第121話 大陸の本来の姿

 崩壊結晶を飲み込んでからいくら経っても身体に異変は起こらない…崩壊の操作スキルを手に入れた時の様な事も起きるのかと思って意を決して身体を動かしてみたが…全く何も起こらない。


 それどころか、時間が経つごとに身体の中にある崩壊の力が静まっていき…遂には身体から常に微量の崩壊の力が放出していたのもピタッと止まった。


 まさかと思ってステータスを見てみれば耐性の欄には【崩壊無効】の名前が存在していた。


 遂に崩壊無効の耐性を手に入れた!と言う達成感よりも何故崩壊結晶を飲み込んで崩壊無効が手に入ったのかが謎過ぎて頭がこんがらがる。


(少なくともlv1000まではあと50lvはあったし…もしかして崩壊耐性のlv上限が950だったとか…?)


 普通に違う気がする。そんな風に訳もわからぬままに立ちすくんでいると、不意に脳内に言葉が流れてきた。


【世界の理より、ゼノ・シオンへのメッセージがあります。

 メッセージを再生…『崩壊エネルギーへの対処への協力、誠に有り難うございました。世界の理は、貴方が神格化を心よりお待ちしております』

 以上で世界の理からの個人通知を終了致します。】


(…世界の理から神格化を望まれてる?)


 世界の理とはこの世界を維持する完全無形のシステムの様な物だと言う知識が崩壊龍に進化した時に得ている。得た知識はそれだけではなく通常、世界の理は神格者以外の存在を認知せず、またメッセージなどを残さないと言う知識も一緒に得ている。


 最上位進化種である俺は勿論認知されない存在…のはずなのだが。


(…そう言えばあったな、祝福が)


 割と存在を忘れていた理の祝福と淵源の祝福…認知されるには充分な称号があった。

 メッセージ前半の『崩壊エネルギーへの対処』と言うのは俺が崩壊操作術や崩壊無効を手に入れた事で世界の理にも利があったのだろうか?


 リアが崩壊の力はバグの様な物と言っていたが…それと関連が?

 …考えてても仕方がないか。神格者でもない、最上位進化種が考えても理解できずに「へー」って反応になるだけな気がする。


 とりあえずリアに言われた通りにこの大陸の中央を目指そうと身体を動かした瞬間、この大陸中にある崩壊の力が一気に俺の元へと収束し始める。


(えっ、何これ⁉︎怖い怖い怖い怖い!)


 膨大な量の崩壊の力が一気に俺の中へと入っていく…それは崩壊無効を手に入れる前までは暴走数百回分は確実にあるであろう崩壊の力が毎秒体内に収束していくのを感じる。


 暴走して俺の身体が破裂しそうでひたすらに怖い………だがそんな怖さをよそに、無限に崩壊の力が俺の中へと入っていく。


 それが丸一日程続き、崩壊の収束が終わった。

 何事もなかった。


(いや…なんで⁉︎怖いんですけど!)


 勝手に崩壊収束のスキルが発動したのもそうだし、明らかに崩壊無効の耐性を得たからと言って納得出来ない程の量の崩壊の力を取り込んだのだ、そりゃ怖くもなる。


 非常に恐れながらも身体を動かしても、崩壊の力は漏れ出ない…

 身体中を罪化させても、反応が無い…

 崩壊の力の放出は…出来る。


 ………本当になんだったんだろうか?体内の崩壊の力は罪の力と同様に非常に静かで、自由に動かせる。

 ただ、崩壊の力の総量はこの大陸の環境を丸々変えるほどの量の全てだが。


 そう、ここの大陸の崩壊の力全てを吸い取ってしまった。

 そのお陰もあってか、辺り一面にはなんの変哲も無い…非常にのどかな草原が広がっている。


 どうやらあの環境変化は崩壊の力が再現した環境なだけであり、下地である大地そのものは無事だったらしい。


 まるで崩壊の力が支配してた天変地異の世界だったとは思えないほどの静まりよう…今まで生き残ってきた生物達も心なしか嬉しそうにしている気がする。

 あっ、俺を見て逃げてった…やはり龍は恐怖の対象か…しょうがないか。


 一度人化して、草原に寝転ぶ。見上げるとそこにはしっかりと太陽が存在しており、暖かい日差しが降り注いでいる。


「…染み渡るなぁ…本当に染み渡る」


 崩壊の力でボロボロになった身体にも、苦痛に耐え続けた心にも…この長閑な癒しが染み渡るのだ。


 寝転び、ボーッとしていると俺の身体の上に兎が乗ってきた。

 その兎はツインホーンラビット。俺の顔をジーッと見て首を傾げた後に俺の胸の部分で身体を縮こまらせて寝てしまった。


(人の姿ならそこまで恐れられないのかねぇ)


 そんな事を考えながらアニマルセラピーで癒され、目を閉じる。


 一旦休もう…常に激痛が襲ってくる日々が終わったのだ、ゆっくり寝るのも良いだろう…


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 ???side


『キュキュッ…!』


 ゼノの身体の上で寝ていたツインホーンラビットはゼノが寝た事を確認し、ゼノから降りる。

 そしてゼノの側で少し輝いたかと思えば、そこには少女が現れる。


 銀髪ショートの青眼であり幼なげな見た目をしていて、表情は常に無表情のそれ。

 ゼノ曰く、稀に見せる口角を少しあげるだけの微笑みがとても素晴らしいのだとか…ほんと、私の夫は嬉しい事を言ってくれる。


「お疲れ様、ゼノ」


 ゆっくりと頭を私の膝の上に乗せ、膝枕をしながら頭を撫でる…本当に、ゼノは頑張ってくれた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【質問のコーナー】

Q.

飽きないんですか?


A.

 不思議と飽きないんですよね…子供の頃から自分の世界を妄想するのが好きだったからでしょうかね?

 私的にはいつこの執筆活動に飽きるのかビクビクしてます(もしかしたら育りゅう書き終わったら燃え尽き症候群発症するかもですね)


 ちなみに作者である冰鴉は非常に飽き性だったりします(やり始めても1週間経たずに辞めることもしばしば)

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