた存在が姿を現した。


「あぁ……エリザベスね。なんか用かな?」


エリザベスは謎めいた微笑みを浮かべ、ゆっくりと歩み寄ってきた。


「レオナ、貴方の力、見せてくれるかしら?」彼女の声は優雅で、どこか威圧感を感じさせるものだった。


エリザベスの呼びかけに応じ、レオナはエリザベスに対して激しい拒絶のまなざしを向ける。


「君なんかに私の力を見せる理由なんてない。何のために私に声をかけてきたの?」


エリザベスは微笑みを浮かべたまま、言葉を紡ぐ。


「貴方の力は特別ね。それに、私は貴方がどれだけの可能性を秘めているのか知りたいだけ」


レオナの眉間には深い皺が寄り、エリザベスの言葉に対する警戒心が高まっていた。


「可能性?私の力がどれだけ特別だというの?」


エリザベスは微笑みながら、広がる屋上の風景を見つめながら続けた。


「貴方の力はそのエレメントホルダーにおいてだけでなく、ゲノム遺伝子の中で特異な存在。又は怪物的な存在で、身体能力が通常の人間を遥かに超越している。それはあなたが普通の人間ではないことを示しているのよ」


レオナは言葉に驚きと疑念を交えながらも、自分の力について認めなかった。


エリザベスの言葉に、レオナは内なる葛藤を抱えつつも、彼女の前に現れた理由を尋ねる。


「なぜ私の力がそんなに特別だと思うの? それとも、君が何か知っていることがあるのか?」


エリザベスは深いため息をつくと、知らん振りをする。


「知らなぁい。ただの勘だよ〜」


「ただの勘!? ふざけないで!」


怒りに震えるレオナの声が屋上に木霊する。エリザベスはなおも微笑みながら、彼女に対する不気味な愛着を覗かせていた。


「ふざけているのは貴方だよ。ただ貴方の過去は複雑でどういう経緯で戦闘民族になったのか不思議でしょうがないもん」


エリザベスの言葉に対して、レオナは戦慄と共に過去の記憶がよみがえるのを感じた。

エリザベスは話を続けた。


「ただ貴方の正義って、ただ悪者を倒して世界を平和にするってことするんでしょう? でもそれが本当に正義なのか、それとも何か別の力が影響しているのか、私は気になるのよ」


エリザベスの質問に対して、レオナは深い葛藤に囚われながらも、自分の信じる正義について語り始めた。


「私の正義はただの悪者を倒すだけじゃない。私は虐げられる者たちを守りたい。だからこそ、あの連中に立ち向かっていた。でも……でも、なんでこんなことになってしまったんだろう」


エリザベスは先程興味心身だったが目を合わせず適当に返事をする。



「へー、で? 何? ただ平和になりたいだけ? 私はそういう貴方みたいな平和は嫌いなんだよ」


エリザベスは冷酷なまなざしでレオナを見据え、言葉を続けた。


「私は私なりの平和がある。でも、それは貴方のような正義ではない。私の平和は楽園のような場所で手に入れるもの。力、支配、そして絶対的な自由。それが私の望む平和だ」


エリザベスの言葉に、レオナは戸惑いと反発心を交えた表情を浮かべる。


「私たちは違う。私は他者を守り、正義を貫こうとしている。君が求める平和は何なの?他人を犠牲にすることで手に入れるものなら、それは本当の平和じゃない」


エリザベスは冷淡な微笑みを浮かべ、次第に異次元のエネルギーが彼女を包み込むようになった。


「レオナ、君も気づいているはず。この世界は複雑で、単純な正義だけでは解決できない。力が必要だし、時には妥協も必要なのだ」


レオナはエリザベスの言葉に耳を傾けながらも、自らの信念を曲げずに立ち向かう決意を固める。


「私の信念を曲げない。私の力は他者を守るためにある。君の言う平和なんて受け入れられない」


レオナは冷酷なまなざしでエリザベスを見つめるとため息をついた。


「それが貴方の選択ならば仕方ない。ただし、私の計画に立ちはだかる者は容赦しないことを覚えておくといい」


言葉を残して、目の前から急に消えた。


「なっ!?何処だ!?」


次の瞬間、後ろから気を感じたレオナは振り返ると銃口を向けながら待機してた。


「éviter.(避けなさい)」


エリザベスが発した言葉によって、レオナの体が自然と横に躱るように動いた。その瞬間、何かが施設の壁に激しくぶつかり、砕け散る音が響いた。


「素晴らしいねぇ。でもこれで終わりじゃないよ、レオナ」


エリザベスは微笑みながら、再びリボルバーを操りながらレオナに襲いかかってきた。レオナは敏捷な動きで攻撃をかわし、同時にエリザベスの動きに気をつけた。


「これがアビリティインデックス1位の実力……隙が見えない」


レオナはエリザベスとの戦いにおいて、その強力なアウレリアに立ち向かう決意を胸に秘めていた。レオナは巧妙に織り交ぜられたエリザベスの攻撃を見切り、自身の力を解放して反撃に転じた。


「そこ!!」


サブマシンガンを構えたエリザベスに向けて放った。弾丸が空を裂き、エリザベスは巧妙な回避でその攻撃を躱す。しかし、レオナはその隙を突いて、手榴弾のレバーを抜いた2秒後に投げると手榴弾が爆発し、屋上に煙と炎が舞い上がった。



