ぶり返し
それにしても…なぜおばあさんはあんなに嬉しそうだったのだろう…。
…
てかさ‼︎
てかさ‼︎
オレってバカだわぁ…
ルトくんが隣の家なら表札見てくれはよかったわー。
そしたら、婚約者の名前わかるじゃん…
ほんとオレってバカ…。
明日、朝イチ早起きして名前見てこようかな…?
でも、もしおばあさんのお孫さんと鉢合わせしたらオレって…キモイやつ認定されそうだな…。
見に行きたいけど…やめておこうか。
…
いや、やっぱり行きたい…けどやめておこう。
うん。やめなさい‼︎と自分に教えた。
風邪ひくぞと。
じゃないと、今からでもみにいく可能性が高い。
こんな真夜中に表札みたさに徘徊は、危険だ。
色んな意味で。
てなわけで、寝る。
…
寝れない。
おばあさん…わざと演技してたのかな?
オレが好きな人いるって言ったから…その気持ちを優先して気にせんよって意味で…。
…オレはなんて悪いやつなのだろう。
おばあさんのお孫さんと結婚するって言っといてやっぱり好きな人いるって言ったりして…。
おばあさんには、申し訳ないことをしてしまった。
…その日は、全然眠れなかった。
少しは、寝たつもりだけど…ほとんど寝ていない。
まぁ、そんなどうしようもない男は、寝ることなんて許されないのだろう。
だから、きっと脳みそがオレに罰を与えたに違いない。
そんなちっぽけな罰は、おばあさんにもお孫さんにも申し訳ないくらいだ。
目の下にクマをつくり登校した。
「おはよぅ…」
と、元気のないオレをみた瀬川さんがオレに、
「大丈夫?また熱がでちゃったの?」
といきなりオレのオデコをぴたりと触った。
⁉︎
熱なかったけど、そんなんされたら熱でちゃうから‼︎
「あ、大丈夫っす」
とオレは瀬川さんにお伝えした。
なんだか、瀬川さんと話をすると…なんとも後ろめたい。
ごめんなさい。おばあさん…お孫さん…と。
そんなオレと瀬川さんのやりとりをみて、ニンマリしている宮田くんと小林さん。
…なぜに朝から二人は、そんなにニンマリしていらっしゃるのだろうか…。
まったく…。
席について大人しく座っていると後ろから宮田くんにツンツンとされた。
だから、振り向くと宮田くんがニンマリした。
…
そして小林さんもニンマリしていた。
この二人は、きっと暇なのだろう。
ニンマリな二人は、ほっといてボーっとしていた。
あー…、オレはおばあさんにもお孫さんにもほんとに申し訳ないことをしてしまった…。
なぜオレは好きな人がいるなんて言ってしまったのだろうか…。
…
どうしよう。
オレは、ほんとうに自分勝手な人間だ。
今頃、おばあさんのお孫さんは…落ち込んでいるのだろうか…。
今日にでも、おばあさんの家に行ってお孫さんの名前聞かないと。
なんなら、表札みて確認せねば。
早く放課後にならないだろうか…。
まだ朝のホームルームすら始まっていないのに、オレは放課後のことで頭がいっぱいだった。
早く…早く放課後にならないかな…
…
あれ?
…
放課後どころか薄暗い…
え?
…
あれ⁉︎
オレ…寝てた。
「瀬野くん、目覚めた?」
⁉︎
せ、先生…
保健の先生がカーテンの向こうから現れた。
「あの…オレって…」
「なんか、寝不足と風邪のぶり返しかな?無理したらだめよ。」
と先生に軽く叱られた。
ティッシュくらい軽い叱られ方。
「はい…」
と返事をすると先生は、
「おうちの方にお迎え来てもらう?」
と言うので、
「大丈夫です。」
とおこたえした。
だって…おばあさんちに行かなきゃ。
早くお孫さんに謝らなきゃ。
と、先生のお叱りを無視しておばあさんちに向かおうとした。
そしたら、昇降口になぜか瀬川さんが立っていた。
?
まさか…彼氏と放課後デート…⁉︎
続く。
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