第130話旅は道連れ…王国へ
「…私もついてく」
「リアも来るのか?」
「ん……どうせ暇だし。偶には人間の暮らしをみてみるのもあり」
「偶にはか…ちなみに何年ぶりに人の街には行くんだ?」
「………ゼノの世界を除けば200年ぶりくらい?」
あっ、割とそこまでだった…てっきり数千年とか言われるかと。
ちなみに帝国で会った時はただの興味であの集団に混じってたらしく、街には一切入ってなかったっぽい。
そんなわけでリアが我が家をスキルで収納するのを見届けてから出発する。勿論崩壊の力の衝撃で移動してるわけだが…やはりまだ失敗する。
「んー…足裏に直接ぶつけるから失敗する」
とまぁ、何度も衝突する俺を見かねて移動中にリアから教わる事となった。
直接上空に飛ぶ時は今の様に足裏に崩壊の力を直撃させるので良いが、空中でする時は跳躍したい瞬間に空中に崩壊の力を溜めてそこを蹴るようにすれば良いらしい。
更に言えば、ブロック状に形を整えておけば更に安定性は増すとの事…以前やってた生み出した装甲を蹴って空を飛ぶ方法を崩壊の力でやれば衝撃も合わさって更に早く飛べるのだとか。
じゃあ緊急回避ではどう使うんだって話だが…そもそも緊急で回避する時は正確さより避ける事の方が大事と言われ、適当に身体に崩壊の力でもぶつければ良いのだとか言われた。なるほどね…
て事で空中を蹴る感じで移動できる様になった。ちなみにだが俺に対してだけ崩壊の力の衝撃を発生させるかさせないかを選択する事が出来る。つまりは昔にやった装甲を出して蹴りながら移動するやつ…あれも出来るのだ。
衝撃を利用した奴はまだ慣れてないから正確性を求めるときは衝撃無しでやった方が良いかもしれない。
「んっ、マシになった…あとは練習あるのみ」
そんな言葉をかけてくれるリアは背中から半透明の翼を生やして、その翼で飛びながら俺と並走してる。飛翔速度早くない…?
そして俺がミスって地面に激突しそうになった時は俺の身体を掴んで上空へと飛んでく方向を変えてくれる…もうほんとリアさん流石なのよ…サラッとこう言う事してくれるのにイケメンっぽさを感じちゃう。
そんな事をしているうちにいつの間にプライム王国の王都が見えてきた。さっすが移動速度が速いだけある…まだ昼にすらなってない。
なお、また土とかで汚れたので霊体化して汚れを落としといた。
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「おぅ、Bランク冒険者か…んでそちらのお嬢さんは?」
「ん」
「へ…っ⁉︎Sランク冒険者様⁉︎」
…わぁお、リアってSランク冒険者だったんだ…リアなら不思議ではないけどあんまり人に興味持ってなさそうだから意外だった。
巷では幼姫って呼ばれてるらしい。白聖って言うS級冒険者と最強の座を争ってるとか言われてるっぽい…
『白聖はフィリア。あと争ってると思ってるのは人間だけ』
…補足説明がありがたい。しっかりと龍の言葉で言ってくれたお陰で周りにバレる事がないしな。
にしても…うーん、なんかBランク冒険者のままなのも微妙な気がしてきた。まぁ冒険者ランクって人間の尺度だから別に良いんだけども。
さて、そんな事を考えながら帰ってきたプライム王国の王都だが…まぁやっぱりそこまで変わってない。
ただ、よく見れば獣人とかがしっかりと歩いてるし差別する様な目線もそこまで無い。以前の創神教による差別は同調圧力の面が強かったのだろうか?正直よく分からんが。
獣人が生き生きとして生活出来るなら良い事だ…シィやスゥもわざわざ過度な警戒をしなくて済むだろうし、シルのおっちゃんも包丁をぶん投げなくて住むだろうし。
「ん、強盗」
「…うん?あっ、ほんとだ…強欲と嫉妬と傲慢の色が強いな」
目の前から走ってくる強盗犯…手にはナイフを持って振り回しながらこちらへと走ってくる。うーん…これは俺が軍を壊滅させたせいで治安が悪化したのだろうか?そこら辺の政に関する事は本当によく分からんが…ちょっとは原因になってそうだな。
そんな強盗犯がリアをみて色欲の色が増えた。
………へぇ。
崩壊の衝撃を利用して一瞬で強盗犯に近づき、思いっきり腹パンをくらわしてくの字に曲げてから身体をクルッと回して無防備に晒してる背中に踵落としを決めて地面に叩きつける。
地面にめり込んだが…人の妻になんつう目を向けてやがるって気持ちが抑えれなかった。俺一人だったら強盗を止める為に足の骨を折る程度で終わらせてたかもしれないが。
「…あの程度気にしない」
「俺が嫌なの」
「ん…過保護」
「それだけ愛してるって事で」
「………ズルい」
そんなやりとりをしてその場所から去る。別に強盗犯を地面に埋めただけだし…その場に止まる理由もない。
全く…確かにリアはとんでもない美人だし、スタイルも非常に良い。そりゃ目移りするのも仕方がないだろう…
だが、あの強盗犯は違う。別に目を向けて厭らしい目を向けるのはしょうがない…それだけ魅力的なのは重々承知してる。でもそこに色欲の大罪が見えるのは流石にアウトだ。
あれは色欲に関する犯罪行為に走る前兆…例えば人質としてリアの首元にナイフを向けて、そのまま胸を揉んだりとかね…
リアならそのまま強盗犯を吹き飛ばしそうだが…そんな前兆が見えてしまえば流石に我慢は出来なかった。そもそも犯罪者だったし手加減は死なない程度で充分じゃろ…多分骨バッキバキの折れてると思うけど。
まぁ、リアにそんな事してればあの強盗犯は確実に崩壊の力で塵も残さず消滅させてただろうけど。
「…ふふっ。ほら、銀猫亭行こ」
「ん?あぁ、そうだな」
…リアは何に微笑んだのだろうか?
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作者の小言
ゼノ君もどんどん龍の本能が現れてます。
…番を害する者、番を穢そうとする者には容赦はしない………独占欲でしょうかね?
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