「流石に死んだでしょ……」


エリザベスの前で爆発した煙が晴れると、驚くべきことが待っていた。エリザベスは傷一つついていないように見え、微笑みを浮かべていた。


「やれやれ、あと数メートル近かったら君の攻撃が届いたかもしれないね。でも、忘れてるけど私は早撃ちの達人だからね。こんな些細なことで私が倒れるわけがないわ」


「嘘でしょ……」


レオナは驚きと焦りを交えた表情でエリザベスを見つめたエリザベスの微笑みが深まり、彼女は優雅にレオナに近づいてきた。


「残念ね、レオナ。でもこれで面白くなるわ。君の力、私の力、どちらが優れているか、試してみましょう」


言葉が終わると、エリザベスの手元には不気味なエネルギーが集まり、その瞳に翼のシンボルが浮かび上がった。


「どうせ私の攻撃は通用しないでしょうが、私の正義は貫きます。君の計画を阻むために、戦います」


レオナはエリザベスに向けて構えると、瞳にはエリザベスとは逆の左の翼を解放した。


「左右非対称の同じ翼、私に似せたのかなぁ? レオナ・ローレンス」


エリザベスは奇妙な興奮を秘めながら、エネルギーが彼女を包み込む様子を見せた。その瞬間、異次元の風が屋上を吹き抜け、周囲の空気が急激に変わった。


「面白いわ、レオナ。さあ、私たちの真の力をぶつけ合いましょう」


エリザベスが手にしたリボルバーから放たれるエネルギー弾は、空を駆けめぐりながらレオナに迫った。彼女は機敏な動きでそれを避け、サブマシンガンの連射で反撃に転じた。


「それでも私の正義は揺るがない!」


レオナの言葉とともに放たれる弾丸がエリザベスに迫り、彼女は優雅に回避した。


「とっととその正義思想捨てて、私のもとについてくれば、この世界はもっと楽になるのにね」


エリザベスの冷酷な言葉に、レオナは強く反発した。


「絶対にありえない! 君の手にかかるなんて絶対に許さない!」


炎のような意志を込めたレオナの言葉にもかかわらず、エリザベスは余裕の微笑みを浮かべて応じた。


「へぇー、じゃあ。力を100%させてみるかー。もちろん死ぬかもね」


レオナはエリザベスの言葉に警戒しながらも、自分の最大限の力を解放し始めた。

サブマシンガンと共にエリザベスに向けて放つ瞬間、気付いたら彼女が目の前に立ちはだかっていた。エリザベスの姿が、まるで異次元から現れたように変わっていた。


「grossier(失礼)」


エリザベスの言葉が響くと、レオナの太ももに深手を負ったような傷が現れ、彼女はびっくりして後退した。エリザベスは冷静なまなざしでレオナを見据えた。


「まだ本気を見せないでいいわよ。でも、それだけじゃ私を倒せないわ」


レオナは痛みをこらえつつも、戦意を喪失せずに再びエリザベスに立ち向かった。


「流石軍人さん。この傷でも動けるなんて」


 エリザベスは傷ついたレオナに冷ややかな笑みを浮かべた。


「でも、それだけじゃ私を倒せないよ。君の力、もっと見せてくれないかな?」


レオナはエリザベスに挑発の言葉をかけるが、太腿の傷に逆流する血液がレオナの視界が次第にぼやけ、エリザベスの存在が不安定になりながらも執念を込めてエリザベスに向き直り、息を乱しながらも激しく力を取り戻そうとする。


エリザベスの微笑む表情から顔を90度傾けながら嘲笑うような笑顔を浮かべ

た。その表情はレオナにとって異様なほど冷酷で、残酷な笑みだった。エリザベスはまるで戦いを通じて得た優越感に満ち、相手の絶望を楽しんでいるかのように見えた。その笑顔は一瞬のうちに次なる攻撃への準備を示し、彼女の異次元の力がより一層強まりつつあった。


「いいねぇぇえいいねぇぇえ!!その刺激を求めてたよぉぉお!!頭が狂いそうになるくらい興奮しているわぁぁあ!!Aussi horrifiante que soit la scène, la musique ne pollue jamais nos oreilles et nous apporte toujours de la joie ; en d’autres termes, elle doit continuer à être de la musique pour toujours.最高ですねぇぇえ!!」


エリザベスの言葉と笑顔からは異様な喜びと興奮がにじみ出ている。エリザベスの言葉に混じる異次元のエネルギーはますます強くなり、屋上の空気が不気味にゆがみ始めた。レオナは瀕死の傷を抱えながらも、エリザベスへの憎悪と決意が彼女を立ち上がらせた。彼女のサブマシンガンから放たれる弾丸がエリザベスに迫り、異次元の力との激しい戦いが続いた。


しかし、エリザベスは冷静なまなざしでレオナの攻撃をかわし、その都度反撃に転じてきた。傷つきながらも戦意喪失しないレオナに対し、エリザベスの表情は次第に狂気に彩られていく。


「面白い、もっともっと苦しんで、もっともっと深い絶望を味わってみたいわ!! 君の抵抗がどれだけ続くか見てあげましょう!!」


エリザベスの声が異次元の風に乗って屋上に響く中、レオナは最後の力を振り絞り、全身に力を込めてエリザベスに向かって突進した。レオナの突進に対して、エリザベスは満足げな笑みを浮かべ、どういうわけか彼女が迫るままに静かに立ち去りかけた。


「あ、近付いたぁ」


エリザベスが言葉を紡ぐと同時に、レオナの目の前で手榴弾が爆発し、閃光と爆風、そして煙が辺りを覆った。レオナは爆風に巻き込まれ、身体が宙を舞いながら地面に叩きつけられた。


「痛い……何で……」


炎と煙の中から、彼女の苦悶の声がこだまする。エリザベスは冷酷な笑みを浮かべ、優雅に歩みながら言葉を投げかけた。



「紐で繋がれた手榴弾の落とし物だよー」


エリザベスの言葉にレオナは施設に仕掛けたブービートラップだと気づく。地面に倒れたまま、レオナは身動きが取れなくなった。身体を確認すると手と腕の肉は裂け、立ち上がろうとしても足の感覚がない。


