第103話モンスターハウスもビックリな襲われ方

(…なんなのコイツら、多過ぎやしないか)


 最初の頃は良かったさ…数匹程度が襲ってくるだけであって簡単に終わらせれたから。

 だけどさ…なんで千以上は確実に居る量で襲われてんの⁉︎


 ふぅ、まずは状況整理だ…今俺は大量の魔物に包囲されている。前も後ろも左右も、上も下も全て魔物に包囲されている…全方位をしっかりと固められてるのだが…これの凄いところが別種族が入り乱れた混沌編成で俺を囲んでいるのだ。


 そんな編成だからか、割と色んなところで争いが起きてる。故に結構余裕はあったりする。

 ちなみにこの数に包囲されてるけどそこまで危機感は感じてない。それもそのはず、怠惰の権能の隠蔽や霊体化で即離脱出来るし、壊滅術・波を付与した氷属性の技を適当に放てば簡単に総滅出来るのだ。


 氷ブレスに壊滅術・波を付与して吐いたら綺麗に扇状に魔物が凍ったのだ。なお炎ブレスだと全然効かなかった…多少外皮が焦げたんじゃないか程度だ。だからこそ基本魔物を処理する時は武器等の物理や、氷属性魔法となる。


 無数に突っ込んでくる魔物達に氷結晶を突き刺し、氷結晶が刺さった魔物が吹っ飛んだところで氷結晶を破裂させる…少しでも処理速度をあげるためにもこう言う技を使っていく。


 さっさと壊滅術・波を使って終わらせれば良いと言う意見は受け付けない…最近まともに動いてなかった気がするからしっかりと身体を動かしておきたいのだ。


 壊滅術・散を脚に付与し、思いっきり地面を踏みつける。『ドゴォン』と言うか音と共に地面が弾け飛び、近くにいた魔物を吹き飛ばす。飛んでいった魔物は重鱗射撃でトドメを刺し、罪鱗(爆鱗)を爆破させる。


 なお爆破は火属性にあたるからあんまり効果は無し。


 次に空からブレスを放ってくるファイアワイバーンの真上に移動し、叩き落とす…この時に地上の魔物も巻き込めるとなお良しだ。

 上空に滞在していると溶岩の中からトビウオっぽい感じの魔物がまっすぐ飛んできたので太刀で一刀両断、ちょっとお遊び心で三枚おろしにしておいた。


 とは言え小さめの魚が1匹だけで襲いかかってくるわけではなく、先程の1匹に続く様に無数の魚がミサイルの様に飛んでくる。…なんか、溶岩の中から銃を撃ってるみたいに飛んできている。


 ちょっと数が多くてめんどいので飛んでくる魚の魔物に向かって氷魔技による雪崩のような物を起こさせる。魚諸共地上に居る奴も凍っていくけどお構いなし、火山の内部で雪崩を見ると言う異常な光景が出来上がる。


(んー、もう少し身体を動かしておきたいな)


 やっぱり地球…前世日本の生活を体感60年ぐらいしたせいで色々と鈍っている気がする。しっかりと今後の戦闘にもついていけるように改めて鍛錬と称して殲滅するのだった。


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 上空から魔物達が散っていく姿を見届ける。

 今現在、俺は霊体化して上空に佇んでいる。ある程度戦って満足したから霊体化して魔物寄せとなっていた俺を見失わせているのだ。

 それにこれ以上続けると下手したら生態系がガッツリ変わる程に壊れてしまうかもしれない…


(んー、ある程度散ったか…?)


 ある魔物はそのまま別の魔物と争い続けたり、ある魔物は食糧として死骸を確保してそそくさと巣に持ち帰ったり、ある魔物は俺を探し続けたりと…色々と反応が見られたが、大方はこの場から離れていった。


 自身を龍の姿に戻し、怠惰の権能による隠蔽をほぼほぼ解いてから霊体化を解除する。突如現れた龍にいまだに離れてない魔物たちはそそくさと逃げていく。


(さてと、それじゃあ最深部に向かいますかぁ)


 ある程度戦って満足した俺は、当初の目的である最深部に向かって歩き出す。先ほどの戦闘によって俺のレベルはもう930を超えている。もう少し戦えばレベル1000となって進化出来るのだが…あれ以上戦うと本当に生態系を壊してしまうかもしれない。


 まぁ、龍と言う種族は自分の住処含めた周りの環境をその身に宿る力によって変化させ、生態系すらも変化させる種族なのだが、別に俺はここに住みたいわけじゃないので生態系を壊すつもりもない。


(龍の姿だと本当に何も襲って来ないな…一目散に逃げていってるや)


 俺が近づいた途端に即座に魔物達が逃げていく。先程まであれ程じゃれついたと言うのに少し悲しくなってくる…こう言うのを見ると強さが孤独を生むというのが分かってくる。小動物…ましてや割と大きめのワイバーンとかすらも逃げていくのだ。


 …リアも、対等に張り合える存在が欲しかったのかもしれない。どれだけ甘え(じゃれつき攻撃)ても受け入れてくれるような、そんな存在が。…あの日本での生活でリアがかなり甘えてきた理由が分かった気がする。


(やっぱり早く強くならないとな)


 早くリアと対等になりたい…そんな想いを持って熱域支配によってわかってる深層への道を進んでいく。


 進んでいくごとに…火山内部の熱気は上がっていくのだった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき

 はい、冰鴉です。


 ゼノ君の【強き龍になりたい!】と言う願いは実を言うとアナイアレイションドラゴンになった時ぐらいから割と達成されてるので若干燃え尽き症候群になってました。


 だからこそかなりの月日を聖国でのんびりと過ごしてたんですよねぇ。

 そこで新たな目標となったのが【リアの隣に立ちたい】と言う想いなのです。


 男(雄)が女(雌)の為に頑張るって言うのはやっぱり定番ですからねぇ…なお育りゅうを書き始めた当初、メインヒロインはフィリアさんだった模様。(でもやっぱり母親ですし、どうせならゼノはリアちゃんと言う高みまで到達して欲しいでしょ?)


 ちなみに生態系の頂点は【最上位進化種】と言う奴らであり、【神格者】は生態系の枠組みから外れてます。

 そしてその【神格者】の頂点であり、まとめ役でもあるのが【リア・シオン】と言う存在です。

 更に言えば神格者を簡単に滅ぼせる程の力を持った存在でもあります…つまりリアちゃんはこの世界の頂点です…ゼノ君、頑張って!

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