おバカさん

 どうやら、オレの婚約者には…彼氏がいるようなのですが?

 

 

 

「か、彼氏っ⁉︎」

 オレは思わず圭太くんとやらをみちゃったよね!

 

「えぇ、自分が彼氏っす。まぁ、オレの彼女がかわいいことは、承知しております。しかし‼︎そんなに簡単にオレたちは、離れたりしませんよ?先輩。」

 と、ツインテール女子を抱きしめる圭太くんとやら。

 

 …

 

 えっとー…、オレは何を見せられているのでしょうか?

 

 ツインテールさん…あなたから、オレと結婚したいっておっしゃったのですよね?

 

「うめおばあちゃんから聞いた話って…オレの聞き間違いってやつ…?だったり?」

 

「えっ⁉︎わたしをおばあちゃん扱いするんですか?ひどーい…」

 

 …え?

 

「いや、きみじゃなくてあなたのおばあさんだよ」

「え、さくらおばあさんがなんですか?」

 

 ⁉︎

 

「さくら⁉︎おばあさんの名前さくらさんっていうの⁉︎」

「ええ。」

「だって…さっき、うめおばあちゃんって言わなかった?」

 

「うめは、わたしですけど。」

 

 ⁉︎

 

「えー…、うめさん?」

「まぁ、正確には梅田ですが?」

 

 …

 

 

 そういや…

 

 うめ、おばあちゃん大好きですって言ってたような…。

 

 オレはうめおばあちゃん大好きって聞き間違いしたんだな…。

 

 あははは…は…

 

 

「なるほどー…、アンケート調査終了です。あなた方は、ラブラブです‼︎合格‼︎」

 と、強引に話をまとめた。

 

 なんか納得いかない感じの二人だったけど、

「いやー、お似合いだ。これは、アンケートといいつつドッキリでしたー‼︎」

 と誤魔化した。

 

「「えっ」」

 

「驚いた?いや、オレも驚いたよー。こんな仲良しカップルが一年生にいるなんてねー。素晴らしい‼︎これからも仲良く〜」

 と誤魔化しまくって、退散した。

 

 つ…疲れた。

 

 どっと疲れがでてしまい…本日の婚約者探しは、これにて終了いたします。

 

 

 フラフラと教室へと戻った。

 

 

 すると宮田くんがオレに、

「いやー、瀬野くん‼︎やるじゃないかー」

 と肩を組んできた。

「え、なにが?」

「なにがって〜、んもー、しらじらしいわねっ」

 と、脇腹ツンってされた。

 

「え?」

「だって、一年生にいきなりプロポーズしてるんですもの」

 なんて言われてしまった。

 

 …

 

 なんで、みてた?

「宮田くん…一年生の校舎きてたんだ?」

「うん、食後のウォーキング」

 

 …

 

 へー。

 

 

「で、結婚するの?」

「…いや、それは…」

 

「ごめんなさいってやつ?」

「あー…まぁ…人違いっていうか…」

 

「えっ⁉︎人違いプロポーズ⁉︎すげー‼︎」

 と、宮田くんは目を輝かせた。

 

 かと思ったら急に宮田くんが、

「急に眠気が襲ってきた。ケモノみたいに」

 と言い出した。

 

 きっと食後のウォーキングで疲れたのだろう…。

 

 てか、さほどプロポーズなんて興味もない模様です。

 

 

 あー、それにしても疲れたわー…。

 

 椅子に座ってとりあえず授業再開まで目を瞑ることにした。

 

 

 ⁉︎

 

 目を閉じるとなんか…なんかくちびるに柔らかいものがっ‼︎

 

 えっ⁉︎な、なんだ⁉︎

 

 慌てて目を開けて口元を見ると…白い丸っこいものが…

 

 

 でさ、その丸っこいものを持っている誰かの手…

 

 

 手をゆっくりたどるとそこには宮田くんがいたよね。

 

 ケモノに襲われたんじゃなかったのか⁉︎

 眠気というケモノから逃げ出して、宮田くんはなぜかオレの口にマシュマロを入れようとしていた。

 

 宮田くんの目的は…なんなんだ…。

 

 

 よくわからないけど、とりあえずモグモグ食べたよね。

 甘くて優しいお味…。

 

 

 だったんだけど…すかさず二個目がまたやってきた。

 

「もう、いいよっ」

 と軽くキレ気味でのごちそうさまをすると宮田くんが、

「ワンコマシュマロですから目と耳を塞がないと終わりませんよ?」

 なんて言い出した。

 

 だからオレは、目をつぶって耳を塞いだ。

 

 

 すると少しして、誰かがオレをツンツンしてきた。

 

 おそらく宮田くんだろう。

 そこで反応したらまたマシュマロが口に放り込まれるに決まっている。

 

 だから、ずっとめいそうモードを貫いた。

 

 

 するとだよ‼︎

 強引にオレの耳をこじ開けるじゃないかって…

 

 え…

 

 

 目の前にいたのは…ティーチャーと言われる人物でした。

 

「あ、どうも…」

 とぺこりとお辞儀をするとティーチャーが

「そんなにわたしの授業がききたくありませんかっ?」

 と言われてしまった…

 

「いえ…めいそうをしてやる気を高めていました…」

 というと先生は、

「そうですか」

 といい、何事もなかったかのように授業を開始した。

 

 

 ツンツンってされたので宮田くんをみると…

 

 口をぱんぱんにしてマシュマロで顔が変形していた…

 

 どんだけ…入れたんだよ…

 

 

 呆れているといきなり瀬川さんが

「呼んだのわたし…さっきも呼んだんだけど…ね。なんかごめんなさい」

 と謝られた。

 

「え、瀬川さんが呼んでたのっ⁉︎」

「うん…。」

「あ、ありがとうね。」

「ううん。お役に立てなくて」

 と申し訳なさそうな瀬川さん…

 

 

 なんていい人ー…

 

 てか、やっぱりオレ瀬川さんが好きだなーと、改めて思ってしまった…。

 

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る