服は爆発で燃え散ったと思うし、レオナの制服は爆風で燃え尽き、彼女の傷ついた肉体が露わになった。煙と炎の中、エリザベスは冷徹なまなざしで倒れたレオナを見つめた。


「愚かな軍人さん。風邪引くよ? あでも、大事なところは見えてないか安心安心」



エリザベスは冷笑しながら近づき、レオナの無力な姿を見下ろした。


「君の正義がこんなものだとは、ちょっとがっかりだわ。でも、仕方ない。運命はこうなったってことよ」


「嫌だ……こんな最後の運命……」


瀕死の状態で念願していたはずの正義が崩れ去り、レオナの目には絶望がにじんでいた。


エリザベスは嘲笑いながらレオナに寄り添い、彼女の耳元で言葉を囁いた。


「君の望んでいた未来はもう見えないんだね。このまま消えてしまいなさい。どうせ勝てないと見込んでるのに」


一抹の哀れみを込めて、エリザベスは言葉を続けた。


「私は最高の楽園を用意しているの。君のような弱者はここではもう要らないけど、安心して。この痛みもすぐに消えるから」


エリザベスは冷酷な微笑を浮かべ、レオナを絶望へと追い込んだ。


「怖い……死ぬのが怖いよ……エリザベス……」


レオナの声は弱く、絶望と死の恐怖に彩られていた。エリザベスは、彼女の苦しみを見つめ、その状況を楽しんでいるようだった。


「そうだね。貴方はまだやることだってあるはずものね。でも、これは戦闘であり死は避けられない宿命さ」


「私を助けて……死んじゃう……」


レオナの声が弱々しく漏れる中、エリザベスはふーんっとため息をつき、興味深そうに彼女を見つめた。


「貴方のために助けを呼ぶ?それはちょっとつまらないわ」


エリザベスは冷淡に微笑みながら、彼女のもとを離れると、屋上から静かに立ち去っていった。残されたレオナは死に耐えながら、無力感と絶望に包まれていた。


「私の手が無い……どうしてこんなことに……」左腕を確認すると既に手が消えており、更に左頬から隙間風が吹き抜ける。この身体の怪我で悟ったのがゾンビのような存在になったこと。手榴弾の爆風で部分的に死んだ身体が、不気味な生命力を保ちながらも軍人としての力を喪失していく。


「爆発の後ってこんな形なのか……」


レオナは自身の身体に触れ、変わり果てた姿に戸惑いを覚える。助けを求める術も手立てもないことを痛感していた。屋上にただ一人残され、エリザベスの挑発が心に突き刺さった。


「もう……私の未来は……」


彼女の声は小さな囁きとなり、絶望の淵で彷徨っていた。


数分経った時、ドアから強い衝撃音が聞こえ、屋上に向けて誰かが駆け上がってくる音がした。レオナは驚きと希望を交えた表情でその方向を見つめる。扉が開くと、何者かが慌ただしく屋上に姿を現した。


