おばあさんを助けたらうちの孫と一緒になってくださいって言われて写真をもらったんだけど、これって七五三の写真だよね⁉︎ てか、きみは…

猫の集会

おばあさんとの出会い

 オレは高校二年生になったばかりの、瀬野せの 遼一りょういち

 

 

 春ってあったかいけど風が強いんだよねー…。

 

 信号待ちしてたら髪の毛があっちこっちにサワサワ泳いで自由に動き回っている。

 自由行動禁止です‼︎

 

 海になびくワカメかよっていうくらい自由にゆらゆらだ。

 

 早く信号変わらないかなーって思いながら髪をサワサワと泳がした。

 

 禁止命令無視な反抗期な髪たち。

 

 …

 

 信号が青になる頃にはオレの髪の毛は、もう寝起き状態になっていた。

 

 まぁ、どうせ本屋に行くだけなのでよしとしよう。

 

 

 そして自転車で颯爽と風をくぐり抜けた。

 爽やかな風〜。

 

 

 で、また信号待ち…

 

 

 …

 

 ここの信号長いんだよねー…。

 

 まぁ暇だけどさ…。

 

 

 やっと信号が青になったから渡ろうとしたら、となりにいたおばあさんがいきなりオレの自転車にガシッと捕まった。

 

 えっ?

 めっちゃ掴んでるじゃん…⁉︎

 

 お、おばあさん⁉︎

 

 

 …

 

 たぶん転びそうになったのだろう。

 

 足が変な感じになってるし。

 

 

「おばあさん、大丈夫ですか?」

「えー?あぁ、これくらい持てますよ」

 とにっこり笑うおばあさん。

 

 …話が通じていなかった。

 

 そして信号も点滅し始めた。

 

 まだ渡ってもいないのに…。

 

 どうせまた信号を待つのだからオレはおばあさんの荷物を自分の自転車のかごに乗せた。

 

 あぁ、ちゃんとおばあさんから許可もらってね。

 

 

 そしてやっとこ信号が変わったからおばあさんと一緒に渡った。

 

 で、荷物返そうとしたんだけど…この荷物めっちゃ重いんだよね。

 

 めんつゆとりんごが入っているらしい。

 

 どうせ暇だし、おばあさんの家まで荷物を送り届けた。

 

 

 どうやらおばあさんは、一人暮らしをしているらしい。

 

 近所に娘さんが住んでいるとのことだった。

 

 とてもかわいい孫がいると写真も見せてくれた。

 

 かわいい七五三の写真だ。

 

「うめじゃよ」

 

 ⁉︎

 

 うめちゃん…かな?

 

「お孫さん、うめちゃんっていうんですか?かわいい名前ですね」

 と返すと、

「わしがうめじゃよ」

 とくしゃくしゃの顔で笑った。

 

 あぁ、うめおばあちゃんか…。

 

「自分は、遼一といいます。」

「あぁ、遼一。うんうん。いい名前だねえ。そうか。遼一か。」

 となぜか呼び捨て…。

 

 まぁ、いいか。

 

 それじゃあと帰ろうとしたらおばあさんが一枚の写真をオレにくれた。

 

 写真を見ると…お孫さんの写真だった。

 七五三の。

 …

 

 たぶん三歳のだな。

 しかも着物なのに、足めっちゃ開いてあかんべーしてる…。

 

 やんちゃそうだな。

 

 これはおばあさんが大切に持っていてあげてくださいね。と写真を返そうとすると、

「このこは、あなたに捧げます。」

 とオレの手とおばあさんの手がサンドイッチになった。

 

 あぁ、おばあさんの手柔らかくてあったかい…。って‼︎違う‼︎

 

 今、この写真あげますじゃなくてこのこを捧げますとか言わなかった⁉︎

 

 ダメじゃん⁉︎

 そんなこと勝手に決めたらさ…。

 

 

 丁重にお断りしたのに、どうしてももらっての一点張りのおばあさん。

 

 次また来た時、返してくれればいいからと強引に渡された。

 

 …

 

 また…来るんだ?

 オレ…。

 

 まぁ、おばあさん一人で寂しいのかもしれないなと察して、写真は大事にしまって帰ることにした。

 

 

 

 その写真は、無くしてはいけないと大事に生徒手帳にしまった。

 

 会ったこともない人の七五三の写真を持ち歩くオレ…キモっ。

 

 

 そんなキモいオレの学校で本日、席替えが行われた。

 

 もうクラスの男子は、大はしゃぎだよね。

 

 だってクラスに学年一の超絶美人サマがいるんだからさ。

 

 みんな付き合えないってわかっているから、せめてお隣に座ることを許してくださいと、願うのです。

 

 オレもその一人だ。

 

 でもさ、そんな都合のいいことがあるはず…あった。

 

 

 えっ⁉︎

 となりの席⁈

 

 オレと⁉︎

 

 マジかよー‼︎とテンション爆上がりしたらうっかり生徒手帳をぶん投げてしまった。

 

 なんでそうなんるだよ⁉︎って、そんなことどうでもよいよい‼︎

 

 

 生徒手帳をルンルンで拾おうとすると超絶美人な瀬川ラノさんが、

「えっ⁉︎」

 とオレをめっちゃ大きな綺麗な目でガン見してきた。

 

 えっ⁉︎

 

 オレもびっくりだ。

 

 てか、瀬川さんどうしたのだろう?

 

「ん?」

 とオレが聞くと瀬川さんは、顔を真っ赤にして、

「なんでもない。」

 とふいっと前を向いてしまった。

 

 

 ⁇

 

 もしかして…生徒手帳拾うのにかがんだとき、パンツ見られた⁉︎って勘違いして赤くなった⁉︎

 

 

「あ、オレ…見てないよ?」

「えっ…、な、なにを?」

「あのー…色々」

「…そう。」

 

 

 …

 

 シーン。

 

 会話終了。

 

 

 よくわからなかったけど、さっそく瀬川さんとコミニケーションがとれたぁと少しの会話で喜ぶオレなのでありました。

 

 

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る