なんでしょう?

 それから三日後、オレはおばあさんの家へと向かった。

 

 

 春のポカポカ陽気なだけあっておばあさんは、のんびりと日向ぼっこをしていた。

 

 縁側にお茶と羊羹とおせんべいを置いて。

 

 

 そしてオレもお茶会へと導かれたのは、いうまでもなかろう。

 

 

 お茶を飲んで二人でのんびりとしていた。

 

 お茶菓子も食べてねと言われたからおせんべいをいただいた。

 

 

 そしたら、

「若い人は、おせんべいが食べられていいねぇ」

 と微笑むおばあさん。

 

 ⁉︎

 

 自分で食べないのに一人お茶会でなぜおせんべいを用意したの⁉︎と少し疑問を持ちつつ、おせんべいをいただいた。

 

 

 オレの隣でお茶をすするおばあさん。

 

 お茶を堪能しているかと思っていたらいきなり、

「いい湯だねぇ〜。やっぱりお風呂はいいねぇ」

 と言い出した。

 

 ⁉︎

 

 え?

 風呂⁉︎

 

 おばあさん…お茶飲んでたらお風呂入ってるつもりになっている⁉︎

 

 まさかの隣に座っているおばあさんは脳内入浴中…

 

 …まぁ、ね。

 うん。それくらい心地よいってことっすね…。きっと。

 

 ‼︎

 オレは慌てておばあさんを確認。

 

 …

 

 

 よかった。

 おばあさん服着てて。

 

 

 そんなおばあさんは、かわいい孫の話をしてくれた。

 

 どうやら小学生のようだ。

 

 とにかくやんちゃなのだそう。

 

 で、そのお孫さんとぜひ一緒になってもらえないかと言われたんですよ。

 

 …

 

 えと、それは…相手の都合とか…ねぇ?

 

 だから、お孫さんは多分ご自分で結婚相手見つけたいと思いますよ。と丁重にお断りさせていただいた。

 

 でも、この前助けてもらった話をしたら素敵な人だとうっとり顔をしていたそうな。

 

 …だからって結婚は、ないよね〜。

 

 それにまだ小学生って…ね。

 

 てなわけで、ぜひよろしくお願いしますとは、言わなかった。

 

 

 それで帰り際に写真返そうかなと思ったけど、また来ますね!といい次も会う約束を交わした。

 

 

 それからというものオレは定期的にうめおばあちゃんのところへと足を運んだ。

 

 

 そして縁側で、いつもお茶会をするのでありました。オレの好きなおせんべいを添えて。

 

 

 そして急にいつも話し出すおばあさん。

 

「うめじゃよ」

 

 ⁇

 

 なぜまた自己紹介…

 

「そうですね。うめおばあちゃんっていうんですよね。」

 と一応お名前再確認をした。

 

 すると、

「せんべい、うめ味なんじゃよ。美味しいかい?」

 と、まさかのうめ味の感想を聞かれてたっ!

 

「あぁ、おせんべいね。さっぱりしていて美味しいです。」

 と返事した。

 

 そしてたわいもない会話をするんだけど…突然いつも話が変わるのだ。

 

 うめ味からの天気の話からいきなり、

「わたしゃ、輸入された双子のうさぎなんじゃよ」

 と言い出した。

 

 輸入⁉︎

 しかも双子⁉︎

 さらにおばあさんうさぎだったの⁉︎

 

 と、謎だらけの会話。

 

「じいさんは、ウマじゃったのぅ。カニが乗ったねぇ。」

 と。

 

 ん?

 

 もしかして…

「おばあちゃん、うさぎどし?で、双子座なんだ?」

 と聞くと大当たりだった。

 

 そうなるとおじさんは、うまどしの蟹座なのだろう。

 

 輸入は…解明されぬままだが。

 

 でも、おばあさんとの会話は面白い。

 

 

 まぁ、軽い謎解きのようで頭の体操にもなる。

 

 おばあさんは、一人暮らしだけど近所の娘さんやお孫さんがよく気にかけてくれてしょっちゅう家に遊びにくるから不自由がないそうだ。

 

 そんな孫たちにサプライズでりんごパイをつくろうとしてこの前は、たくさんりんごを買いすぎてしまったそうな。

 

 だからあんなに重かったのか。

 

 でも、おかげでりんごパイは大成功したらしい。

 

 

 おばあさんと話していると心が、ホクホクのほっこりになる。

 

 

 ですけどね、学校ではひんやり冷え冷えなんです。

 

 なぜってさ…

 

 せっかくお隣の席になれた瀬川さんがさ、なんか…なんか挙動不審っていうかさ、、、

 

 …

 

 今までは、そんなことなかったように思うんだけど、なーんかオレのことたまにジーッとみたかと思ったらパッと目を逸らしたりさ?

 

 なんだろう?

 

 わからないけど、なんか…なんか言いたげな…そうじゃないような…

 

 

「あのさ、瀬川さん」

 オレは思い切って話しかけてみることにした。

 

「なに?」

「そのー…何かオレに言いたいことがあったら…まぁ、役に立つかわからないけど、話してもらいたいな」

 と思い切って質問すると瀬川さんは、

「ない‼︎」

 と横を向いてしまった。

 

 …ないっすか。

 

 

 オレ…やっぱりこの前見ちゃったって思われてんのかな…。

 

 わざと生徒手帳落とすフリしてスカートの下みたんだろ‼︎的な?

 

 …

 

 だから怒ってんのかな…。

 

 見てないけど…言い方が悪かったかな…?

 

 色々見てないよ、ってのが…。

 

 

 はぁ…せっかく超絶美人のお隣なのに、とても気まずいっすーー‼︎

 

 

 

 

 だから、おばあさん宅ではほっこり癒されているんだけどね!

 

 そんなおばあさん宅に遊びに行っていると、玄関チャイムが鳴った。

 

「おやおや、孫が遊びに来たようじゃよ」

 と立ちあがろうとしたので、膝が痛いおばあさんに変わってオレが玄関まで迎えに出た。

 

 そして玄関を開けるとそこには、やんちゃそうな男の子が立っていた。

 

 

 ⁇

 

 

 続く。

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