「レオナ、大丈夫か!?」


声の主は空で、レオナを支えながら安否の確認をした。彼女は視界がぼやけながらも、その声に安心感を覚えた。


「空……来てくれたの……こんな私が……」


空はレオナを優しく抱きしめ、彼女の状態を確認した。


「レオナ!?何でこんなことに……なっちゃったんだ!?」


「私の罠見たい……自分で仕掛けたトラップにはまっちゃったのさ……私は馬鹿だったな」


レオナは苦しそうに笑い、空は彼女を優しく励ました。


「大丈夫だよ、レオナ。君を助けるために来たんだ。今は安心して、治療を始めよう」


「いや……私は空に会えただけで、もう十分だよ……」


空はレオナに微笑みかけながら、急いで応急処置を施すために手を動かし始めた。


「お前はまだ死んではいけない!俺はまだお前のことをよく知りたいんだ!だからすぐ治療する!」


「もういいよありがとう……私の身体はもう元通りじゃない……でも、君が来てくれただけで十分だよ……」


レオナは微笑みながら、自身の限界を感じながらも、空に感謝の気持ちを伝えた。


「馬鹿なこと言うなよ!君を助けるのが仕事だ!君の未来はまだ終わっていないんだぞ!」


空は真剣な表情で言い放ち、レオナの手当てを続けた。レオナは涙を流しながら必死に話した。


「私は人々を守れなかった……正義って本当は存在していないのかもしれない……」


空は黙って手を止め、レオナの目を見つめた。


「正義が存在するかどうかはわからない。だけど、君が人々を守れなかったとは思わない。君は戦って、努力して、未来を切り開こうとした。それが正義だと思うよ」


「そうだね……でも私はやっと気付いて人を殺めて何か得られるものはないって……だから私はこういう性格が嫌い」


「性格なんて人それぞれだ。ただ、それが前向きに生きてればいいんだ。君はまだやりたいことがあるんだろ?」


レオナは空の言葉に頷き、微笑みながら続けた。


「そうだね、まだやりたいことがある。人を守ること、そして……」


彼女は空に対して真剣な表情で言葉を続けた。


「美味しい空の手作り焼きそばをまた食べたい……空の作った手作り焼きそばは世界一美味しいんだから」


空は微笑みながらレオナの手当てを続け、彼女の言葉に応じた。


「そうだな、美味しい焼きそばは絶対に作ってやるよ」


空はレオナに寄り添い、彼女の手当てを続けながら笑顔で言った。


「お前が望むなら、何だって作ってやる。そして、お前はまだやることがあるはずだ」


「そうだ……ね……もう意識が……」


空はレオナを支えながら、急いで彼女の治療を進めた。屋上での死闘の余波が、彼女の身体に深い傷跡を残していた。


「待て!もう少しだレオナ!君を助けるために全力でやるから、耐えてくれ!」


空が必死に手当てを続けながら、レオナは次第に意識が薄れていく前に空の腕を引っ張って彼女の上にもたれさせた。


「温かい……人間らしい温かさ……ありがとう、空……」


レオナの言葉は微かに聞こえ、空はただ呆然と彼女の姿を見つめていた。レオナの目が閉じる前に、彼女は微笑みながら言った。


「少し拒んでる……?最後くらい好きにしていいよ……」


空はレオナの最後の言葉に驚きながらも、彼女を抱きしめた。彼女の身体はだんだんと冷たくなり、意識が遠のいていくのを感じた。


「ありがとう、レオナ。君は強かった。本当に頑張った」   


空は心からの感謝と決意を込めてそうつぶやいた。レオナの姿は次第に淡くなり、彼女の最後の瞬間が迫っていた。次第に手の力が弱まって、レオナの身体は重く感じられ、彼女の存在が次第に淡くなっていく。空は彼女を優しく抱えながら、最後の瞬間を見つめていた。


「レオナ、ありがとう。君がいてくれて本当に嬉しかった。」


彼女の瞳が閉じると同時に、空は静かな別れの言葉をささやいた。


「君の力、正義、そして君の美味しい焼きそばのこと、忘れないよ。安らかに眠れ、レオナ。」


空はなおも彼女を抱え、屋上の風に語りかけるようにそっと立ち去った。残されたは、屋上にただ一人寂しく眠るレオナの姿だった。


その後、屋上では異変がなくなり、闘いの余波も消え去っていった。


駆けつけたレナは、屋上に姿を現すと、目の前で繰り広げられた激しい戦闘の跡を見つめた。彼女は慌ててレオナのもとに駆け寄り、その様子を確認した。


「レオナ、大丈夫!?何があったの!?」


レナが驚きと心配の表情でレオナのもとに駆け寄ると、彼女の身体はまだ冷たさを帯びていた。空が黙って頷くと、レナは悲しみで口に手を抑えた。


「なんで……こんなことが……」


レナは言葉に詰まりながらも、レオナの無念さと悔しさに胸が痛んだ。空は優しくレナの肩を抱え、二人で黙ってレオナを見つめた。


「彼女は最後まで正義を貫いた。でも、戦いの中で失ったものが多すぎたんだ」


空の言葉に、レナはなおさら心を締め付けられた。悔しさと悲しみを抱えながら、レオナの最期を悼む二人は、彼女のために手を合わせた。屋上には風が静かに吹き、落ち着かない雰囲気が残ったまま時間が流れていった。



