お菓子
全部黒の結婚式もかっこいいと思うけど、ルトくんは…オレとのどんな結婚生活を望んでいるのだろう…。
ルトくんの、好きって…どういうことなのだろう…。
てか、オレたちってなんで結婚するってなったんだっけ?
…
なぞだ。
ふとおばあさんをみると、ひざにこぼれたウエハースのカスを一生懸命指で摘んで口に運んでいた。
まったく入っていない…どころか口から食べたやつすらこぼれているじゃないか。
…オレは、迷惑な来客だ。
ごめんなさいおばあさん。
「おばあちゃん、たくさんこぼれちゃいましたね。掃除機かけてもいいですか?」
オレはせめてこれくらいせねばと、掃除機を借りようとした。
「あーぁ、いいんじゃよ。こんなのはパラパラしときゃいいのさ」
と、庭にパラパラ撒き散らしていた。
なんと豪快な…
「えと…」
「鳥が食べに来るじゃろ。それにルトも食べるじゃろ」
と、残りのウエハース袋をゴムで縛ってしまうおばあさん。
鳥とセットみたいな話し方…
庭のは、鳥で残りの袋がルトくんのだよね?
まぁ…庭に撒き散らすのは、おばあさんがいいというなら…ね。
今度は、あまりこぼれないものを手土産にしようと強く思う。
「それじゃ、また来ますね」
「あぁ、明日もお願いしますねぇ」
とにっこりするおばあさん。
…明日も。
?
それはウエハースを明日もよろしくってことなのだろうか?
…できればもうウエハースは持参したくないけど、お願いされちゃあ…持っていくしか…
明日は、土曜日だけど予定ないし。
彼女がいるわけでもないからさ…。
そのくせ婚約者がいるって…なんかなぞだよな…
自分でも意味がわからない暮らしだ。
…
てなわけで、次の日もウエハースを持って行った。
すると、
「おや、久しぶりに食べるよぅ。ありがとうねぇ。」
と言いながらまたポロポロと…。
久しぶりなんだ?
昨日のことは、久しぶり…
まぁ、人それぞれだもんね。
うん…。
それにおばあさんが喜んでいるからいいだろう。
「今日は、来ないんじゃ」
⁉︎
おばあさんは、いきなり話し出すからたまにびっくりする。
今日は、来ない?
誰が来ないんだろう?
「今日は誰が、来ないんですか?」
「夏じゃよぅ」
なつ?
夏さんって人が来ないのだろうか?
オレの婚約者かも⁉︎
「夏さんってお方が来ないんですか?」
「そうじゃよ。夏が来ないからまだ肌寒いのぅ」
と、寒そうな身振りをするおばあさん。
…もしかして、夏さんって人じゃなくて季節の夏がまだこなくて肌寒いって言いたかったのかな?
「まだまだ冷えますからねー」
「そうじゃのぅ。キンキンに冷えとるわぃ」
?
何がキンキンに冷えていらっしゃるのだろうか…
あんまり冷えすぎも心配だ。
この間おばあさんにあげた膝掛けをおばあさんにそっとかけてあげた。
するとおばあさんは、
「これは、遼一がくれたんだねぇ。ありがたいねぇ」
と、オレがプレゼントしたことを覚えてくれているおばあさん。
なんだか、うれしかった。
おばあさんは、あしがよく冷たくなるから膝掛けがあるととても助かるそうだ。
気に入ってくれて、オレも嬉しい限りだ。
なんなら、そのキャラクターが高校生のお孫さんは大好きなんだとか。
お孫さんにまで気に入ってもらえたらそれは嬉しいことだ。
よく来るという高校生のお孫さんにオレは一度もあっていない。
なぜ鉢合わせしないのだろうか…。
オレはおばあさんに今日行きますって連絡とかしていないのに…なぞだ。
続く。
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