第105話機械人形パーティ戦

 俺が武器破壊をして、剣士の人形に追撃しようとした所でアサシンの人形がナイフで攻撃を仕掛けて来た。そしてその隙に剣士の人形は一旦下がっていった。


 とりあえずアサシンの攻撃をそのまま避け、胸部あたりに思いっきり掌底を叩き込む。込めた壊滅術・散によって大きく吹っ飛ぶが、吹っ飛びながらも的確にこちらにナイフを投擲してくる。


「まぁ、そんな事しても意味は無いけどな」


 今、この場は熱域支配で空間支配をしているのだ。て事でアサシンの人形の吹っ飛んだその先の場所に傲慢の権能で移動し、踵落としで地面に叩きつけてそのまま踏み付けて抑える。


「まずは一体———っ!」


 トドメを刺そうと手のひらに壊滅術・集付与の氷属性魔法を展開しようとしたところで弓と魔法の弾幕が飛んでくるので即退避。そして退避したことで拘束から逃げれたアサシン人形は姿を消して他の人形達の後ろへと退避する。


 そうして最初に会った時と同じような状況へとなる。違うのは剣士人形の持ってる剣が大破しており、タンクの盾にヒビが………そこで気付いた。


「自動修復付きかぁ…こりゃまた面倒な性能を持ってる事で」


 タンクの持っていた盾のヒビがほぼほぼ修復されていたのだ。よくよく見れば剣士の持ってる大破した剣も持ち手側から若干刃が生えてきてる。とはいえ即座に直せるほど修復速度が早いわけではないらしい。


「武器破壊は一時的な弱体化になるしやらないよりはマシか…?でも盾がなぁ」


 割と数秒の出来事のうちに盾は修復されたのだ。勿論ヒビだけしか入ってなかったと言うのもあるが、あの盾の修復速度は剣に比べても段違いで早く思える…壊すなら一撃で壊す事になる。


「後方退避は良いと思うけど、関係無いぞ?」


 傲慢の権能による移動でアサシン人形の背後に飛び、壊滅術・散を付与した拳で殴りつけて吹き飛ばし、魔法職人形にぶつける。そして二体まとめて貫こうとしたところでタンクが割り込んできて失敗に終わる。


「…連携されるってめんどくさいな」


 この世界に生まれてこのかた、戦う時は1人だったが故に機械人形の連携が羨ましく思える。自分も一緒に戦ってくれる存在が欲しい…と思ったけど龍って基本は単独行動だし、味方と行動するとしてもそれは番と行動するくらいだ。そしてその番はもう居るのだ…流石にリアに一緒に戦って欲しいとは言えない。こんな機械人形、適当に蹴るだけで破壊しそうだもの。


「それに、味方になりえそうな人族でも流石に付いてこれないだろうしな…龍と人じゃ能力が違い過ぎるし」


 そんな独り言を言っている内に体制を立て直した機械人形達が再度攻撃を仕掛けてくる。と言っても遠距離攻撃だけでしかしてこない。タンクがいつでも入り込めるように陣形を組み、魔法職人形と弓士人形が攻撃をしている。


 剣士人形は剣をしまって格闘の構えをしており、アサシン人形は今まで与えたダメージの回復に務めてるらしい。…人形自体にも自動修復が施されているらしい。


 迫り来る魔法と矢を罪氷の壁で防ぎ、そのまま霊体化する。魔法や矢の弾幕が収まる前に罪氷の壁で剣士人形と他の機械人形4体を分断させる。無理に5体一緒に戦わなくて良いのだ。まず最初は剣を破壊して弱体化した剣士だ。


 即座に格闘戦を仕掛けてくる機械人形の攻撃を避け、蹴りを放ってきた足の太腿部分を掴み、剣と同じ容量で破壊する。その勢いのままにもう片方の足も破壊し、腕もバンザイの状態にして罪氷と俺の外殻の混ざった素材で拘束する。どうやら人形であってもこの体制だと力が入りずらいのは同じらしい。


 そうして無力化したところでトドメとして壊滅術・集を付与した氷属性魔法で核と思われる部分を貫く。エネルギー源が爆発するかと身構えたが、凍った事で爆発せずに済んだのでそのエネルギー源を抜き取って収納、これで一体目終了だ。


「次は…やっぱお前だな」


 いまだに自身の修復をしてるアサシン人形の側に傲慢の権能で移動し、吹き飛ばしたところでタンクがこちらに来るのが見えたので吹き飛ばしたアサシン人形の側に移動してそのまま罪氷の壁で隔離。そして先程と同じように踵落としからの抑えつけをして、剣士人形と同じ様に壊滅術・集を付与した氷属性魔法で核を貫いて、凍りついたエネルギー源を回収する。これをするのにかかった秒数は10秒以内だったりする。


 その後も魔法職人形も弓士人形も同じように隔離してエネルギー源を抜き取った。そして残るはタンク…


「…こいつだけ鉄壁なんだよなぁ」


 タンク本体と言うより、盾がエグい。かなりデカい、それもあと一発で壊れる様なヒビが入ったとしても猛速度で修復されていく。しかもこの盾、壊滅術・集を付与した技でも防ぎ切るのだ。明らかに他の奴らの持ってた武器と性能が違う。


「タンクがパーティの生命線ってのは分かるけども」


 まぁでも対処法は既に決まっている。罪氷で上下左右、前後ろ全ての方角を囲み、逃げれないようにしたところでその内部に霊化罪氷炎を展開する。そう、防御がめんどくさいなら防御無視の技でじわじわと削っていけば良いのだ。


 霊化攻撃と言うのは直接体力ステータスに攻撃する技だから、ステータスが無くてエネルギーと素材だけで動いている機械人形に効かないかもと思っていたが無事に聞いているらしい。機械人形がゆっくりと凍っていっている。おそらくただの霊力攻撃だけじゃ攻撃にならないとは思うが。


 罪氷内の機械人形の状態を冷域支配による空間支配で確認しながらボーッとしながら待っていると、ようやく核が凍りついたのを確認した。エネルギー源は相当な熱量を持ってたらしく、滅茶苦茶時間が掛かった…魔力もすごい喰われたし。


 罪氷を解除して5体のうち最後の機械人形のエネルギー源を抜き取り、収納する。一応このエネルギー源…回収したけど使い道がない。と言うか使い方が分からない。爆弾として投下するしか思いつかないけどそんな事に使うのは滅茶苦茶勿体無い気がする。


「まぁ使い方は追々考えるとして…次はこの先かぁ」


 機械人形達が門番をしていたと思われる扉。高さは大体5メートル程の巨人が使う様な物…そして滅茶苦茶頑丈に作られている。


 その扉を前に、俺は拳握ってそれに壊滅術・散を付与して憤怒の権能で火力にバフをかけて、攻防変換で防御力全てを攻撃力に変換する。


【全力を出してこの扉を開いて見せよ】

 そんな扉に刻まれた事を実行する為に。



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