基地内では、レオナの最期と戦いの様子が報告され、彼女の功績や犠牲に対する敬意を示す中、二人はレオナの思い出に敬意を表し、喪失感に包まれた。戦いの果てに失われた仲間への哀悼の意を胸に秘め、基地内では悲しみの空気が広がっていた。


「なんでのよ……」


レナの声は、なんとも言えない悲しみと怒りに満ちていた。彼女は喪失感に苛まれ、失われた仲間への無念さが胸を突き刺すようだった。


「これが戦争の現実なんだよ。我々が選ばざるを得ない道だ。だが、君たちが守るべきは、彼女たちの意志だ。彼女たちの勇気と犠牲を無駄にしてはならない」


空が穏やかな声で言葉を紡ぐと、レナは悲しみと共にその意味を理解し、頷いた。


ポケットから着信音が鳴り響いた。空が慌てて携帯を取り出すと、携帯に出ると、看護師が安堵の声を上げた。


「神薙空様でしょうか?お連れのアリス・ローナ様の意識が戻りました!」


「アリス!?アリスが!?」


「神薙くん!?アリスが目を覚ましたって!?」


看護師の報告に、空は一瞬で喜びの表情に変わり、ホッとした声で返事をした。


「それは本当に良かった。ありがとう、看護師さん。急いで向かうから、アリスに伝えてくれ」


空が携帯を切ると、レナも安堵の表情を浮かべて言った。


「アリスが無事でよかったね」


「そうだな、これでちょっとだけ心が軽くなった。レオナの分まで生きていくんだ」


 二人は共に決意を新たにし、アリスのもとへと急いだ。


穏やかな風の中で、二人はアリスの部屋に到着した。部屋の中ではアリスが意識を取り戻し、看護師とユキたちが彼女の状態を確認していた。


「アリス、元気そうで何よりだね」


空がアリスのベッドに寄り添い、ホッとした笑顔を見せた。


「空、レナさん、ありがとう。みんなに心配かけちゃったかもしれないけど、私、大丈夫だよ」


アリスは微笑みながら言い、二人の安心した表情に応えた。ユキはその場から離れようとした時、レナが急に手首をつかんで声をかけた。


「この子を助けてくれたの?」


「え?いや、私はただの通りすがりの者なのでこれで失礼します……」


「待ってください! 貴方はユキの友達でしょう?」


レナがユキに問い詰めると、ユキは戸惑った表情で首を横に振った。


「いえ、私はただのアリスさんが倒れているのを見かけて手助けしただけです」


「ユキ、本当は違うんだろ?」


「あ、いや、そ、それは……」


「この友達があたしを助けてくたんだ!」


アリスの発言に、ユキは困ったような表情を浮かべた。


レナはユキに疑問の視線を向け、彼女の言葉に違和感を覚えながらも、なぜか微笑んでいた。


「ユキちゃん、何かあったの? 私たちはもっと正直にならないと。君が助けてくれたこと、感謝してるんだから、素直に言っていいんだよ」


レナの言葉に、ユキはしばらく口ごもりながらも、最終的に素直に答えた。


「……うん、確かに私がアリスさんを助けたのは事実。でも……」


レナと空は興味津々の表情でユキを見つめ、ユキは空の目線が合うたびに反らす。言うのが怖く、ユキはなかなか言葉を口にできなかった。アリスは微笑みながら彼女に寄り添い、優しく声をかけた。


