第104話うっわ見た事ある奴が置いてあるんだけど…

 奥に進んで行くごとにどんどん地面は溶岩に飲まれていき、今現在俺の居る所には地面がなくなっている…溶岩だけしか無い。


 俺は空を飛べるから良いが、空を飛べない存在はどう此処を進むのだろうか…まさか溶岩遊泳?

 溶岩遊泳は是非とも勘弁願いたい所だ…ちょっと前に興味本位で片前足を溶岩に突っ込んだのだが、チリチリと痛みが走ってダメージを負ったのだ。


 とはいえ自己超速回復で補える程度のダメージなのだが、定期的に蝕むようなダメージをくらい続けるとそれはほんとストレスだと思う。思わず勢いのままに火山内部を氷漬けにしようかと思うほどにストレスが溜まるかもしれない。


 つまりはこの溶岩は火属性だけではなく、地属性ダメージも発生する事が確定したのだ。そんな物の中に生息している魔物達の正気を疑う…明らかに生き続けれない場所だと思うのだが。


 とまぁ、そんな性質の溶岩の上を俺は飛んで移動してる訳だが、何気に襲ってくる魔物は少ない。割と深めの所まで来たからなのか、トビウオみたいな魔物含めた小さめの魔物は居ない。その代わりに…


『ドバアァァァン』


 そんな豪快な音と共に現れるは非常にデカい蛇、おそらく大きさだけなら俺と同じくらいはある程の奴が溶岩を纏いながらデッカい口を開けて俺を喰おうと溶岩の中から顔を出して襲ってくる。


 そう、小さい魔物は居ない代わりにデカい魔物が出て来るようになった。それも全体的なステータスは何気に高めで壊滅術込みの技1、2発程度じゃ沈まない程だ。まぁ、壊滅術・集は例外で一発で沈んだが…一点集中の火力がエグいほど高い事が分かった。


 とりあえず襲いかかってきた蛇の攻撃を避けて、蛇が溶岩に潜る前に蛇の下側から壊滅術・散を付けた氷属性魔法を放つ。すると壊滅術・散特有の大きい打撃音と共に上空に打ち上がるので、打ち上がった蛇に向かって壊滅術・集を付けたブレスで蛇を両断する。


 そのまま落ちてくる蛇を創作技術スキルで収納…これが此処での戦い方だ。ちなみにここら辺の魔物達だともはや炎ブレスは効かない。鑑定でみると火属性と地属性無効を持ってた…老地龍と同じ属性無効+もう一つの属性無効を持ってる事には何も言うまい。あやつはしっかり強かったから、うん。


 そんな感じの魔物たちが他にもおり、例えばゴーレム。

 突如として溶岩の一部が膨れ上がったな〜と思うとそこからドロッドロに溶けた腕を伸ばし、まさしく溶岩の手で俺を掴もうとしてきた。

 鑑定で見えた名前は【溶炎ゴーレム】、こやつも例に漏れず火・地属性無効を持ってた。ここに老地龍が居よう物なら即食物にされそう…


 他にも溶岩がかろうじて魚の形をとっていることしか分からない【溶解魚】や、遠距離から溶岩を放ってくるここら辺では珍しい人型の【マグマウィッチ】、唯一火・地属性無効を持っていなくて壁に擬態してたりするカメレオンみたいな奴も居る。


 そいつら全員が例外なく攻撃を仕掛けてくる…しかも怠惰の権能の隠蔽を切った状態で、だ。そんな魔物たちを捌きながら進んでいると、自然たっぷりな溶岩地帯に似合わない人工物の様な物が見えてくるのであった。


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「うわぁ…」


 龍型では通れない幅だったために人型となって明らか人工物の先を進み、4、5メートルはある扉があったからその扉の先に行くと…いつぞやに見た機械人形が並んでた。しかも以前見たやつと色々違う気がする。


「雰囲気からしてあの廃都市と関係あるとは思ってたけど…まさかのあの機械人形があるとは思わないじゃん」


 …大丈夫だろうか、あそこで機械人形を破壊して大事に保管してあったっぽい魔道具を回収しちゃったのだが。


 そんな事を考えてる内に機械人形達がこちらを認識して戦闘準備に入った。数は5体、装備がそれぞれ違ってタンク・剣士・アサシン・魔法職・弓士の編成に見える…えっ、コイツらと戦うの?


「いやまぁ、戦うしかないよなぁ」


 明らかに門番的な雰囲気が出てるし、相手は戦う気満々である。そしてだけど以前やったあの大爆発は使えない…複数体居る中で機械人形内部を弄れる隙が無さそうなのだ。


 壊滅術と氷炎魔技の発動用意をし、機械人形達に近付くとタンクと剣士が前に出てくる。いつの間にかアサシンの姿が見えないけど、アサシンらしく奇襲するつもりなのだろう。…とはいえ姿が見えないだけであって熱域支配によって場所は丸分かりなのだが。


 とりあえず絶対めんどくさくなるであろうタンクに急接近してその機械人形の持っている盾を思いっきり蹴り付ける。付与する壊滅術は散、強烈な打撃音と共に機械人形が数十歩分ほどの距離をノックバックする…攻撃した大盾には少しヒビが入ってるため、あと数回殴れば盾は破壊出来るだろう。

 そして攻撃後の隙を突くかの様に剣士が攻撃してくる。


「武器で攻撃してきて良いのか?武器破壊はこっちの本領だぞ?」


 振り下ろしてきた剣を手で掴み、手のひらに壊滅術・散を付与…そして創作技術によって武器を脆くさせてから握りしめて破壊する。今まで壊滅術・散を使って敵を打ち上げたり吹き飛ばしたりしていたが、強力な衝撃と火力による装備/装甲破壊が本来の使い方なのだ。


「思った以上に硬いな…壊滅術だけで壊せると思ってたのに」


 これでも結構なステータスになってるし、壊滅術は強力なバフだからそれだけで破壊できると思ったのだが、思った以上に硬かった…創作技術で干渉しないと破壊出来ないほどに。


 とは言え、破壊できないほどじゃない。攻防変換で防御力を半分ほど攻撃力に変換して機械人形たちを見据える。


 ………徹底的に破壊し尽くそうじゃないか。

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