第92話 めんどくさそうな戦争準備

 そんな感じで特にやる事がなく、日常を過ごしていたのだが、実は最近きな臭い…と言うかめんどくさそうな噂がこちらの耳に届いてきた。


 曰く、帝国の生き残りが何かしている…だの、帝国との繋がりが強かった国がほぼ全て何らかの準備をしている…だとかだ。


 うん、非常にめんどくさそうな感じがする。ちなみにこれにはこの国もトップであるセナさんも気付いており、もし俺に向かって軍を放ってくるようであれば「立派な領土侵犯ですので反撃いたします♪」とニッコニコで言っていた。


 何が起きてるのかは大体想像が付く。おそらく帝国の生き残り…俺への敵意を持っていなかった帝国民が俺が帝国を消したと勘違いしたあげく、俺への復讐心とかを燃やして俺を討伐させようと帝国庇護下の国を焚き付けたとかだろう。


 そして帝国と言う後ろ盾が無くなった国達は国を存続させる為にも急いで国力を付けたりするためにも行動してるのだろう…俺の素材が欲しかったり、俺を倒したと言う実績が欲しかったり。

 …もしかしたらついでに聖国を支配下に…とかも考えてるかもしれない。


 表では帝国の復讐を謳っておきながら他の国が俺の討伐を起こした後に漁夫の利でもしようと言う思惑を感じざる終えない…何せ準備だけしておいて全然行動を起こしていないのだ。


 こう言う時に協力せずに漁夫の利を狙おうとしてるところにやはり人間の欲深さと言うのを感じる…と言いたいところだが、あくまでこれは俺の想像の話だ。もしかしたら国がしっかり繋がっていて、いつ攻めるか見極めてる説もある。


 と言うかさっさと攻めてきて欲しいのだが?面倒ごとはさっさと片付けて人生を楽しむに限るのだ。…失礼、龍生だった。


 そんな噂話があるから正直滅ぼすか、引っ越すかを考えたのだが普通に今の住処は気に入っているのだ。人の街に程よく近く、外敵も居ない…オークや牛の魔物などの生肉も多く、何気に野草も美味い。


 此処から立ち去れって言われるくらいなら敵対を選ぼうか迷う程に気に入っているのだ…国単位で敵対されても敵を消し飛ばす所存である。




 …と、思っていた。


 今、俺の目の前には鎧の波が出来ている。

 そう、元帝国庇護下の国達の連合軍が押し寄せてきたが故にちょっくら出迎えてやろうかなぁとか思ったら思った以上に多くて放心したのだ。


 とんでもない大軍…ではあるのだが、これでもまだ様子見している国があると言うのが驚きだ…本当に一致団結して俺を討伐しようとするならこれ以上に多かったかもしれない。


 多分だが、おそらく総数はアンデッドの集団よりも少ない。だが統率が多少とれており、尚且つ規則正しく綺麗に並んでいるために見栄えが良いしあと人口密度が高そう。


 しっかしこれほどの人がよく集まった物だ…帝国は亡くなったとしても大国だったのだとよく分かる。もし王国と俺で全面戦争した場合はもっと数が多くなるのだろうか…まぁ気になるだけであって仕掛ける気は一切無いが。無双しても爽快感しかないと思うし。


 さて、今更だが現状を説明しよう。

 今の俺は(表面上は)罪銀龍討伐を目的とした連合軍の上空にて怠惰の権能で姿を隠しながら連合軍を見下ろしている。

 ちなみに連合軍が展開されてる場所は元帝国領。まっさらな平原になってるためにキャンプの設営も陣形の確認もしやすいのだろう。


 そして何故俺が此処に居るのかと言う話なのだが…まぁ、普通に迷惑をかけた後始末である。

 俺がこの大軍を呼び寄せたにも関わらず、全て聖国に押し付けるのは普通にヤバい奴だと思うのだ。


 それに知らん振りを出来る程俺は腐っちゃ居ない。罪悪感に蝕まれるし、あれほど敬ってくれるセナさんにも流石に申し訳ない…

 チョロいとか思うなら存分に思ってくれ。会うたびに好意をぶつけられちゃあ少しでも絆される物だと思うのだ。


 て事で撃退か壊滅させるかと意気込んで来たのは良いものの…撃ち漏らしとか普通に出そうなのだ。

 別働隊が居ても不思議でないし、もしこの本隊と戦って別働隊がこちらに来てくれれば楽なのだが、聖国の被害を出すとしたら非常にめんどくさい。


 そこはセナさん達、聖国軍に頑張ってもらうしかないか…

 だが、明らかにこの本軍は聖国に到着させてはいけない。普通に数の暴力で聖国が蹂躙出来そうである。


 こやつらの相手は俺一体でって事になるのだが…壊滅術と氷炎魔技、それと混沌ノ権能さえあれば充分蹂躙出来るだろう。


 そんな事を考えてるうちに休憩が終わった連合軍が進軍を開始し始める。

 …まぁ、進軍する意味など無いが。


 連合軍が居る範囲を余裕で覆う程の空間の気温を氷炎魔技でガンガン上昇させていく。

 さながら熱帯、鎧なんて物を来てる軍にとってはキッツイ環境だろう。ある程度上がったところで軍の所々から氷属性や水属性の魔法が展開されるが、そんなのを無視してどんどん気温を上げていく。


 そして条件の気温に達した時、熱域支配を発動させると共に俺は怠惰の権能を解いて軍の目の前に姿を表す。


『ゴアアアァァァァァァァァァアアア!!!!!』


 ………戦争の狼煙が上がるのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

作者の小言

はい、冰鴉です。


実は今現在106話目を書いてるんですけど…展開的に進化が近いのに全く進化先を考えてないんですよね…

…むずくない?どんな進化先を考えれば良いんよって感じです。少なくとも三枠ほど欲しい…一枠は正統進化先で良いんだけど残り二枠かぁ…


あっ、あとこの先ちょっとに間だけ龍っぽさが消えますのでご了承を(そもそも龍っぽさって何って作者自身がなってます…作品によって出てくる龍の姿変わりまくりますし)


…人種族のキャラをしっかり際立たせるのって難しい。定命の種族はどうしても…ね。しかも人類の過ごす場所じゃないと描写できねぇですし。

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