「ユキ、何か心の中に抱えていることがあるのかしら?」


ユキは深いため息をつき、その胸の内を打ち明けることに決意した。


「実は……ちょっと怖い人が……」


「怖い人に追われたの?」


「違います……空さんがちょっと……感情が怖いんです。怖くて逃げたくなって……」


「僕が怖い? 何でだ?」


空が戸惑いながら問い返すと、ユキは再びためらいながら語り始めた。


「いきなり私にビンタしてしてきたり、怒ったりしたり……でも、でも、私も悪いと思ってます」


ユキが複雑な気持ちで言葉を紡ぐと、レナが空を睨みながら言った。


「空、ちょっとやりすぎじゃない?」


空は戸惑った表情で言い訳をしようとしたが、レナは厳しい目で彼を睨みつけた。


「神薙くん」


レナの声に振り向く急に拳が顔面の頬に一発食らい、自ら壁にもたれ掛かった。


急に状況が変わり、空は唖然としている中、レナは胸倉を掴まれされながら彼に罵倒する。


「空!! ユキに暴力とかふざけてんの!!」


怒りに震えるレナの声に、ユキも驚きと恐れを感じながら、空に視線を向けた。空は反省の表情で頭を下げ、深くため息をついた。


「すまない、レナ!本当に悪かった!」


「謝っても何も変わらないでしょうが……相手は子供だってさっき忠告したはずよ!!あんたが怒ってる理由も分からないし、子供に手を出すなんてありえないわ!!」


レナは怒りっぽい表情で続けたが、ユキは怯えながらも控えめな声で言った。


「あの、私も悪かったんです。空さんに向かって失礼な言葉を遣って……」


「いいえ、ユキちゃんの言い分もわかる。でも、空がこれ以上何かやらかす前に、減給では済まされないだろうと思うわ。刑事事件として処理される可能性もあるわ」


その瞬間、部屋に入ってきた看護師が混乱した様子で言葉を挟んだ。


「何事ですか、騒がしくて。ここは病室なんですから、静かにしていただけませんか?」


レナは看護師に向けて怒りっぽい表情で口ごもりながらも言葉を続けた。


「すまない、でもこの人が……」


「何があったか知りませんが、他の患者の迷惑になります。もしトラブルがあれば、ちゃんと警察に通報しますよ。皆さん、冷静にお話しできますか?」


看護師の冷静な声により、一時的に部屋の中は静まりかえった。空は反省の表情を浮かべながらも、自らの行動に後悔の念を抱いていた。


「みんな、もう少し冷静になって話し合いませんか?」


ユキが静かな声で提案すると、アリスも微笑みながら頷いた。


「そうだね、冷静になって話し合いましょう。空くん、なぜそんなことをしたの?」


空はしばらく言葉を探し、その後に重い口を開いた。


「俺は怒りっぽくて、つい感情のままに行動してしまうことがある。でも、それは許される理由じゃないな。すまない、本当に悪かった」


レナはまだ怒りっぽいまなざしで空を見つめながら、深くため息をついた。


「まあ、怒りっぽいのは分かったわ。だからといって子供に手を出すってどうかしてるわよ」


「すみません……」


空の謝罪に、ユキも続けて謝罪の言葉を述べた。


「私も言い過ぎたし、反省してます。でも、やっぱり感情のままに動いてしまって、今の自分にがっかりしてるんです」


レナの言葉に、空は頷きながら深々く頭を下げた。


「看護師さん、すみませんでした。もう少し話し合いたいことがあるので、お許しいただけますか?」


レナが看護師に頭を下げると、看護師は少し困った表情で答えた。


「もちろんですが、他の患者には迷惑をかけないようにしてくださいね」


部屋の中で静まり返り、四人は今後の話し合いに入ることになった。


ユキはしばらく考え込んだ時、急に涙がこぼれ落ちた。彼女の心に積もりに積もった感情が、ついに溢れ出してしまったのだ。


「ユキちゃん、どうしたの?」


アリスがユキに優しく声をかけると、ユキは抑えていた感情を解放し、そのまま泣き崩れた。


