おやすみ

 職人が気になりすぎて、オレの婚約者探しを一瞬忘れた。

 

 

 そんなオレは、明日からまた婚約者探しをしようと思う。

 

 もしかして同じ高校じゃないかもだけど…

 

 

 

 

 気合い充分で、目覚めた次の日の朝。

 めっちゃ外の天気がいい!

 そしてめっちゃ暑い‼︎

 

 夏かよ⁉︎もう、布団いらないくらい暑いんですけどっ‼︎

 

 ってさ…

 

 なんか、暑いけど…普通に暑いんと違う気がする…。

 

 ほてほてポッポしている。

 お湯が沸くくらいな勢いっす。

 

 だれか頭に氷ください状態だ。

 

 喉もカラッカラだ。

 

 

 オレは今熱帯地帯に足を踏み入れてしまったみたいだ。

 

 あぁ、なんでこんなところに迷い込んでしまったのか。

 

 …これは夢か?

 

 いや、おそらく現実だろう。

 だって、足が痒いし掻いたら治ったし…

 

 そんな夢か現実かとさまよっているとお母さんがやってきた。

 

「あら、顔赤いわね。熱…?」

 と言いながらオレのオデコを触った。

 

「あっついわ。冷やすやつ持ってくるわね。今日は、ゆっくり寝ていなさい」

 と言われてなんだかホッとした。

 

 学校にいつも行きたくないわけじゃないけど、行かなくていいって言われると……これから二度寝ー‼︎と心が踊りだす。

 

 急にテンション爆上がり。

 

 えー?これから一日なにする〜?

 携帯見放題〜‼︎

 最高じゃ〜ん‼︎なんて浮かれていたらいつのまにか日が暮れているよ?

 

 あら?

 オレってば、ご飯を食べて薬のんだらいつのまにか爆睡してたーー‼︎

 

 

 もったいねー‼︎

 

 というわけで、今からでもゴロゴロしよう‼︎と携帯をみると、なにやらメッセージが届いていた。

 

 宮田くんからだ。

 

 どうせ大したものじゃないのだろうとひらくと…まさかのやっぱりくだらない練り消しのざんがい…

 

 かと思えば練り消しで、げんきか?と書いてあった。

 

 

 元気じゃないから休んでおります。

 

 そして小林さんもメッセージをくれていた。

 

 ダイコンのすりおろしと生姜がいいぞって瀬川さんが言ってる〜と。

 

 そして、さらに…

 瀬川さんの笑顔の写真。

 

 そしてメッセージ付き…

 

 早く元気になってね!

 

 と。

 

 せ、瀬川さん

 

 小林さんには、連絡先教えてなかったけどきっと宮田くんから聞いたのだろう。

 

 ナイス‼︎宮田くんに小林さん‼︎

 

 と、初めて二人に感謝したような気がした。

 

 

 それと同時にオレは罪悪感でいっぱいになった。

 

 なぜって…オレは婚約者がいるのに、瀬川さんにときめいてしまっているからだ。

 

 

 いまさらおばあさんに実は好きな人がいます。なんて言えない…。

 

 でも、最近どんどん瀬川さんがオレの中で大きくなっているのは、確かだ。

 

 どうせオレのことを瀬川さんがすきになるわけないってわかっては、いるのだけど…

 

 でもやっぱり…

 

 あー、だからっておばあさんにごめんなさいなんて言えないよー…

 

 

 ルトくんのこともあるしなー…

 

 考えれば考えるほど、なぜか頭が痛くなる。

 

 まぁ、オレの脳みそが助けてくれー‼︎と悲鳴をあげているに違いない。

 

 …

 

 どうしよう。

 

 

 …

 

 

 ‼︎

 

 あ!この際、瀬川さんに告白してこっぴどくフラれたら諦めがつくかも?

 

 

 …って、そんな告白なんてできるわけもないって。

 

 さらに、告白なんてしたら…同じ高校にいるであろう婚約者の耳にそんな情報筒抜けだよね…

 

 婚約者にもおばあさんにもルトくんにもそんなことしたら顔向けできないでしょ…

 

 全く困ったなー…

 

 優柔不断っていうか、ほんとダメダメで自分が嫌になるよね…

 

 

 …

 

 

 続く。

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