第139話 究極型水族館デート
どうせなら人の姿でも楽しんでみたい。
そう言う考えから、人型になってみる。そして人型になって分かるのだが、思った以上に泳ぎやすい。やっぱり前世で水泳とかも授業で触ったからだろうか?思った以上に動きやすい。とは言えやっぱりいつもよりは不自由だが。
それとこの場所の特殊さも動きやすい理由だろう。超低重力空間っぽさがありながらも、実態は水である事に変わりないから泳ぐこともできる。じっとしていれば沈みはするが、バタ足や平泳ぎをしていれば水中を自由の動けるのだ。
そんな感じで人型で泳いでいるが、前世で息継ぎが苦手で25m泳ぐのが長距離走よりも辛い思いをしてた俺からすると永久機関スキルによって呼吸の心配が要らず、ステータスのおかげもあって悠々と泳げるのは非常に楽しいのだ。
前世では空中を泳いでみたいと思っていた物だ…それが叶ったような気分なのだ。とは言え正直水中の景色は結構堪能した後なわけで、あんまり見たいと言う物は無い。
強いて言うならば生物たち…だろうか?パッとみた感じ小さい魚も泳いでいるが、全体的にあの扉より上の魚達に比べてバカ強くなってる。
それにデカ目の水生生物が多い。しかもその1/3は確実に上位種の域に達している。おそらくあのクレアーレ大火山の最深部付近と同じレベルだ。
とは言え俺も神格者…特に気配隠しもしてないわけだから上位種や、それに近しい実力を持つ生物達は一目散に俺から逃げている。
………どんな戦いをしてくるのか気になってたんだけどな。
まっ、襲ってこないのならばそれはしょうがない。魔物だって生きるし考えるのだ。無闇矢鱈に死にに来る奴は普通いないのだ。ブルグラシャーク?あいつは例外だ。
さて…霊印はあの遠目に見える蛇が巻き付いた建物を指している。おそらくあの建物に神格者が居るのだろう。
特に襲ってくる敵も居ないため、ゆっくりと泳ぐのを楽しみながらあの建物へと向かう。
『んぅ……んっ?』
(おう?おはよう、リア)
『ん…おはよう、ゼノ…ここまで来たんだ』
(そうだ…それで、あそこに合ってない神格者が居るのか?)
『…そう。あそこに居る。………ん、私も出る』
すぅーっと俺の身体からリアが出て行くのを感じる。そしてスッと俺の身体から霊体で出てきたリアは実体化する。うむ、いつも通りのリアだ…
「…いこ」
「おぅ」
リアと二人で並んで泳ぐ。さながら水中デートだ…人間では水圧や呼吸の関係上、生身で出来ない水中デートはかなり楽しく思える。
言うならば究極型の水族館デート。水生生物と触れ合えるし、一緒に泳げるし、綺麗な水中の世界を眺めれるのだ。
そしてそれ以上に…水中とリアが非常に似合っているのだ。銀色に輝く髪は水中にいる事でフワフワと動き、周りを泳ぐ小魚達がリアの可愛さを引き立たせている。
水中に現れた銀の妖精。大人の姿ならば海に眠る女神だ。
…実際にリアは神であるからただの事実ではあるが。
そんな事を考えてた俺の心をリアが読んだのか、リアは大人の姿になって俺の手を握りしめる。恋人繋ぎ…本当にデートをしてるみたいだ。
「んっ、水族館デート…悪くない」
そんな言葉を聞こえた途端、急に海流が俺たちの身体を襲う。だがリアはそれに逆らう事をせず、そのまま俺と共に流れていく。
そして俺たちにスッと気配の隠蔽をかけられた。これで魚達にも避けられないと言う事だろう。
デカいサメ…それこそ俺の龍型の時と同じくらいの大きさがありそうなサメの横を通り過ぎたり、小魚の群れにマジって泳いだり。
自然に出来た岩のアーチの様な所を潜ったり、上位種の魔物の狩りを間近でみながら海流に流される。
コレはリアがやってる事なのだろう…だけど楽しい。まるでテーマパークのアトラクションに乗ってるかの様だ。
だがこれらは映像ではなく全て現実。実際に起きている事であり、アトラクションとは比べ物にならないほどだ。
「……見慣れた景色だけど、改めて見るのも良い」
「そりゃあ良かった。俺だけが楽しんでもデートじゃないしな」
「ん…楽しんでもらえた様で何より」
ゆったりと海流に流されながら遠くに見える建物へと近付いていく。
会ってない神格者に会うのは…どうやらもうすぐらしい。
--------------------
ゆったりと流されながら、とうとう建物の前へと到着した。
ここまできてわかるのだが、巻き付いてる蛇がとんでもなく大きい。建物自体も大きい為、遠目からなら違和感は無いが、間近で見ると本当に大きい。
もし戦う事になれば距離感が絶対にバグるであろう大きさだ…
「…この子は今から会う神格者の部下……今から会う子は部下が多い」
「そういえば…セシリアさんとかフィリアさんに部下って居るのか?」
「…神格者は今から会う子を除くと部下は作ってない。部下を作っても…私達には着いて来れないから」
「あー…なるほどなぁ」
最上位進化種と神格者は絶対的な差があると言っても良いほどの実力差があるのだ…部下に任せるくらいなら自分でやった方が速いってレベルで。
しかも俺たち神格者の仕事はそれこそ世界的危機や、神格者に届こうとする存在を排除する事…そんな存在を相手するのは神格者じゃないと対抗できないわけで…部下を作っても意味が無いのだ。
「ん、入るよ…会いに行こ、凪に」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…最近執筆速度が落ちてるんですよね。
大体2、3日に1話程度しか書けてない。
いやまぁ、今月分はあるから良いですよ。でもなんか1日1話書けてないとモヤモヤするぅ…
燃え尽き症候群の一端でも出てるんですかね?執筆速度に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます