パニック

 ルトくんの隣にうつっていたのは…

 

 まさかの…まさか…

 

 オレの母親でした。

 

 え?

 

 ルトくんとおかん…歳の差…何歳差よ?

 

 

 てか、なに⁉︎

 彼女ってなに⁉︎

 

 どういうこと?

 

 えっ?ん?は?

 

 もうわけがわからん…

 

 

「あの、ルトくんが彼女って言ったんですか?」

「そうじゃよ。来月結婚とかいうてたのぅ」

 

 

 はいっ⁉︎

 来月結婚⁉︎

 

 えっ⁉︎

 オレと結婚するのかと思ってたーー‼︎

 

 なのに…なのにまさかの母親と結婚ー⁉︎

 

 ってかさ…オヤジよ…こんな緊急事態だけど、この状況把握してるのかな…。

 

 てか、どうやって知り合ったのだろうか…。

 

 あーー‼︎

 オレは重大なことに気づいた。

 

 …ルトくんがオレのおとうさんになるん⁇

 

 …

 

「あの、このとなりの女の人って…」

「みらいちゃんとかいうたかのぅ?」

 

 

 ⁉︎

 

 みらい⁉︎

 

 オレはもう一度写真を覗き込んだ。

 

 …

 

 

 …いや、ふさこですよね⁉︎ 

 やっぱり何度見ても母親なんだが…

 

 偽名⁉︎

 

 …偽名まで使ってなにしてんだよ。母さんや…。

 

 これは帰って真相を確かめねば。

 

 オレはとりあえず写真を写真に撮って足早に帰ることにした。

 

 

 自転車って便利な乗り物だとつくづく思う。

 昔の人に自転車を発明していただき感謝しつつ、急いで家に帰るとまだ母親は、帰宅していなかった。

 

 そのかわりに、父親が帰宅していた。

 

 あぁ、今日は定時の日か。

 

「あの…お母さんって…」

「あー、もうそろそろ帰るんじゃない?なに?さみしいか?」

 と父親は、大口をあけて笑った。

 

 …

 

 オヤジ…、笑ってる場合じゃないぞ。

 

「あのさ、お母さんって…最近どう…なの…かな?」

「ん?いつも通りじゃない?父さんお風呂先入るねー」

 と、呑気なお父さん…。

 

 

 そんな呑気でいいのっ⁉︎

 お母さんは、ルトくんと結婚するんだよ⁉︎それも、来月って…

 

 

 いや、待って!そもそも小学生とおばさんが結婚できるわけないか。

 

 あー、焦って損した。

 家に帰り急に落ち着きを取り戻した。

 

 とりあえず、おやつでも食べよう。

 

 オレは、一安心しておせんべいをボリボリ食べた。

 

 だって、あんまりびっくりしてめっちゃ汗かいたから塩分補給しなきゃだよね。

 

 ボリボリ、むしゃむしゃ

 

 うん。美味しい。ザラメせんべい最高‼︎

 砂糖まみれなのに、甘すぎずいい具合にしょっぱいおせんべいがしゃしゃりでる。

 

 素晴らしいよ‼︎

 おせんべいといっても色々種類がある。ありがとう。おせんべいたち。

 

 そして開発した人だれだかしらんけど、ありがとうございます、

 心よりお詫び申し上げます。

 

 ?

 詫びなくない?

 

 感謝か?

 

 ま、いいか。

 

 …

 

 おせんべいを食べながらもぼやーっと二人のことを考えた。

 

 二人は、どうやって知り合って…どうして写真を撮るはこびになったのだろうか?

 

 

 ボリボリ、ぽりぽり

 せんべいを味わっても…わからないよね。

 うん…。

 

 出口のないトンネルにいる気分です。

 

 どうしたらいい⁇まず出口だよね!出口探さなきゃ‼︎

 

 ってさ、まず探すもなにも…出口ってあるわけ?

 

 そもそも…なんでオレはトンネルに入った?

 

 どうやってここに来たん?

 

 真っ暗だし…もうおせんべいすらどこよ?

 

 

 

 

 パチっ!

 

 ⁉︎

 

 いきなり部屋が明るくなった。

 

 出口だ‼︎ついに出口が見つかった‼︎

 

「ただいま。どうしたの?電気くらいつけなさいよ〜」

 と、母親帰宅。

 

 

「おかえり‼︎てかさ、コレみてよ‼︎」

 と、オレは決定的な写真を母親にみせた。

 

 父さんが風呂でよかったわ。

 

 

 ルトくんとのツーショット写真をみせると母さんは、

「あら!その写真どうしたのよ?わたし落としちゃってたかしら?」

 なんて言いながら携帯を確認していた。

 

「あら?写真あるわねぇ」

 と携帯の後ろに貼ってあったシールを指で軽くこすっていた。

 

 

「いや、剥がれてないし…てかさ、なんでルトくん知ってるの!どういう関係?」

 とオレが詰め寄ると母親は、落ち着いて話してくれた。

 

「あなたもお知り合い?ルトくんは、幼稚園の時の教え子よ」

 と教えてくれた。

 

 …へー。

 

 確かに母親は、幼稚園の先生をしている。

 

 だからって…幼稚園児と恋におちたとでもいうのかっ⁉︎

 

 ビビッときてしまいました♡じゃすまないだろうにっ‼︎

 

 どうするのですかっ⁉︎

 

 てか、母親…どうしたのですかっ⁉︎

 

 もうさ…母親の脳内に直接語りかけたいです。

 

 

「聞こえますか?脳みそさん…?」

 

 オレは母親の脳内に向けて話しかけたよね。

 

 

「あなた…なにしてるのよ?どうかしちゃったの?暇なら勉強でもしていらっしゃいよ」

 と、軽くあしらわれた…。

 

 

 いやいや…

 

 イヤイヤ‼︎

 どうかしてるのは、あなたですって‼︎

 

 

 続く。

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