ポカン

 うちの母親は、どうかしてしまいました。

 

 

 まさかの小学生と婚約していたなんて…

 

 …

 

 あ、でもオレも知らない人と婚約してるんだった。

 

 …オレたちは、似たもの親子なのかもしれません。

 

 …

 

 でも、それでちゃんちゃん。と終わるはずはございません。

 

 

 きちんと母親から真実を聞いて納得したいと思います。

 

 

 でも、どう切り出せばいいのか…

 

 

 オレが困っていると鼻歌を歌いながらエプロンを装備し、料理を始めるお母さん。

 

 …普通のお母さん…なはずなのに、まさかの来月小学生と結婚する予定なんてだれが想像できますかっ⁉︎

 

 

 できません…ヨネ。

 

 手際よく大根をトントン切っていくお母さん。

 

 

 すると、いきなり

「たまちゃん?どこいったのー?」

 と調理器具たちに向かって話し出すお母さん。

 

 え?

 たまちゃん?

 

 うち…猫飼っておりませんよね?

 

 それに、調理器具が入ってるところに猫が入り込めるわけがない…。

 

 どうしてしまったのかと慌てたよね。

 

 そしたら、

「あ、いたいた!」

 とオタマを手に持つお母さん。

 

 なんだ、たまちゃんって猫じゃなくてオタマだったのかと一安心。

 

 

 しばらくすると今度は、

「ピーちゃーん」

 と呼ぶ母親。

 

 

 ピーちゃん?

 うちに鳥なんていませんよね?

 

 

 ‼︎

 

 わかった。

 ピーマンだ!

 

 お母さんは、ピーマンを探しているに違いない。

 

 

「ピーマンなら、冷蔵庫でしょ」

 と、オレが教えると…

 

「ピーちゃんがピーマンっていいたいのかしら?」

 なんて軽く鼻で笑われた。

 

 ええ、そうでしょうよ!

 うちは、ペットを飼っていないのだから。

 

 と、思っていたら

「ピーちゃん!こんなところにいたのね。もう、かくれんぼ大好きなんだから」

 と、微笑む母…

 

 まさかのピーラーだった。

 

 てかさ、かくれんぼって…

 

 そもそも定位置にしまわないからそうなるのでは?

 

 

 …

 

 

 あぁ、あんまりのんびりはしていられない。

 もうすぐお父さんがお風呂からあがってきてしまう!

 

 

「あのさ、お母さん」

「なに?今日はささみフライよ?」

 

 …

 

「いや、晩御飯なに?じゃなくて!結婚!」

「結婚?」

「そう、来月!」

 

「来月?親戚の結婚式あったかしら?」

 

 …

 

 シラを切るつもりなのか?

 

 まさか二人で急にいなくなるとか…ないよな…

 

 そしたらもう事件だぞ…。

 

 なんとかしてとめねば‼︎

 

 

「お母さん、来月結婚するんだよね?」

 と思い切って聞いてみた。

 

 すると…

 

「え?なにいってるのよ?お母さんは、もう結婚しております」

 と返されてしまった。

 

 …

 

 やっぱりこのままオレたちに内緒で二人で…

 

「お母さん‼︎相手はまだ小学生なんだよ⁉︎」

 

 オレが少し強めにいうと母親は、固まった。

 

 そして…

 

「え、あなた…まさか小学生とお付き合いしているの?結婚ってなに?」

 と青ざめた。

 

 いや、オレじゃないーー。

 

「オレじゃなくて、お母さんが来月小学生と結婚するんでしょ!」

 

 ?な顔の母親。

 

 

 …

 

 しばらく間があったかと思うと母は、

「夢?の話かな?」

 といってきた。

 

 これはまさか…ずっと知らないふりされていつのまにかさよならパターンか?

 

 でも、オレの人生じゃないし…オレが決める権利もなくて…

 

 …

 

「お母さん…いや、みらいさん…」

「みらいさん?」

「うん。ルトくんには、みらいって名前で名乗っているんでしょ。」

 

 …

 

 またポカンな母。

 

 

 そのポカンは、オレにバレてびっくりしているのか…それとも…。

 

 

 しばらくまたポカンとしていた母は、いきなり

「それって来世のやつ⁉︎」

 と、閃いた顔をした。

 

 来世?

 

 

 続く。

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