ついに決断
オレは優柔不断すぎる。
もうさ、もうやっぱり…おばあさんにはっきり打ち明けようかな。ほんとは、好きな人がいるって。
それでお友達からそのお孫さんと仲良くなって、いちからその人のことを知っていっても遅くないんじゃないかなって思うんだよね。
やっぱり…なんの感情もないのに婚約とかしてもこれから先、不安っていうかね…。
あのときは、曖昧な返事しちゃったり…なんならおばあさんのお孫さんと結婚するから、だから安心してくださいなんて口走っちゃったけどさ、でも…好きでもない…ましてや知らない人をこれからオレは一生愛していけるのかって言われると…正直自信が…あまりない。
ルトくんにもきちんと言わないとだな。
ごめんなさい。おばあさん。ルトくん。
オレは一大決心して、おばあさんの家へと向かった。
するとおばあさんの隣の家からいきなりルトくんが現れた。
⁉︎
え?ルトくん⁉︎
「あれ、ルトくん…今…どこから…」
「ん?うちここだよ!」
指差す方向をみるとまさかのおばあさんの家の隣っ⁉︎
あぁ、だから…もしかして隣だからオレの自転車があるときは、お姉さんオレが来てるってわかってて、鉢合わせとかがなかったのか…。
「あ、ルトくん…その…言いづらいんだけど…結婚式ね…その…」
「ん?なに?やっぱりチョコケーキいや?お姉ちゃんは、チョコいいね!って喜んでくれたんだけど…いやなら白にする?」
と。
?お姉ちゃん…
「お姉ちゃん?なんでお姉ちゃん?」
「え、だってお姉ちゃんとお兄ちゃんの結婚式だから。」
「え?そうなんだ…?」
「うん、違うの?」
…
あぁ、ルトくんとオレじゃなかった…
「あー、そのことなんだけど…まだ…どうなるか…ちょっとだけ時間もらえないかな?」
「保留ってこと?」
…
「うん。なんかごめんね。」
「お兄ちゃん、マリッジブルーって言葉知ってる?大丈夫だよ。誰でも結婚なんて、一大決心なんだから、迷うこともあるよ!ボクは、美味しいお料理が楽しみだったけど、働いてからでも自分で行けるし」
と、大人みたいな対応してくれたルトくん。
…
ルトくんは、結婚式の美味しいご飯が目当てだったとは…
オレは大きな勘違いをしていた。
てか、ルトくんって…めっちゃ理解力ありまくりじゃね⁉︎
「ルトくんって…何回人間やり直してる⁉︎」
「あー、それはボクも思うよ。」
と無邪気に笑いながらオレに手を振ってどこかに出かけて行ったルトくん。
…
とりあえずホッとしたわー。
ルトくんを悲しませなくて済んだわー…。
…
でも、おばあさんは…悲しむかもしれないな…。
いつものようにおばあさんは、日向ぼっこをしていた。
そして、いつものようにオレたちはのんびりお話しして…そしてそのままオレはいつもさよならするけど…意を決しておばあさんに好きな人がいることを告げた。
するとおばあさんは、目を丸くして、
「恋バナってやつじゃの」
と嬉しそうだった。
でも、実はオレが好きな人は同じクラスの瀬川ラノさんなんだと伝えると、おばあさんは…知らない名前を聞いてしょんぼりしてしまうだろと思ったら、まさかのニッコリ顔をした。
そして、
「よき」
と言いながらお茶をすすった。
⁇
よき?
「おばさん…よきって?」
「それは、秘密のみつこちゃんじゃよぅ」
と子どもみたいに足をブラブラして口を尖らせてにったりしていた。
「みつこちゃんってだれ⁉︎」
「だれじゃろうね〜」
と笑うおばあさん。
よくわからなかったけど、おばあさんが悲しまなくてよかった。
そしてみつこちゃんもだれか知らないけど、とにかくおばあさんが悲しまなくてよかった。
あ…オレおばあさんのお孫さんにとりあえず謝らなきゃならないのに、おばあさんに名前聞くの忘れちゃったんですけど…⁉︎
近々、またおばあさんの家に行って聞いてこないとだ。
続く。
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