宮田くんは暇
あれっ?
お孫さん…たしか女の子…じゃなかった⁉︎
オレは、一瞬唖然とした。
するとオレの顔を見るなり男の子が、
「おっす!」
と元気よく挨拶してくれた。
おー、元気じゃんと思いオレも
「おっす!」
返しした。
お孫さんは、ルトくんというらしい。
七五三の写真の子?かなぁ?
オレはてっきり女の子だと思い込んでいたけど、もしかしたらこの子が写真の子かもしれないな。と、少しほっとした。
だって、おばあさんお孫さんと結婚してほしいなんて言ってたからさ。
でも、男の子なら大丈夫だろう。
だからといって油断対敵。
一応、双子じゃないよね?と確認はしておいた。
双子ではないそうだ。
ホッ。
安心したのも束の間、
「お兄ちゃん力持ちなんでしょ⁉︎すごいね」
とおめめキラキラでオレをみてきた。
だから、ムキムキな人がするポーズをしたら大喜びのルトくん。
「どう?」
「すごーい‼︎結婚したらうちで暮らしてね‼︎そんでさ、泥棒きたらやっつけてよ‼︎」
なんてサラッと言ったんだよね…。
ちょっと⁉︎
えっ⁉︎
どういうこと⁇
「えっ、それって…さ」
「あ、ボク習い事あるからそんじゃまたね」
と真相を聞けないままあっさりルトくんは帰って行ってしまった。
結婚…。
誰が⁇
誰が結婚してどこに住むの⁉︎
え⁇
ルトくんって…女の子⁇なの?
⁇
おばあさんに聞いてみるとルトは見てのとおりやんちゃな男の子だよ。と顔をくしゃくしゃにして笑った。
ですよね?
今度リトくんに会ったら聞いてみることにした。
でも、今度がなかなかやってこなかった…
どうやら習い事が忙しいらしい。
そしてオレもテストがあるのでとりあえずその話は、いったんおいておくことにした。
まぁ、オレも毎日はいけないからたまに心配で電話するんだけど、娘さんが来ているから大丈夫だとおっしゃっていた。
それなら安心だ。
ところで…最近やっぱりなんか言いたげな瀬川さん。
なんだろう?
「ん?」
オレがどうしたのかと思い瀬川さんをみると、
「な、なんでもない!」
と顔を背けた。
気になるー。
「なんかさ……ずっとなにか言いたげだよね?」
…
「あの…写真」
「え、写真?」
「うん。七五三のやつ…」
生徒手帳落とした時みたんだな。
「あー、あれね!知り合いのおばあさんから預かってるの」
「ふーん」
またそっぽむく瀬川さん。
なんで七五三ってわかったんだろ?
もしかしてこの写真の人瀬川さんなんじゃないっ⁉︎と、淡い期待。
「あのさ、もしかして瀬川さんって七五三着物だった?」
「ううん。ドレス。白のやつ」
…えぇ、そりゃそうですよね。
そんなうまい話があるわけないでしょうよね。
…
「でもね、」
「でも?」
三歳のときは、着物って言ってください‼︎という淡い期待は、一瞬で消え去った。
もう違う話にスライドしつつある。
「結婚式は、黒のドレス着たいの」
…
「へー…黒なんてあるんだ?」
「うん、あなた以外の色には染まらないよ♡って意味らしいの」
「なるほどねー」
「だから、旦那さんも黒着て欲しいです」
?
なんか、オレに言ってる⁇
「ちょいちょい、そこのお二人さんって付き合ってんの?」
いきなり後ろの席の宮田くんがオレたちの会話に入ってきた。
「え、いや付き合ってないよ」
とオレが訂正すると宮田くんは、
「だよねー…、瀬川さんがついに誰かに落とされたと思って焦ったわー」
と安心していた。
すると黙っていた瀬川さんが
「わたし、好きな人いる」
と言い出した。
しかもオレをめっちゃみてる。
?
これは、どういう…
あなたが好きです?
…
なわけないか。
なんなら、あなたじゃないから勘違いしないでねってことか。
うん。そうですね。
「おい、人間が草になるって話ほんとうかよ⁉︎」
おいおい、宮田くん…
急にどうした。
きっと、瀬川さんの好きな人いる宣言で耳が誤作動を起こしたのでしょう。
宮田くんは、そっとしておいてあげましょう。
と思ったが、そっとしておけない事態に陥った。
なんとオレのコンパスで遊び出したのだ。
「キャー、股が裂けるわぁ」
とコンパスを盛大に開いているじゃないかっ‼︎
「壊れるから…」
「えっ⁉︎瀬野くん…壊れちゃったんだ⁉︎どうかしたの?大丈夫⁇」
と宮田くんに心配された。
…
いや、あなたの心の方がオレは心配だよ。
そんな宮田くんを心配していると
「治療終わりましたよ。ケンパスくんお疲れ様」
と、そっとコンパスを閉じてオレに渡してきた。
あぁ、名前ケンパスくんっていうのか。それに宮田くんが名医でよかったわ…じゃないっ‼︎
宮田くんは、暇かっ‼︎
宮田くんのおかげでめっちゃ話が飛んだ。
…なんなんだ。
宮田くんよ‼︎
続く。
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