「私……私、本当は正直者でいたかった。でも、空さんに対しての気持ちや、自分の本音を抑え続けていたから……」


泣きながらユキが語ると、アリスは彼女を優しく抱きしめた。


「ユキ、大丈夫。君は人間だもの。感情を抱え込みすぎないで、素直な気持ちを表現することが大切だよ」


アリスの言葉に励まされ、ユキは少しずつ泣き止んでいく。その様子を見て、レナは早くしなさいっと空に背中を押した。


「お、おう……」


しばらくの沈黙が続いた後、空は改めて言葉を紡ぎ出した。


「ごめんな、ユキ。君に怖い思いをさせちゃって。俺、本当に反省してるよ。もう感情のままには暴れないから、安心してくれ」


ユキはまだ涙を拭いながら、空の言葉に少しずつ微笑むと、頷いた。


「いいですよ……空さんが悪いわけではないし、私の性格の問題です……帰りますね。お騒がせしてすみませんでした」


ユキが言うと、車椅子を動かして立ち去る時、右手を掴まれ振り向くと空は真剣な表情で頭を下げた。


「本当にごめんな。君に迷惑をかけちゃって悪かった」


空の謝罪に、ユキは涙を堪えながら空を抱いた。


「本当に私が悪いのに何で謝るのですか?私が全て悪いのに」


ユキの言葉に戸惑いながらも、空は優しく微笑んで応えた。


「いや、お前は悪くないよ。本当にお前は悪くない」


急に静かになった病室の中で、空とユキは深い言葉を交わしていた。アリスとレナもそのやりとりに黙って耳を傾けていた。


「本当に手は出さないですよね……?」


ユキは不安げな表情で言葉を続けると、空は彼女の頬に指で触れて優しく微笑んだ。


「もちろんさ。君が怖がるようなことは二度としないって約束するよ。本当に悪かった」


空の優しい言葉に、ユキはほっとした表情で微笑みかけた。


「ありがとう……でも、今度から私もっと素直になりたい。感情を抑え込まず、本当の自分を出していけたらいいな」


「そうだな。君は素直でいいんだよ。感情を抱え込むのは苦しいだろうし、心から笑えるようになったらいいな」


「空さん……その、素直な気持ちですけど……」


「どうした、ユキ?」


ユキは深いため息をつきながら、改めて空に向かって語りかけた。


「私、実は空さんが好きなんです」


言葉が部屋に響き渡る中、アリスとレナは驚きの表情を浮かべ、空も言葉に詰まるような表情を見せた。


「えっ……?」


ユキは真剣な表情で続けた。


「最初はただの好奇心でした。でも、一緒にいるうちに、空さんのことがどんどん好きになって……」


空は言葉に驚きと戸惑いを抱えていたが、ユキは彼に向けて優しい微笑みを浮かべた。


「でも、もちろんこれからも友達でいたいと思っています。お互いに素直になりたいし、一緒に過ごす時間が楽しいと思っているから」


ユキの言葉に、空はしばらく黙って考え込んだ後、優しい笑顔を返した。


「ユキ、君の気持ちに感謝するよ。でも、君の気持ちには答えられないな。まだ見た目は子供だし、その気持ちを受け入れるには時が必要だな」


ユキは戸惑った表情で空の言葉を受け止め、微笑んで頷いた。


「わかりました。でも、これからも一緒にいられるだけで嬉しいし、友達として支え合っていけたらいいなって思っています」


「そうだな。俺たちが友達でいることは変わらないし、お互いを尊重し合っていこう」


アリスとレナも微笑みながら、ユキと空のやりとりを見守っていた。


「とにかく、これからはもっと素直になってね。感情を抱え込まず、お互いの気持ちを正直に伝えていこう!」


アリスが優しい笑顔で言うと、四人はその言葉に共感しながら、新たな出発を切ることを誓った。


しばらくして、病室の中は再び穏やかな雰囲気に包まれ、四人は笑顔で会話を続けた。そして、これからの日々に向けて、新しい絆が生まれつつあった。

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