第7話
突然だが家の前に見知らぬ子どもたちが寝ていたら、前世ではどうしただろう。
放っておく? 手を差し伸べる?
前世の私ならまず間違いなく放っておく。
いつも面倒事から逃げてきた自分からすると、「家の前にボロボロの子どもが寝ていた」なんていう厄ネタは関わらないに越したことはないと考えてしまうのだ。
―――というかこの子たちはいつからここに?
パレントは昨日のことを思い返してみる。
昨日の夜、街から帰ってきたときにはまだ居なかった。どこかに隠れていたのなら別のお話だが、その後に来たのだと言うならその時刻は深夜を回っているだろう。
夜遅く家の近くまで子どもだけで来たことになる。疲れて寝ていても無理はない。
いや、その前にこの子たちは何なんだ。
目立った傷こそ無いものの擦り傷やなにかにぶつけたような痣が全身に付いている。
私の家があるこの森はジャングルとまではいかないがそれなりに逞しくと木々が生えている。まだ小学生くらいの子どもには酷な環境だ。
これ程傷を負っても森から出ようとしなかったこの子たちは何なのか。
「うーん。・・・・・・あっ、そうだ」
パレントは前世で調べたゲームの世界設定を思い出す。
―――奴隷制
華やかな物語の中にも多少の濁りは加えられるものだ。この世界にも奴隷制はあるらしく、いずれ奴隷という身分の人間を見ることにはなるだろうと思っていた。
よく見れば子どもたちが着ている服はどれも貧相で汚れた雑巾のような布でしかない。髪や肌はお風呂に入っていないのか年齢に似合わずバサついている。
おそらくこの子らは奴隷という身分で、どこかのタイミングで奴隷商の檻から逃げ出してきたのだろう。
私が助けなければ子どもたちは一生野ざらし。しかも私が放置したことで死なれたら余計だめ。永久に寝覚めが悪くなりそうだ。
私の感情は左右に揺らめいている。放置するべきか、家に上げるべきか・・・・・・。
「・・・・・・いやっ、でも・・・・・・」
「家の前にボロボロの子どもが寝ていた」が厄ネタだったのはあくまでも前世のことだ。前世では誘拐になり得る行為だったゆえに手が出しづらかっただけのこと。
だがこの世界にそんな法律は無い。なら今世では一択だ。
「〜っ! 助けるよ、もう!」
パレントは二人ずつ全身傷だらけの子どもたちを自分のベッドに運んだ。全部で八人、三人女の子で五人男の子。流石に私の中の良心が発動した。
そうしていると街へ出る時間を大幅に過ぎてしまい、一旦子どもをベッドに寝かせたまま私は急いで街へ向かった。
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