第140話 海淵辰【凪】

 リアと共に建物の入り口を通ると、急に水が無くなって地面へと着地する。

 …凄いな、入り口が完全に水を塞いでやがる。 


「ようこそリア様、ゼノ様。お話は主様から伺っております。どうぞ案内いたしますのでこちらへ…」

「んっ、よろしく」


 スタスタと歩いて行くリアに着いてく。いや、それよりも気になるのが…うん、和服だ。ちょっとメイドっぽさを感じる改造がなされているが、和服だ…

 和装メイド、と言う奴だろうか?


 そう言えばこの建物も若干和城っぽく見えたからもしかしたら昔の日本に近い文化があったのだろうか。


 掃除等の仕事をしている人…多分擬人化してるのだろうか?その人達も皆和装している。

 なんと言うか…ちょっとした感動を覚える。異世界であっても似た様な文化があるって言うのは非常に嬉しく思えてくる。いつかはアニメ文化とかも見れるのだろうか?


「………こちらに主様はいらっしゃいます。どうぞ、お入りください」


 扉を開けて、ゆっくりと俺たちに頭を下げる尻尾を生やした和装メイド…日本に居たら大変人気が出そうである。


『…その子は今から会う子の部下。………浮気はダメ』

(まさか…前世で似た様な衣装を見つけてつい驚いただけだよ)

『…今度私が着てあげるから』


 まさかのリアの和装メイド姿が見れるとな…?これは案外他のコスプレなどもしてくれるのかもしれない…いや、リアがすると普通に本職顔負けのオーラを放ちそうだ。


 そんな考えは置いといて、さっさと中に入る。扉を締めてくれるあたり、本当にメイドって感じがする。


「やぁ、リアさん…お久しぶり。隣の子がリアさんの…?」

「ん、凪。そ…ゼノ。私のつがい

「そっか、君がリアさんの…」


「どうも初めまして。僕は凪…暗咲 凪だよ。ゼノ君…いや、ゼノ。神格者同士、よろしくね?」


 そう言うのは深く暗い青色の髪をした青年…いや、女性?中性だろうか。

 その深く暗い青色は暗闇の海を表すかの様な色合いであり、瞳は前世で見た黒眼。

 穏和そうな見た目をしており、服装は和服。髪型はウルフカットであり、男性とも女性とも取れる見た目をしている。


「俺はゼノ・エルシオン…神格者になったばかりの新参者だがよろしく、暗咲さん」

「…うん?あぁ、よろしく。それと凪で良いよ、苗字呼びだなんて堅苦しいじゃないか。

 …ねぇリアさん、今の時代って僕の時代の文法でしたっけ?」

「ん、違う。でもゼノはその文法に馴染みのある所から来た」


 …そっか、そう言えばこの世界で名前の前に苗字が来るのは見てない気がする。つい前世感覚で苗字で呼んだが、どうやら名前呼びで良いらしい。


「そうか…文法が似てるならゼノとは随分と話しやすそうかもしれないね、どうだい?少し雑談でもしてみないかい?」


 せっかくの親しくなれそうなお誘いだ…是非とも乗らせて頂こうと。


 ----------------

「へぇーっ!なるほど!これが異世界の文法か…随分と僕の時代に使われた物に似ているね。ほぉー…ちなみに文化の方はどうだい?」


「なんと!?似てる部分もあるのか!ほうほうほうっ!この服は和服って呼ばれてるんだね、リアさんが着てるのは…洋服?ほぉ、いろんな種類があるんだねぇ」


「おぉ〜、良い服装の案を出すじゃないか…今度側付きの誰かに着てもらおうかな…」


 うん、海淵辰こと暗咲 凪さん…色んな文化が入り乱れた日本文化にどハマりである。

 と言うかあの和装メイドもどうやら凪の趣味だったらしい。日本でよく知られているメイド服を教えたら非常に眼を輝かせていた。


「いいねっ、ゼノとは仲良くなれそうだよ!是非ともいつでも此処に遊びに来てくれ!ゼノなら大歓迎だよ」

「歓迎してくれる様でありがたいが…凪は外に出ないのか?」

「外?うーん…出る用事が無いんだよね。それに此処の居心地が良くてね、外に出る気がそこまで出ないんだよ」

「……引きこもりの発想だな」

「あっはっは!良くセシリアさんとかに引きこもりって言われるよ!」


『実際に凪は引きこもり…ここ数百年は確実に陽の元に出てない』


 …リアからも引きこもりって思われてるぞ、凪。

 ちなみにリアは今俺に憑依している。どうせなら俺と凪の二人で喋らせたいと言う事で席を外そうかとしたらしいが…特に行く場所がなくて俺の中に入っていった。


 俺の身体の中はリアの家じゃ無いんだよ…?


「にしても…そっかぁ、リアさんが遂に番を見つけるとはね…」

「セシリアさんもそんな感じの反応をしてたけど…そんなに意外か?」

「意外と言われれば意外だね。ゼノも薄々感じてると思うけどリアさんは『神格者』とは違う…正真正銘の【神】だよ。そんな御方が番を見つけるのはやっぱりびっくりしたよ」

『………』

「やっぱり神格者視点でもそんな感じなのか…圧倒的な上位者を見てる感じか?」

「まぁ、簡潔に言うならそうだね。僕ら神格者が二桁ぐらいで掛からないと対等に渡り合えないレベルの実力者だよ。だから僕たち神格者は、世界の理とリアさんを畏れ敬ってるのさ。」

(そりゃリアが畏れられるって言う時に悲しさが見れた訳だ…対等な存在、ね…)

『…私は別に神じゃない。ただ神格者を纏めてるだけ』

(………そうだよな、リアはリアだ。例え神格者よりも上位の存在であっても俺が愛する妻である事には変わりない)

『………』


 結局目標は変わらない。リアの隣に立てるほどの実力を手に入れ、リアを支える。

 神格者と言う立場もその目標への足掛かりだ、この程度で満足しちゃいられない。


『…無理はしちゃだめ』

(流石にそれは分かってるさ)


 死んだら…元も子もないからね。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【ただの近況報告。読み飛ばしてもらって構いません】

 実は…またとある夢を見たんですよね。


 今回はストーリー性があり、異世界ファンタジーで…ある日主人公が友人達と特訓をしているところに【クリスタルから生まれた双子の王女】がやって来たんですよね。


 それで成り行きでその王女二人vs友人&主人公と言う戦いをする事になって…んで場面が切り替わって。


 それから数年後…でしょうかね?王女二人が姿を消してるっぽいんですよね。主人公が言うには姉の方が妹を殺し、また姉の方も相当なダメージを負ってそうな感じなんですよ。

 ついでに言うと姉妹仲はよろしくない感じだったらしい。


 そしてそれを知ってる主人公は…まるで転生者みたい。


 それで死んだ事によって世界に散らばった王女の欠片を集めてる時に、王女を生み出したクリスタルを発見…そしてそれに近づくと集めた王女の欠片が反応してクリスタルが活性化して…


 そこからまたちょっと物語があり、そして遂にクリスタルを使って王女を再生成しよう…と言った所で目を覚ましたんですよね。


 …一体何なのでしょうね、この夢。

 この夢の強かった印象は【クリスタル】【双子の王女(妹)】【なにかアニメを見てる感じだった】。

 これまた、何を表してるんでしょうかねぇ。


 ………それとクリスタル王女の妹ちゃん、めっちゃ可愛かったです(その姉と母親も美しかった)


 もし繰り返しこの夢を見るようならば新たな異世界ファンタジーラノベとして昇華させて執筆しても良いかもね〜

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