つ、ついにっ⁉︎

 そぼろは、やっぱり味付けしてもらいたいです。

 

 …

 

 おばあさんのお孫さんはいったいどこにいるのやら…。

 

 

 それにしても、たまにおばあさんの家に行くけどそのお孫さんとやらに鉢合わせしないよな。

 

 ちょうどタイミングがズレてるのかな?

 

 頻繁に行ってたら、あえたりするのかな?

 

 

 ってなわけで、本日おばあさんの家にいます‼︎

 

 ふかし芋を添えてのお茶会。

 

 

「お茶がおいしいですねー」

「あぁ、そうじゃねぇ。しみちゃったわい」

 

 え?

 

 …からだにしみるって言いたかったんだよね?

 うん、きっとそうだろう。

 

 

「そうじゃ遼一や、わしゃソロソロお迎えがくるんじゃよ」

 

 ⁉︎

 お迎え⁉︎

 

 お迎えって…

 

 …

 

 

 な、なにそれっ⁉︎

 

「それでじゃよ。わしゃ孫が心配でのぅ。お願いだから孫と一緒になってくれないだろうか…。遼一や…」

 とオレの手を握りお願いしてくるおばあさん。

 

 …

 

 おててのサンドイッチの完成です!

 

 やっぱりおばあさんの手はフカフカであったかい。って、そうじゃないっ‼︎

 

 誰だかわからないのに、オレはどうしたら…

 

 

「うっ…く、苦しい」

 突然おばあさんが胸のあたりを抑えた。

 

「おばあちゃん⁉︎大丈夫ですか⁈」

「ま、孫を…」

「わかりました‼︎お孫さんとオレは一緒になります‼︎だから、だから…」

 

「そうかい。ありがとう。」

 グビグビお茶をのみぷはぁ、とするおばあさん。

 

「芋が喉でウズウズしとったわい」

 

 …あぁ、苦しいって言ったのは芋か。

 

 お茶があってよかったわねって…

 

 それにしても…お迎えって…

 

 オレはうっかりお孫さんと一緒になるって言ったけど…大丈夫だったのだろうか…?

 

 

 

 ピンポーン

 とおばあさんの家のチャイムがなった。

 

「お迎えじゃ」

 

 ⁉︎

 

 ピンポーンってお迎え⁉︎

 

「おばあちゃん、目薬もらいに病院に行くよー」

 と娘さんがやってきた。

 

 あー…、お迎えってそのお迎えかいっ‼︎

 

 

 てっきり…オレは縁起でもないことを考えてしまったじゃないか。

 

 

 そして、ついうっかりおばあさんと約束を交わしてしまった。

 

 

 一緒になるって…約束してしまった。

 

 

 …

 

 オレ、結婚するんだ?

 誰かもわからない人と…。

 

 てか‼︎ルトくんどうしよう⁉︎

 

 オレは…オレは…なんてやつなんだ…。

 

 あー‼︎どうしようーー‼︎

 

 お姉さんとも弟とも結婚の約束するとか…どうなってんだ⁉︎

 

 オレの脳みそは、スポンジとかじゃない⁉︎

 

 スカスカだし…

 

 でも…ですよ?スポンジは、役にたつじゃないか。

 洗い物とかピカピカにしてくれるし。

 

 しかし…オレの脳みそは、役に立たない…。

 

 ザルみたいな脳みそだ。

 

 水がどんどん流れてしまう。

 ダダ漏れ脳みそ…

 

 いや、ザルに失礼だ。

 

 ザルこそ万能じゃないか‼︎

 台所で毎日大活躍しているじゃないかっ‼︎

 

 スポンジにもザルにもなれない…ってか、なぜだ…

 

 なぜ台所用品にこだわるんだ‼︎オレ‼︎

 

 …

 

 もう、オレの脳みそなんてなんでもいい。

 

 それより…この状況をどうにかせねば。

 

 ルトくんがどう思っているのかとか…お姉さんが誰なのかとか…

 

 色々やることは、山積みだ。

 

 とにかくお姉さんを探そう!ほんとにオレと結婚を望んでいるのか確かめなきゃだ。

 

 

 でも、どうやって探す?

 

 …

 

 そもそもおばあさんは、オレと同じ制服って言ってたけど、同学年とかは…言ってなかったような…?

 

 

 とりあえず、一年生から探してみようか…?

 

 接点のない一年生だけど…とりあえず一組からまわることにした。

 

 

 ドアからひょっこり顔を出してみたものの…まるでわからん。

 

 なので思い切って、

「アンケートにご協力をー」

 と堂々と教室に入ってアンケートという調査が始まった。

 

「えー、なんのアンケート?」

 とボソボソを聞こえてきた。

 

 オレは堂々とアンケート調査を開始した。

 

「この中に、おばあさん大好きーって人いますかー⁇」

 と聞いてみた。

 

 すると…

 

「ハイっ‼︎うめ、おばあちゃん大好きー‼︎」

 と元気よく手をあげるツインテールの女の子。

 

 

 ⁉︎

 

 いま、うめおばあちゃんって言わなかった⁈

 

 一発目でもう…発見いたしたーー‼︎

 

 …てか、この子がオレのお嫁さん⁈

 

 かわいいけど…なんだか心が灰色に染まった感じがした。

 

 瀬川さん…

 

 なぜか、こんなかわいい子を目の前にしてオレは…贅沢病を発症してしまったようだ。

 

 

 彼女もいないのに、いきなり色々すっ飛ばしてこんなかわいい子と婚約できるっていうのに…頭から瀬川さんが…瀬川さんが離れません。

 

 オレは…瀬川さんを忘れることができるのだろうか…。

 

 

 …

 

 でも、もうオレはおばあさんと約束してしまったし、それに瀬川さんがオレを好きになることなんてありえない…わけで…。

 

 …

 

 

 オレは恐る恐る未来の奥さんに近づいた。

 

 この子は…オレのどこが好き…なのだろう。

 

 そもそも初めてみる子だよね…⁇

 

 

「君は…なぜオレを…」

「はい?」

「だから…そのオレとなぜ結婚したいと…思ってるのかなって…」

「え?」

「だから、オレと結婚したい理由…を聞きたいっていうか…」

 

「えー?アンケートじゃなくて新手のナンパなんですか?しかも学校で…こわいんですけどー…。圭太くん…こわいよぅ」

 と、ツインテール女子は隣の男子にしがみついた。

 

 ⁉︎

 

 なんだ⁈

 ヤキモチ作戦なのか⁉︎

 

 男子なんかにしがみついて…

 

 ツインテール女子のヤキモチ大作戦が開始されたのか⁉︎

 

 …

 

「おばあさんのアンケートじゃないんですか?そもそも、オレの彼女に新手のナンパとか…ヤバくないですか?一年だからってなめてます?」

 と圭太くんとやらがオレに詰め寄ってきた。

 

 

 え?

 彼女⁉︎

 

 どういうこと⁉︎

 

 オレと結婚したいとか言っといて彼氏がいるのっ⁉︎

 

 

 えっ⁉︎

 

 

 続く。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る