偽名

 来世とは、あの来世だろうか…

 

「お母さん…来世って…まさか…」

「そのまさかよ。」

 

 …

 

「え、あっさりいうじゃん…で、来世とルトくんがどうなって、なんだっていうのさ…母よ…詳しく教えていただきたい。」

「だからね、お母さん来世ではルトくんと結婚の約束してるの」

 と嬉しそうにニコニコするお母さん。

 

 え?

 

「でもさ、なんで偽名?みらいなんて名前になんでしてるの?」

「ん?みらい?何?」

 

 …

 知らない?の?

 

 …

 

 ‼︎

 

 もしかしたら、おばあさんは来世は、みらいってことだよって聞いて、みらいって名前と勘違いしてて…来月結婚っていうのは…来世で結婚ってことか⁉︎

 

 おばあさん…脳内混乱中かもしれないな…

 

 あー、でもそれならなんか納得だわ。

 

 

「でもさ、なんで来世でルトくんと一緒になろうってことになったの?」

 と落ち着いて聞いた。

 

 すると、

「ルトくんね、わたしがどうやら初恋らしくて、先生結婚してーって泣いちゃってね。あのころは、まだ幼かったからね。でも、きちんとお話ししたら理解してくれたのよ。幼稚園児が理解するってすごいわよね」

 と、そこを感心する母親。

 

 まぁ、たしかに来世とか全くオレなら理解できない。ルトくんすごっ。と、オレも感心した。

 

 

 謎がとけたところでお父さんがほてほてしながらお風呂からあがってきた。

 

 

 ルトくんが結婚式を挙げるのは、来世での話だったのかー。と安心した。

 

 

 

 だけどさ、ルトくん…今世でも結婚式あげる予定らしい。

 

 

 だって、謎が解けてからルトくんに会うとまさかの、結婚式のメインケーキはチョコにしよう!ね?いい?お兄ちゃん⁉︎と聞いてきたのだ。

 

 

 来世で母親と結婚するなら…オレの同意いらない…よね?

 

 なぜオレに同意を求めてくるのだろう…

 

 

「ルトくん、結婚式って誰があげるんだっけ?」

 と再確認。

 

 すると、当たり前のように…

「お兄ちゃんでしょ?」

 と言われたのです。

 

 

 …

 

 ルトくんは、来世で母親と結婚するけど…まさか今世では息子のオレと結婚する予定なのだろうか…⁇

 

 

 あ、てかルトくんはオレの母親がまさかの来世の結婚相手とは、まだ知らない。

 

「そうだ、ルトくん!オレの母親の名前瀬野房子ふさこって言うんだ。」

 というと一気に表情が、ぱあっと明るくなって、

「えっ⁉︎えっ⁉︎」

 と一度キョロキョロして、オレをマジマジと凝視した。

 

 そして、

「おー、だからボクお兄ちゃんのこと好きなのかもしれない!」

 とまたもオレを凝視。

 

 

 いまさ…あっさりオレのこと好きって言ったよね?

 ルトくんオレのこと好きって言うんだ?

 

 どうすりゃいい?

 

 オウムがスキダヨーって言っているのとは全く違う‼︎そんなことオレでもわかる。

 

 でも…でもやっぱりわからない。

 

 直接聞くのが一番だよね。

 

「ルトくんは、オレのこと好き…なんだ?」

 と恐る恐る聞いた。

 

 すると即答で、

「うん!好き‼︎しかもふさこ先生の子どもなんでしょ?なら、もっと好き‼︎」

 とニッコリしました。

 

 どういう好きって聞いてもわからないよね…。

 あーどうしよう。

 

 誰かに相談してみる?

 

 でも…だれに?

 

 母親?

 

 来世で母さんと結婚する予定らしいけど、今世ではオレと結婚するって言ってるんだけどどうしよう?って聞くの?

 

 …

 

 それもどうだろう…。

 

 ってなわけで、オレはまさかの宮田くんに相談…するわけもなく、その隣に座っている小林さんに、友達の話なんだけどさー、といいざっくり相談してみた。

 

 

 すると、

 「その小学生は見る目あるわー。来世の嫁とその息子を見抜いて好きになるんだからさー。すごい素質だよー」

 と。

 

「うん。で、アドバイスを…」

 とアドバイスをいただこうとしたら、

「まず、お姉さんのほうを探してみて。たぶんそのお姉さんは…わたし…じゃないのは、たしか‼︎よかったね。一人候補が減って」

 とニヤリとした。

 

 かと思えば宮田くんも練り消しづくりに没頭していたのかと思いきや、がっつり聞いていたみたいで、

「オレも姉さんじゃねーぞ」

 と言ってきた。

 

「うん、それはわかる‼︎」

 

「なら、よかったわ」

 と、またも練り消し職人に戻った。

 

 

 お姉さんかー…。

 

 オレはちょうど、先生の手伝いから戻った瀬川さんをボーっと見つめた。

 

 瀬川さんがルトくんのお姉さんだったらなー。

 

「うん、それはないね…」

 

 ⁉︎

 

 なぜ宮田くんは、オレの心の声がっ⁉︎オレの心の声がよめたっ?

 

「えっ、今の聞こえたっ⁉︎」

 慌てて宮田くんをみると…

 

 不出来な練り消しをみてなげいていただけだった。

 

「あー…それはないね」

 とオレも練り消しをみて賛同した。

 

 消しかすを伸ばして、手と足をつくっていたけど、ピョロピョロしてて妖怪みないになっていたからだ。

 

 しかし、小林さんは…かわいいーと大絶賛していた。

 

 …

 

 へー…

 

 

 続く。

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