第90話 寝床はここっ!それとご近所さんのご挨拶
観光も充分に楽しみ、あとは寝床を確保するだけ…なのだが。
(うーん、寝るならこのちょっと開けた場所か?Sランク魔物が陣取っているならそれが龍に変わったとしてもそんなに問題無いだろうし)
やはり人類が過ごす場所なだけあって良い感じに住めそうな場所が無い。強いて言うならこのクリム聖国の聖都近くにある妙に開けた侵入禁止とされている場所である。
この侵入禁止の場所にはどうやらクマ型のSランク魔物が生息してるらしく、触らぬ神に祟り無しと言う事で一切の不干渉を決めてるらしい。
…何故そんな熊が住んでる近くに王都があるのだろうか。
(まっ、目ぼしい場所は無いしここで良いか。んじゃさっさと討伐しときますか)
街から出てから、自前の翼で飛びながら目的地へと向かっていく。一応そのSランク魔物のクマは別に崇める対象とかではなく、ただただ危ないから干渉してないだけらしい。Aランク冒険者の集まった討伐隊が壊滅した事でこうなったらしい。
と言う事で別に倒してしまっても問題無いわけだ。そんな感じで目的地である開けた場所へときた…そしてその中央にはクマが佇んでいる。さながらボスの様な風格である。
見た目はひたすらにデカくて凶悪なクマ。焦茶の毛皮に、所々に迸る様な赤黒い線が入っている。
確か人間界の資料では死を呼ぶ魔物とか言われてた気がするが、それはあくまで人間界での話。
クマの背後に降り立ち、クマが振り向いてこちらを認識する前に壊滅術・散を発動させてクマを思いっきり蹴り上げる。
【散】特有の強力な衝撃によって上空に打ち上げられたクマがようやくこちらを認識するが、時既に遅し。
今度は壊滅術・集を付与した重鱗射撃をさながらマシンガンの如く発射して蜂の巣にする。
途中でクマが抵抗がてらに風属性の刃などを放ってきていたがそれらは全て重鱗によって打ち消されたため、こちらには届いていない。
そして満身創痍となったクマが落ちてくる中、俺は重鱗射撃を止めて腕輪型の銃をスナイパーライフルへと変形させ、クマの脳天を撃ち抜く。
「…ナイスヘッドショット」
権能の補正などがあるかつ、空中で身動きの取れないクマ相手だからヘッドショットはもはや確実なのだが、やはりこう言う言葉は言いたくなる物だ。
ちなみにちょっと壊滅術の試運転の為に攻撃力を変換して下げていた。そのままのステータスだったらおそらく壊滅術・集を付けたパンチを顔面に喰らわせればそれだけで倒せてたはず。
そんな事は置いといて、落ちてきたクマの死体をスキルで収納し、当たりを見渡す。
敷地面積充分、視界良好、人影特に無し…うむ、結構良い立地である。此処なら寝床にしても良さそうな物だ。
て事で創作技術で辺り一面を作り替え、さながら破壊の限りを尽くされた街みたいな見た目に豹変させ、それらを全て罪氷で覆う…そして周辺の気温をガッツリ下げて住処を作る。
これで良し、コンセプトは破壊されて氷に閉ざされた街である。と言うか本能に任せて作ったらこうなった…おそらく壊滅と冷のイメージを前面に出したのだろう。
(さてと、明日は何処を観光しようかな〜)
そんな事を考えながら龍の姿となり、巣の中央で睡眠をとる…やはり最近だと人型よりも龍型の方がしっくり来るようになってきた気もする。
----------------------
………今、俺の目の前には料理やら金品なのが並べられており、その中央に居る一人の女性と対面している。
何故こうなったのか説明させてもらおう。
あの巣作りから数週間ほど、何度か聖都へと足を運んだりしながら観光を楽しんでいたのだが、気分で龍に姿のままちょっと動きたくなった為に少し巣の近くをほっつき歩いていたのだが…どうやら侵入禁止区域から出ていたらしく、それが聖都の人達に見られて大騒ぎになったのだ。
流石にこれには俺も反省して、出来るだけ侵入禁止区域から出ないようにそのまま過ごしていたのだが…
…討伐隊とか向けられるわけでもなく、何故か貢ぎ物を持ってこられたのだ。
いや、何故?って言いたいとは思ったのだが十中八九この目の前で今俺が対面してる女性が原因なのは分かりきっている。
そう、その女性が…
「お待ちしておりました罪銀龍様っ!あの時は快い返事がもらえず悲しんでおりましたがまさか我が国の、それも聖都の近隣に引っ越して貰えるとは!我々、クリム聖国は罪銀龍様を強く歓迎いたします!忘れられてるかもしれませんのでもう一度自己紹介を…私はクリム聖国、裏の名である大罪教国の法皇であり聖女のセナ・シンシアです!どうぞこれかもご近所として…末長くよろしくお願いします!」
…いつぞやの勧誘を滅茶苦茶してきたクリム聖国のトップである。
と言うかクリム聖国って大罪教の総本山だったのね…いや大罪教国なんて聞いた事なかったよ、うん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます