第148話 神滅戦・序
予備動作無しで唐突に放ってきた水属性ブレスに対して雷属性崩壊ブレスを放って相殺する。
だが相殺した確認などする暇もなく、即座に背後へと飛ぶ…すると俺が立ってた地面の真下からドロっとした液体が溢れ出し、龍頭の形となってバクンッ!と喰らうような行動をする。
…やっぱり、俺を喰おうとしている。
『凶星っ!』
地面から出てこようとしてくる邪龍に向かって凶星を降らす。そして俺は即座に右に向いて罪氷を放つ。
『グルゥ…ガァ?』
いつの間にか俺の右に居た邪龍に断罪氷が当たり、凍っていくが…凍る事がまるで関係無いかのように凍った部分が溶け出て地面に滴り落ちる。…マジか。
(…リファル、援護頼むよ)
『任せろ、そう言うのには慣れてるんでね』
リファルに俺のスキルを共有し、邪龍に肉薄する。
またしても口を開けて俺を喰らおうとする邪龍の口に罪氷を突っ込み、食われないようにしてから俺は邪龍の首元に噛み付く。
そして思いっきり噛み砕こうとするが、グシャっとした感覚しか感じれなかった。そして罪氷を噛み砕いた邪龍は体制をそのままに突進をして俺を弾き飛ばす。
リファルが作ってくれた結界の足場を利用し、飛翔して空へ飛んで邪龍を見下ろす。邪龍はドロドロとした液体を飛ばしたり、ブレスを吐いて撃墜しようとしてきているが、それらをのらりくらりとかわしながら凶星の流星群を降らせる。
………当たってはいる。邪龍にダメージは入ってるし、体力も削れている…それは先程の噛みつきもそうだ。
だが、相手の再生力とドロドロとした液体によって形成されたかの様な身体のせいで思ったような有効打にならないのだ。
『キュオオォォォォォオオオ!』
少し狐の様な声で叫び、雷を降らせる。勿論邪龍に向かってだ。狐っぽい声なのはおそらくリアを取り込んでる影響だからだろう…龍によっては鳴き声は違うからな。
邪龍に有効打は与えれそうにない…だが、有効打が与えれないだけであってダメージが入る事には変わりない。ならば手数で攻めれば良いのだ…その一歩目が雷落としだ。
流星群と雷の猛威を身体で受け止めながらも、ひたすらに撃ち落とそうとしてくる邪龍の背後へと転移し、辺り一体を崩壊域化。そして崩壊化破壊術によって強化した前脚で殴り付ける。
バシャッ!と言う音と共に殴った部分の液体が弾け飛び、あたりに飛び散る。更に崩壊域化の効果によって追加のダメージを与えているが…やはり再生力が異常だ。回復は追いついてないっぽいがそれでも時間は掛かりそうだ。
…もっと手数を増やさないとな。
大量の魔法陣を辺りへと散らばらせ、そこから様々な属性の魔法を発射させる。
機銃を生成し、展開して断罪氷の弾丸を猛速度で撃ち続ける。
辺りにあるセレスティア森林の木々を操り、その枝や幹で攻撃する。
霊力で辺りを満たし、その霊力をそのまま邪龍にぶつけ続ける。
………そんな風にひたすらに手数を増やし続けた結果。
『おい…とんでもねぇ大災害じゃねぇか』
(これでもまだ足りないくらいだが?)
上空からは凶星と雷と氷結晶が降り注ぎ、空中からは大量の魔法陣と艦載機によって集中砲火されており、水平方向からは機銃や砲撃によって断罪氷が打ち込まれ、地中からは湧き出すマグマや氷の棘によって身体が焼けたり刺されたりしている。
常に邪龍の液体は飛び散りまくり、砂埃で視力が機能しないほどになっている。最上位進化種程度ならこれらを受けて数瞬程で跡形もなく散るような攻撃のはずなのだが…あの邪龍はまだまだ体力が残っているのだ。
だが、これ以上技を増やしても技と技同士がぶつかって消えてしまうから増やせないのだ。だからじわじわと体力が削れていく邪龍を見続けて邪龍を逃がさないようにすることしか今の俺に出来ることは無いのだ。
だから俺は少し離れた場所に降り立ち、ジッと監視し続けている。
『…これで倒れてくれると良いんだが』
(本当にその通りだな。まぁ、この程度で終わったらそれこそただのステータス任せなだけなんだが)
…十中八九そんな事は無いと思うが。何せ称号に「神殺し」なんて物があったのだ。そんな称号がつくほどの事をステータス任せの暴力程度で起こせるわけがない。
………どうやらその通りのようで、邪龍の動きが変わるらしい。
(リファル)
『分かってる、出来るだけ防御する』
「ガァ—————ッ!」
突如として邪龍によって放たれた大咆哮。リファルが即座に生み出した結界によって音や衝撃は届いていないが…それら魔力の含んだ衝撃をモロにくらった魔法陣や機銃や艦載機、凶星を降らせてたスキルが悉く破壊されて分解されていく。
そしてその咆哮中はただ咆哮するだけではなく、邪龍が纏ってた液体を手当たり次第に散布している。俺はそれらの液体を広範囲に飛ばないように結界で受け止めている。リファルが防御に徹していてくれるからこそ確実に液体の拡散を防げるのはありがたい。
そんな大咆哮をしてる邪龍だが、徐々に纏ってた液体が無くなり、本来の姿が顕になる。
全体的に灰色な体色に、所々にフィリアさんを思い浮かべるような白銀の鱗が生え揃っており、全体的に非常痩せ細った非常に身体の線が細い龍の姿をしている。
…だがそれもついさっきの事であり、どんどん形状変化して一般的な龍の様な肉付きになったかと思えば前脚がどんどんと発達していき、前脚での戦闘を主流にするかの様な姿へ。
翼もある程度飛べるだけの形状と大きさであり、恐らく戦闘の邪魔にならない様に畳んでいる。
そんな姿になった邪龍は咆哮を止め、俺を睨んだ後に黒い霧に包まれて消える。
…その霧が霧散するのを見届けてから、俺は転移するのだった。
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