練り消し

 小林さんのかわいいという基準は、わからないけど…でも、小林さんの姉探しアドバイスは受け入れようと思う。

 

 

 まぁ、オレも小林さんがいうように同じ高校で未来の結婚相手探ししたんですよ?一年生から順番にと思ってさ。

 

 …でも、一日でへたへたになり断念したんだよね。

 

 それから…なんか…ね…。

 

 …

 

 もう、おばあさん直接教えてくれないかなぁ。

 

 それが一番手っ取り早いんだよなー…

 

 

 ってかさ、まさかルトくんのときみたいにおばあさんが勘違いしてるってことないよね?

 

 似てる制服でそもそも別の学校の人とかさ…

 

 

 なんならオレのこと好きじゃなかったり⁉︎

 

 違う遼一だったりとかね。

 

 

 …なんか、なんか…おばあさんならそんな勘違いありそー…。

 

 

 って考えてたらなんだか視線…

 

 

 ん?と思い振り向くとジッとオレをみていた瀬川さん。

 

 

「ん?どうしたの?」

「えっ、あぁ…なんでもないの。」

 と慌てて机の文房具たちを整理整頓しだした。

 

 

 …

 

 どうしたんだろう?

 オレをマジマジとみて…なんかオレについてた?とか?

 

 てか、ついてたじゃなくて進行形?

 ついてる⁉︎

 

 オレは慌てて宮田くんに聞いてみた。

 

「あのさ、オレの顔になんかついてない⁉︎」

 と。

 

 すると練り消し職人は、手をとめて

「あぁ、ついてますね」

 とオレの顔をマジマジとみた。

 

 

「いや、何がついてるか教えてよ!」

 

 オレがそういうと練り消し職人は、また消しゴムをネリネリしだした。

 

 

 …おいおい、職人や…

 教えてくれないのか?

 いまは、集中してるから話しかけないでもらいたいってことか?

 

 

 そう思っていると職人は手を動かしながら、

「ホクロが四個」

 と言い出した。

 

 

 …

 

「いや、そうじゃなくて…」

「四じゃなんか数が合わなだろう。これやるよ。」

 と職人が丹精込めてつくった練り消しをオレのほっぺにムニってつけてきた宮田職人。

 

「こんなにデッカいのシミだわ!」

 とオレが職人に練り消しを返すと、

「もう、これはあなたのからだの一部になってしまったので返品不可です。瀬川さんにあげる」

 と、まさかの瀬川さんに渡していた。

 

 

 そんなものいるわけねー…と、お断りされると思っていたら、まさかの

「え、ありがとう」

 と受け取っていた。

 

 

 ⁉︎

 

 いるっ⁉︎

 

 宮田職人の練り消しって…人気度めっちゃあるん⁉︎

 

 …オレは、いらないけどねっ!

 

 てか、瀬川さんもいるの⁉︎

 そもそもそれは…ホクロという名のシミですからねっ。

 

 まぁ、たまにあるよね。ガラクタだと思って家に置いておいたらすごい金額に化けたりするものってさ。

 

 とっておいてよかったです。みたいなね…だから宮田職人の練り消しも高額に…は…ならないだろうけどね…。

 

 

 オレはこっそり瀬川さんに聞いてみた。

 

「それ、ほんとにいる…?」

 と。

 すると瀬川さんは、

「うんっ」

 と、とびきりの笑顔で大事に手に持っていた。

 

 ハムスターを手の中で温めているように大事に大事に。

 

 もう、手の中にハムスターちゃんでも飼育しているのだろうか?ってくらいの大事さ…

 

 

 宮田職人の練り消しがとても気になりだしたオレなのでした。

 

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る