第102話火山に生息する生物達

火山内部を歩いてはいるが、まだまだ上層と言うこともあって溶岩などは見受けられない。今の所は岩石の材質が違うだけの洞窟と言った感じだ。ほかに違う所と言えば生息する魔物の違いくらいだろう。


(これなら火口から飛び込んだ方が良かったか?いやでも火口からどこに行くか分からんし俺が溶岩に耐えれない可能性もあるしな…)


俺の炎耐性はlv97、炎属性無効と言う訳では無いのだ。それに溶岩は字の通りに溶けた岩…炎属性だけでなく地属性ダメージもあるかもしれない。いやまぁ、霊体化すればダメージなんて一切ないけども。


そんなことを思いながら飛び掛かってきた火トカゲみたいなやつを鷲掴みにし、そのまま凍らせる。ここら辺に住んでる魔物は全体的に氷属性…というか低めの温度に弱い奴が多い。爬虫類とか魚類とか変温動物が多いからか…

ちなみに赤龍の場所を通り過ぎて少しした後に怠惰の権能による隠蔽は薄めてある。完全に解いてしまうとあまりにも違い過ぎるステータス差からか魔物達が逃げてしまうから隠蔽を薄めるだけに留めている。多分今の俺は魔物達から見たらそこら辺に居る一般人に見えるのではないだろうか。


ただの人間だと思って襲い掛かったら龍が出てくるのは魔物側からしたらたまったもんじゃないとは思うけども。でも下手に隠蔽無しに動いたり戦ったりするとスタンピードが起こる気がするからこの隠蔽は実を言うと常に使ってたりする。使ってなかったのはあの連合軍と戦った時ぐらいか。


(にしても…本当にただの洞窟って感じだな。変わり映えがしない)


ただただ洞窟を進んでるだけであり、襲ってくる魔物も人が倒せるレベルだ。大体ランクで言うならA〜C、と言った感じだろうか…


正直に言おう…暇なのだ。凄く暇なのだ。変わらない景色に、変わらない敵。どこまで続いてるか分からない洞窟と…とにかく暇でしかない。て事で怠惰の権能による隠蔽を最大にし、魔物にバレないようにした後に周りの気温を急激に上げていく。


一応火山内と言う事もあって多少は温度高めではあったが、より温度を高める…そして発動するは【熱域支配】。


一気に空間内の事が手に取るように分かり、また地形も把握していく。そして把握して分かった事なのだが、どうやらかなりの距離はあるが真下にかなり広めの空間があるらしい。それも俺が龍形態で活動できるレベルの。


(いいね…さっさと下層に行った方が良いよな!)


自身を霊体化させ、真下に向かって直進していく。視界は岩石一色だが、熱域支配による空間把握によって目的地まで直進していき…しばらく直進していたら急に視界が晴れた。


(わーお…火山の内部って感じだなぁ)


俺が出た場所はさながら地底世界と言うのに相応しい場所だった。

所々に溶岩溜まりがあったり、地面から溶岩が噴き出したり…溶岩が川のように流れてる場所もある。


そしてバカ広い空間…まさに地底世界だ。こんな空間だからこそ独特な生態系が築かれているのも分かる。耐熱性が非常に高いからか、溶岩近くにあっても燃えない草木や、それを食べる草食動物。その草食動物を食べる肉食動物と、しっかり食物連鎖が起きてるのだ。


時々溶岩の中から飛び出してくるデカい魚っぽい奴が陸上にいる生物を丸呑みする場面を見かけるが…まぁ、溶岩の中には食べれる物が少ないのだろう…だって溶岩だし。


(これは凄いな…俺が炎龍出身ならここを根城にしたいまであるぞ)


ここの空間の温度は非常に高く、俺が何もしなくても熱域支配が発動する。こんな好条件の場所、巣にしたくて堪らなくなるだろう。

とは言え俺は元は氷龍、凍土を住処にする龍なのだ…今回は楽しむだけにしておこう。


とりあえず地面に降りて、霊体化を解除して怠惰の権能による隠蔽も薄める。ちょっと楽しみなのが、ここら辺の魔物はまぁまぁ強そうなのだ。肉食系は勿論、草食系ですら何気に肉食相手に戦えている。


(あっ、草食が勝った)


遠目で見てた草食魔物VS肉食魔物の決着が付き、草食の方が勝った。そして死骸となった肉食魔物はそのまま溶岩にポイってされた。その死骸に溶岩内に居た魔物たちが一斉に集まって行った…ほら、コイとかに餌あげる奴みたいな感じ。


(…思った以上に過酷っぽいなぁ、ここ)


近場の溶岩溜まりから飛び出してきた魔物を切り伏せ、暗殺者みたいな動きをして襲ってきた陸の魔物を蹴飛ばして溶岩に落とす。

…ここら辺の魔物は壊滅術と攻防変換無しでの攻撃を一発は耐えるらしい、やはり環境が環境故に逞しい奴が多いらしい。


…いいね、楽しそう。


さて、ここで質問だ。こんな過酷な環境…しかも草食動物ですら人間が敵わないほどの実力を持ってる場所で普通の一般人レベルの雰囲気を纏った龍人が居るとする…するとどうなる?



…正解は、滅茶苦茶魔物の餌判定されるのだ。

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