第93話 連合軍vs罪銀龍

 目の前の人間達は怯えている…そりゃあそうだろう、心の準備が完全でないにも関わらず龍が出てきたのだから。


 だが、容赦をするつもりは当然無い。

 まずは挨拶がてらに壊滅術・波を付与した炎ブレスを吐く。

 とんでもない広範囲に扇状の炎が展開され、範囲内に居た人間は全て例外なく燃えていく。


 所々で魔法で盾を生み出して防ごうとしているが、それらも全て溶かしてそのまま燃やし尽くす。

 ブレスのレベルは龍武芸百般に依存する…つまりはレベル180の火力と壊滅術バフ込みで燃やされてるのだ、レベル10〜50くらいの属性魔法程度では防げるわけがない。


 ある程度焼いた所でブレスを止めると、扇状に綺麗に人が居なくなっている。

 おそらく数千〜万ぐらいの人が燃え尽きたかもしれない。


 司令官らしき奴が「魔法で少しでも削れ!」と言ってるのが聞こえてくる。

 指示を出してる奴らの頭部を重鱗射撃で撃ち抜き、飛んでくる魔法や突撃してくる前衛共を翼で起こした風圧に壊滅術・散を付与し、魔法を掻き消して前衛を吹き飛ばす。


 相当遠くに飛んで行ったから、打ち所がよくない限りは落下死しそうな感じだ。

 そんな事を軽く思ったものの、別にどうでも良いことなのでさっさと次の行動をする。


 ふと、再現したくなったのだ。

 あの老地龍が放った大咆哮を…おそらく、今の俺ならばできると思う。


 まずは邪魔が入らないように周りを罪炎で囲み、更には錬成で機銃を生み出す。撃ち出すのは鱗、熱域である以上氷系を使えないのは少し痛い…いや、寛容ノ権能を使えば行けるのかもしれないが、鱗で充分事足りるから今回は鱗にしている。


 そして防御力を500ほど残して残りを全て攻撃力に変換し、壊滅術・波を付与し、傲慢の権能による圧力も付与した咆哮をする。


『────────っ!』


 とんでもない爆音になるのは分かっているので聴覚は切っている。そもそも防御力500で耐えれる物でもないと思っている。

 全力で咆哮をしているため、その場から動けないが熱域支配によってどうなっているかは分かる。


 まず俺の周りに展開していた罪炎は咆哮とどうじに吹き飛び、地面にはひびが入っている。ここはまぁ、老地龍も出来ていたため驚きはない…


 そして最重要の連合軍の状態なのだが…比較的俺に近い奴ら、こ奴らは気を失っている。ところどころ死んでいることからこの技の威力がよく分かる。


 ただの空気の振動で死に至らせるとはこれいかに…


 さて、比較的俺に近い奴らでこの現状である。少し離れた…いわゆる中層部分の奴らはどうなっているかと言うと、耳から血を流して上手くバランスが取れなくなっている。


 そう、鼓膜どころか平衡感覚をとる器官が損傷しているのだ。まぁバランスが取れていないのは地面も振動してるからかもしれないが。だが鼓膜が破れてしまった以上はすぐには再起できないだろう…ほぼほぼ無力化したも同然である。


 そして後方の奴らはもれなく大音量と揺れに抵抗するために姿勢を低くして耳を塞いでいる。


 この方向だけで連合軍全員が動けないでいるのだ。だが言いたい事がある…老地龍の大咆哮よりも控えめだなぁと。


 老地龍のはもっと地面に亀裂が入っていたし、空気や地面の振動も酷かった。そう思うとあの老地龍ってヤバかったんだなと再認識してしまう物だ…上位種となった自分のスキルで全力で咆哮しても届かないとは思わなかった。


 そして数分にも及ぶ大咆哮を終えて、連合軍を睥睨する。

 気絶、行動不能、恐慌状態…あまりにも壊滅的な現状となっている。


 死屍累々と化した連合軍の前衛を踏みながら本丸と思われる部分へと歩いて行く。

 生きている者は青ざめ、動けない者はそのまま踏み潰される。


 そして後方部分にあった連合軍司令部と思われる場所に来て、そのテントを見据える。

 おそらく、ここを破壊すれば軍は完全に統率を失うだろう…騎士は野盗となり、治安が悪化しそうだと思う。


 だけど、これは俺…と言うか俺とリアが原因となった戦争だ、しっかり終わらせないといけないだろう。


 1番得意な属性である氷のブレスを溜め、その氷を罪化させ、壊滅術・散を付与する。そして司令部に向けてそのブレスを放出する————事が出来なかった。


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 連合軍司令side


 先ほどまでまるで灼熱地獄の様な気温が一気に下がっていき、今では極寒地帯にいる様な状態になっている。


 原因は目の前にいる化け物…巷では罪銀龍と呼ばれている存在だ。

 突如として気温が上がったと思えば目の前の化け物が現れ、そしてほんの数回の攻撃で我が軍は再起不能となった。


 そんな絶大な力を持った龍は今………暴れている。


 目の前にいた人を喰らい、急に炎を放出した思ったら何故か凍る。

 その龍の圧倒的な力をひたすらに振るい、大暴れしているのだ。そんな存在を前にして思う…コイツには手を出すべきではなかった…と。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

はい、冰鴉です。


是非是非この作品が面白い!って感じた方は⭐︎や♡をよろしくお願いしますっ!


…いやぁ、これ一度は書いてみたかったんですよねぇ。定型分にすれば良いんでしょうけど毎回するのめんどくさくて結局書いてねぇですが。

あっ、今後も書く気ねぇです。


あと色々進化案をコメントで貰ったんですが…呪いとか邪龍、疫病て…皆さん邪堕系がお好きなのね?(そういえばこの作品で呪いとか疫病の概念出してねぇや…)

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