第147話 一時的な根源化。淵源の力
リアの身体を霊体化させ、俺の中に取り込む。
ステータスが爆増するのを感じながらも、リアの魂の世話をレリアにお願いする。…負荷がキツイな。
(リファル、力を貸してくれ。あの結界とお前達の力で援護して欲しい)
『任せろ。こっちだってレリアがそれを望んでるんだ…俺だって行動する必要があるんだよ』
(そうか…良い関係だな、お前達)
『おぅ、羨ましいか?』
(いぃや、俺とリアだって負けてないからな)
【世界の理より神格者及びアルカナ製作者へ通達。
各神格者及びアルカナ製作者は即刻セシリア・グロウの元へと転移します。
セシリア・グロウの元で防御に徹してください。
淵源……訂正。疑似根源種:ゼノリア・エルシオン・リフレリアは突如現れた邪龍討伐へ赴いてください。
最優先事項です。手段は問いません、確実に対象の消滅を実行してください】
その言葉を聞き、俺は転移する。
転移する先は………セレスの街だ。
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「急げっ!冒険者達が持ち堪えてるうちに避難しろ!」
「待って!家に大事な物が…」
「そんなの捨てろ!戻ってる猶予はないぞ!」
「ママ——」「邪魔だっ!どけっ!」「今は争うなっ!一刻も早く逃げろっ!」
城壁の上に転移した俺の耳に避難に大騒ぎしている人達の声が聞こえる。まぁ、それもしょうがないだろう…リアの魂を取り込んだ事で、尚且つリア自身が制限を掛けれる状態じゃないからリアの力もほとんど全て使える状態で世界各地の状況が全て分かるのだ。
情報量の多さで頭痛が酷いけど…どうやら指示を出し終えた世界の理が情報処理を請け負ってくれるらしい、かなり楽になった。
状況はとんでもなく大規模のスタンピードが起きて、現状Bランク以上の魔物がほぼ全てこの街に押し寄せている状態だ。
そしてそれを冒険者達が食い止めているうちに避難をしてるといった感じだ。
スタンピードの原因はあの邪龍だ。あの邪龍がまっすぐセレスティア森林最奥に行った事で魔物達が驚き、逃げる為に一気にこちらへと走ってきてるのだろう。じきにAランクどころかSランク魔物…いや、最上位進化種すらも逃げてくるとされている。
『それで、どうするんだ?助けるのか?』
「…本来ならまっすぐ邪龍の所に行きたいが…人が大量に死ぬのは見たくないんでね」
『神なのに随分と人間臭いんだな?』
「まだ俺は神格者になって日が浅いんだよ…人の心を捨て切れてないんだ」
『俺はその方が好きだがなぁ』
…そうかい。別にここが滅んでも良いのだが、一応この世界で初めて来た街だしな…助けれる力があるなら助けても良いだろう。そこまで手間でも無いし。
最前線の転移して、目の前に居る魔物を吹き飛ばす。そしてすぐ隣に居る冒険者に声を掛ける。
「…ルミナ、状況は?」
「ッ!貴方!…いや、それどころじゃ無いわね。状況は最悪。もうそろそろ私達以外耐えれない程の奴が出てくるんじゃ無いかしら?」
「わかった…冒険者全員下がらせろ」
「はぁっ⁉︎街の人を見殺しにしろって言うの⁉︎」
「違う。俺1人で受け持つって言ってるんだ………【命令だ、冒険者全員を下がらせろ】」
「っ…分かったわよ」
後方に居るレティの所へルミナが行き、話をする。レティがこちらをじっと見た後…即座に冒険者達が街の方へと引いていった。
そして魔物が流れ込む…などさせるわけがなく、環境創造で街と魔物の間にどデカい壁を創る。これで街に来るのは飛んでくる魔物くらいだ。
「………疑似根源種の名の元に常世に命ずる。我が世界よ、我に味方せよ」
飛んでいる魔物が全員突如地面から飛んできた岩や伸びてきた木々に絡められ、地面へ叩き落とされる。
逃げてきた魔物達も木々や岩に絡め取られ、身動きできなくなっている。コイツらだってただ強大な存在から逃げてるだけだ…殲滅する対象では無い。
後方をチラッと確認して全力で撤退してるのを確認して俺は龍の姿へと変わる。街の方から歓声が上がった気がするが気にしない…あの邪龍を討伐せねば。
そうして俺は邪龍の元へ転移するのだった。
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転移して即座に前脚を邪龍に叩きつける。
邪龍は怯んだ程度…効いてはいるが再生速度が異常だ。
「グルロォ……ゴアアアアァァアァァァァァア」
邪龍が咆哮をすると、辺り一体の植物全てが枯れる。
にしても邪龍に触れた部分が若干ヒリヒリする…コイツ、触れるだけでスリップダメージを与えてくるのか。
おそらくコイツが垂れ流している液体が原因だろう。ここで一旦邪龍の姿をしっかりと見てみる。
骨格は今の俺と同じく4本の脚に一対の翼と言うデフォルトスタイル。だが似てるのはそれだけであり、他は全然違う。
鱗や外殻は全てドロドロに溶けており、所々滴っている。ドロドロした物が地面に落ちると、燃えたり溶けたり蒸気を発したり爆発したり凍ったりと様々な反応を起こしてる。
瞳は紅く、とても敵意に満ちている。そしてその口からは涎を垂らしており、まるで俺を捕食対象としてみている様だ。
全体的な色は何もかもを吸い込む様な黒。光を反射して一部銀色に見える俺の黒とは違う、一切光を反射せずに吸い込む黒だ。
不気味…と言う言葉が一番似合う。強大な力に身体が耐えれずに崩れながらも、逆にその強大な力を手に入れてて嬉々としてるし、更に力を取り込もうと言う意思すらも感じる。
まさに力に貪欲…強くなるためなら生態系どころか世界を壊したとしても一切悪く思わないだろう。
邪龍は世界の理から絶対悪と定められているから、罪の蓄積がグングンと溜まっていってる。最大限の断罪効果と贖罪効果を発揮出来そうだ。
こうして断罪の根源龍と大罪犯した罪禍龍が対面する。
その二体の戦いの火蓋が切られるのは…一瞬だった。
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