第119話崩壊纏いし氷ノ龍

 身体の至る所に氷が張り巡らされ、翼膜部分には霜が降りる。


 懐かしきフロストバイトドラゴンの頃の様な氷を纏い、纏った氷から発せられる冷気に心地良さを感じていると纏った氷に崩壊の力が纏わりついてくるのを感じる。


 俺は纏わりついてくる崩壊の力を操作し、ほんの少しの崩壊の力を氷へ注入し、氷属性崩壊を起こす。


 崩壊の力と属性は非常に密接なのだ…鉄が酸素に触れれば鉄と酸素が結びついて酸化する様に、崩壊の力も属性と非常に強く結びつく。


 この場で起きる環境変化は極限まで属性と結びついた崩壊の力が活性化する事で起きている…先程の海中だって水属性と結びついた崩壊の力が活性化したのだろう。


 そう、環境を作り変えるほどに属性と密接な関係を持つ崩壊の力。だからこそ属性とは違う罪の力や美徳の力、霊力と相容れないのだ。

 なぜ俺の体内でそれぞれが喧嘩してないのかは非常に謎だが。


 さて、俺が起こした氷属性崩壊…これは属性と崩壊の力を適量混ぜることによって起こる反応。氷が秘めるエネルギーの増幅と言う結構単純な物。


 もっとわかりやすく言うならば硬質化して温度も下がり、発生する冷気の量が多くなると言う物。

 崩壊反応はありていに言うならばその属性その物の性質を強化するだけだ。


 炎ならば燃焼速度が上がり、温度もより高くなって消えにくくなるとかの様に単純な分かりやすい強化だ。


(あぁ、冷気が心地良い)


 冷気に包まれ、非常に心が落ち着く…この大陸で落ち着けるとは思っていなかったのに…環境が自分に適していれば非常に安心できるのがわかる。


 だが、そんな時間もすぐに終わる…辺りに満ちる崩壊の力が活性化し、氷が粉々になって冷気は霧散し、新たな環境が出来上がる。


 大木が何本も生え、地面も非常に良い土壌をしている。空は晴れ渡り、木漏れ日が大地を癒すかのように降り注ぐ。

 その光景は…まるで俺が生まれたセレスティア森林の様だった。


『さてと…動きますか』


 俺はとある場所へ向かって歩き出す。

 …操作スキルを入手してからずっと不思議に思ってたのだ、幾ら崩壊の力が満ちていようとも刺激されなければこんな環境変化は起きないはずなのに…それこそ俺が操作しなければ環境変化は起きないはずなのに。


 何故、こんな高頻度で環境変化が起きるのだろうか?


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 …答えは遠目に見えるあの狼が原因だ。


 種族名は【エレメントフェンリル】、全属性魔法を扱い、また近接戦も得意な事で人間からは手に負えない超常の生物とされている魔物だ。


 そのエレメントフェンリルに崩壊の力が纏わりつき、その力を鬱陶しく思ったフェンリルが水属性魔法を解き放つ…すると辺りに漂う水属性と結びついた崩壊の力が活性化し、辺り一体が水辺へと変化する。


 …崩壊の力は属性と非常に密接な関係にある。だからこそ『全属性魔法』だなんて物を扱えるエレメントフェンリルは崩壊の力を自然に纏ってしまうのだ。そして崩壊の力なんて扱えないエレメントフェンリルは崩壊の力を自分から離そうと属性魔法を使う事により崩壊の力が活性化して連鎖し、周囲の環境が変化するのだ。


 となると何故俺や他の生物が属性魔法を使っても環境変化が起きないのか?と言うことになるのが………それは全く分からん。


 崩壊の力を操れるようになったとて、全てを理解したわけじゃない。ただただ環境変化の原因が存在しており、環境変化のキーになってたのがエレメントフェンリルの属性魔法だと分かっただけなのだから。


『流石にこの環境変化も鬱陶しく感じてきたからな…申し訳ないが倒させてもらうぞ』


 あのフェンリルも崩壊の力の被害者かもしれない…だが、崩壊の力に影響を与えてこの環境変化を起こしているのは紛れもなくあのフェンリルなのだ。


 ゆっくりとフェンリルに近付いていると、俺に気付いたのかフェンリルは即座に警戒体制になる。

 そしてじっくり俺を見つめた後に…逃げた。


『逃すわけないけどな!』


 傲慢の権能にてフェンリルに上空へ移動、そのまま崩壊化させたい氷でフェンリルを俺諸共囲む。

 この崩壊の力が満ちた場所では罪の力や美徳、霊力が扱いづらいのだ…おそらく反発するからだろうか?


 囲まれたと判断したフェンリルは風属性魔法を発動させ、上空へと逃げようとするが空は龍の得意分野だ…空を飛び追いかける。


 だがフェンリルが扱う風属性魔法によって環境が変化し、暴風が吹き荒れる…なんともめんどくさい。

 だが、俺はもうたかが暴風如きで飛翔を阻害される龍では無いのだ。フェンリルに追いついた俺はそのまま胴体に噛みつき、崩壊ブレスを地面に向けて放つ。


 並の生物ならば確実に胴体が吹き飛ぶ攻撃…山すらもくり抜く様な攻撃なのだが、フェンリルはボロボロになれども生きている。


 …やはり崩壊の力に影響を与えれるのだから、多少は耐性がありそうだ。


 逃げる事を諦めて、しっかりと殺意を向けてくるフェンリルの前に降り立つ。

 エレメントフェンリル…討伐させてもらうか。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【今回の質問のコーナー】

Q.

先生に質問です!

一話書き上げるのに時間どれくらいかかるのでしょうか?


A.

すごく調子が良くて、スラスラと物語を綴れる時は1〜3時間ぐらい。

物語の進行が若干詰まった場合は1日1〜3時間を二回ほど(2日間)。


最近は大体1〜3時間ぐらいで安定してますね…本当に調子いい時は数時間で3話ほど書きます。

比較する人が居ないので早いか分かんない…

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