第95話存在する記憶
いつからだっただろうか、龍と言う存在に憧れたのは。
きっかけは些細な物だったはずだ…そうだ、幼少期の頃に買ってもらった車か何かから変形してドラゴンっぽい見た目になる奴だ。
おそらく変形という要素を楽しませる玩具だったのだろうけど、俺にとってはカッコいい竜のおもちゃでしかなかった。
変形要素などほぼほぼ使わず、もっぱら竜に姿でしか遊ばなかったのだ。途中、劣化で手足の関節部分が壊れてさながら辰みたいな見た目になったものの、それでもそのオモチャを使って遊んだのは良い思い出だ。
そこからだ、自分の龍好きが始まったのは。
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幼少期〜小学生の頃、大体外で遊んだり家の中でゲームしたりと遊ぶ事に全力な…将来の事などを特に考えない自由な時期だろう。
その時に俺が魅了されたのは、とある玩具とゲーム。
玩具の方は、これまた変形するもの。普段は球状の物なのだが、磁石にくっ付ける事で一気に展開され、玩具によって異なる姿になると言う物だ。
覚えてるのはサソリや龍になった奴ぐらいだが、そのおもちゃ達を使って存分に1人で楽しんでた。やはり龍と言うのはカッコいいのだ…威風堂々としており、圧倒的な強さを持ってして制圧・支配する。
そんな超常の生物に憧れながらもこんな事をしてたらカッコいいなぁと言う妄想をしていた物だ。
ゲームの方は様々な竜や獣が出てきて、それらを狩猟して手に入れた素材でより上位の存在と相対していく…そんなゲームだ。
王道な龍の姿から、翼脚の生えた割と異形と呼べそうな龍まで。龍かは分からないがデカい蛇っぽいのとか、もはやタコではと思う奴…空飛ぶデカい苔みたいなのもいた…今思えば敵の幅が広すぎると思う。
そんなゲームにどハマりした。学友とよく遊んでたし、兄の友達ともたまに一緒に遊んだりした。
…そんな兄の友達から貰ったクエスト、今思えばしっかりと改造クエだったのは良い思い出。でも小っちゃい頃はそれが改造によって生まれた物とは知らなかった。
そんなよくそこら辺に居そうな小学生活を過ごし、中学生となった。
このぐらいになってくると、流石に玩具を使った1人遊びはなりを潜め、もっぱらゲームばかりをする様になった。
小学生の頃にやっていた竜を狩るゲームだけでなく、バトロワゲーだったりオープンワールドゲーだったり。あの頃の自分は自信を持ってゲーム大好きを名乗れてた気がする。ホラーゲームは受け付けなかったが。
ちょっとゲームが好きな…モブっぽい生活を送りながらも中学を卒業した。恋愛のレの字も無いってのは言わないお約束。
そして高校、実は俺はこの時とんでもない無気力化をしていた。何をしてもめんどくさい…もはや怠惰の権化とばかりの生活を送っていた。
その時に出会ったのがライトノベル…それも普通に書店とかに売ってる物では無く、【web小説】と言う物だ。
買いに行くのもめんどくさく、わざわざ本のページを開くと言う行為すらめんどくさかった自分にとってはスライドするだけで、しかも無料で読めるweb小説は非常に有り難かった。
そしてそこで特段目を惹かれたのは【人外転生物】、その中でも龍に転生するものに強く惹かれた。
そう、そんなweb小説達との出会いによって小学校高学年くらいから落ち着いていた龍好きが再燃したのだ。
途中で高校に滅茶苦茶幼げな美少女は転校してきたとかで話題となったが、そんなのに気にせずにweb小説にのめり込んだ。
転校生の名前はリア…リア、なんだっけ?そんな名前だったはず。なんか外国人の血筋らしい。
まぁそんな事はどうでもよく、再燃した龍好きは幼少期の頃とは比べ物にならないほどだった。いや、好きと言うよりも憧れの方が強い。
自分の実力、優劣…そう言ったことに悩む時期であるからこそ、その強き龍の姿に更に魅了されたのだ。
村を守護する龍
生贄を要求する龍
常に眠る龍
人に興味を持ち、求婚する龍
力のままに暴れ、全てを壊す龍
あらゆる物を欲し、強欲のままに行動する龍
封印されし邪龍
永久を生き、常に退屈している龍
…様々な、本当に様々な龍達を小説で見てきた。そのどれもが唯一無二であり、特色があって…それでいてただのモブである自分には眩しい存在だった。
変わらない自分の世界…それに嘆き、現実逃避をしながらも龍になりたいと求めた。分かっていた、人間は龍にはなれない。そもそも、龍と言う存在はこの世界には居ないのだと…
流石にそれが分からないほどバカでもないし、盲目でもない。それでも、憧れはなくならなかった。そんな想いを抱きながら高校を卒業し、とある道での出来事。
そう、頭上から鉄骨が降ってきたのだ。工事現場でのミスかは分からないが、死が迫って来てることはすぐに分かった。
でも、身体が動かない………そんな死を目の前に思った事は、
【龍ならばこんなので死なないんだろうなぁ】
である。結局俺は龍に魅了され、自分の存在意義を見つけれずに死ぬんだ…そう思い、目を瞑る。
『ガアアァァン』
甲高い、金属が地面に衝突する爆音が鳴り響き、俺は生涯を終え—————
—————なかった。
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はい、冰鴉です。
今回出てきた変形する玩具二種、竜を狩るゲーム、それと高校時代にひたすらに無気力になったこと。
あと時期は違いますけどweb小説に魅了された事…これ、全部実話です。(ついでに作者自身が経験した事でもあります)
いやぁ、思い返してみてもモブ生活をしてますねぇ。あっ、もちろんリアちゃんなんて存在してませんでしたよ?そもそも自分、無気力すぎて転校(通信高)に行きましたから。
ちなみに最近読むのにハマってるweb小説は悪役転生物です👍
…人外転生物で話数多めの読み続けたいものって、少なくないです?
【ちょっとした報告】
現在カクヨムにて開催中の【カドカワBOOKSファンタジー長編コンテスト】、こちらに育りゅうで参加したのですが私的には姫竜(別作品)も参加させたいのでそちらの方に力を入れさせてもらいます。
育りゅうの書き溜めは7月11日分までありますが、そこから先は不定期になるかもです。(息抜きに育りゅうを書くかもなので)
どうやら10万文字以上が良いらしく、まだ出して日の浅い姫竜は下書き合わせても4万文字…ちょっと頑張らないといけない感じです。
基本2000字以上を一話としてるので大体50話まで…期限までに間に合うかなぁ。
あっ、ちなみに育りゅうは下書き含めて約26万文字です。よくここまで書き続けてるね、自分…この作品が初めての執筆故に感慨深いですわ。
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