第153話 今まで一度も出て来なかったリアの龍形態
レリア・リファルと別れてからの数日間、リアは仕事をしていた、
それは異世界の存在を召喚した魔族たちの文明の破壊と抹消。そして関わった魔族達の鏖殺だ。
本来この世界に異世界の存在を残しておくのは非常に危ないらしく、存在するだけでもこの世界にバグが発生して世界滅亡の一助になるのだとか。
じゃあ俺は大丈夫なのか?と言う話なのだが、俺自身の存在は世界に対してのバグ関連に関しては一切の無害らしい。何故?とは思うが原因は不明…しかも俺の場合は召喚という手続きをしてないから何故この世界に来たのかも分からないのだ。
リアの予想では俺達神格者よりさらに上位の存在であり、超常の完璧なる存在である正真正銘の神が俺の魂に手を加えて送り出したのでは?と言う予想だ。
流石に荒唐無稽では?とは思ったが実際に神は存在するし、そもそもリア自身が神の手によって生み出された存在らしい。だから神は必ず存在している…
ちなみにこの世界を管理する神は居ないらしい。リアと世界の理にこの世界を託して消えてしまったのだとか。
『なんで…俺なんだろうな』
「…さぁ?私達には想像出来ない」
『気になるんだけどなぁ』
リアが目の前の魔族を消滅させながらそんな会話をする。リア曰く、魔族達はリアを神格者と認識して敵対の意思をもって突撃して来るから楽らしい。
そして召喚に関する文献も抹消し、召喚に関係した魔族達も滅ぼし、召喚なんて技術を生み出した魔族の文明も潰えた所で、ようやくリアの仕事は終わった。
「ん…これで今回の騒動は完全に終わった。……半分は確実に私のせい」
『結果が全てって言葉もあるんだ…そう自責するな。それに俺はリアの役に立てて嬉しかったんだぞ?』
「…むぅ」
…やっぱり納得はしないか。おそらく俺のステータスがとんでもなく下がったのを気にしてるのだろう。
時間さえ経てば戻って来るのが分かってるんだから別に気にしなくても良いって言ってるのになぁ。
『自責するのに思考を使うぐらいなら俺に思考を割いてくれて良いんだぞ?リアにずっと謝罪されるよりもリアとイチャイチャしてた方がずっと有意義だしな』
「…私の謝罪。価値無い?」
『価値はあるけど過多が過ぎるな。もう充分謝罪は聞いたって事よ』
ほんと、リアは一度こういう思考に入ると中々に抜け出せない。リアだって切り替えたくは思うのだろうが、どうしても切り替えられないって感じだ。
「ん…まだまだ時間が掛かる。その間に貴方がしてた約束、果たしに行こ」
『そう言えばそうだったな…付き合ってくれるのか?』
「ん。貴方が動けない状態なら、動ける私が貴方の分を補う。パートナー…でしょ?」
リアは俺とリアで補い合う…パートナーって言う関係が気に入ったらしい。今まではリアの孤独を俺が愛して埋め、リアからの好意を貰う関係であったが…これからは支え合う関係でありたいってリアの意思だろうか。
「…そう深く考えないで。恥ずかしい」
『良いだろ?まだまだ未熟ではあるけど、リアに認められて隣に立ててるって実感があるんだから』
「ゼノは元から充分立派」
そうは言ってくれるが…正直言うとあの夢の中の生活での恋人時代からの若干本来の恋人や夫婦関係とは違う気はしてたのだ。まぁ恋人や夫婦関係は人それぞれではあるが、対等ではないって感じを薄々感じてた。
だからこそ、リアがしっかりと対等に見てくれている今の状態が最高に嬉しいのだ。
「……もう良いから。行くよ」
『照れてるな?』
「………黙って?」
とんでもない圧を
そんな圧はほんの数瞬だけであり、圧を解除したリアは龍に姿になって王国へと飛んでいく。
リアの龍形態の姿は非常に美しい。
フィリアさんの綺麗さと威厳による正統派な龍の王者の風格を醸し出す姿とは違い、全体的に薄めな白による霊龍らしい少し透けた様な見た目だ。
翼膜などは本来の龍であれば滑らかではあるがしっかりと丈夫な造りをしているのだが、リアの翼膜は後端に行くにつれてフリルの様にヒラヒラとしており、とても飛ぶための部位とは思えない様な形状をしている。幽膜…と言うやつだろうか?
全体的な印象としては、神秘的。脚や胴体、尻尾などにも美しく綺麗な装飾が入っており、正に【神獣/神龍】の印象を強くうける様な見た目をしている。
私的にはとても好きであり、ずっとも見ていたい姿なのだが…リアはあんまりこの姿にならない。今は俺の要望で見せてくれてはいるが、この龍形態の姿で居るとどんな生物でもリアに跪く程の雰囲気を出してしまって鬱陶しいのだとか。
…俺にその雰囲気が効かないのは番だからだろうか。それとも異世界出身だからか?ここも謎である。
龍形態でリアは銀猫亭へと羽ばたいて行く。その姿は本当に神秘的で、優雅な飛翔だった。
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