第88話道中と集中錬成武器…それと再会
『タアァン…』
軽い発砲音が鳴ると、放たれた弾丸がウルフ型の魔物の脳を貫き、そのまま胴体も貫通して脚の付け根部分から弾が飛び出し、そのまま地面を貫通していく。
実は移動中に元々作っておいた集中錬成武器を組み直したのだ。
進化した事で性能が上がった俺自身の素材を足し、一部武器には壊滅術も付与している。
そして今使ったのは砂漠の地下で使った腕輪型に出来る銃だ。壊滅術の集と散を新たに付与しており、銃の種類によって使い分けるようにしている。
この銃は基本的に単発系の物でしか使わず、拳銃やスナイパーライフルは集、ショットガンは散にしている。故にもしウルフ型の魔物にショットガンを放てば魔物は木っ端微塵になるだろうし、周辺の地面もちょっと抉れるだろう。
「貫通力が高過ぎる気がするけど…まぁ銃ってそもそも貫通して殺す武器だし大丈夫か」
特に改良の必要性は無し。と言う事で色んな集中錬成武器を組み替えていく。
そして1番組み替えに悩んでいるのが…
「この大太刀、壊滅術付けるか…?」
そう、刃物系…それも大太刀なのだ。
純粋に切れ味が良くなる集でもいいし、強い衝撃を与える散でも良い。
ん?波?除外だね。火力は相当低くなるだろうし、その代わりに刀身が伸びるようになったとしても別にそこまで魅力を感じないのだ。
のび〜る剣はそこまで好きじゃないっていうのもある。
て事で人型用の大太刀は壊滅術・集を、龍型用の大太刀には散を付けることにした。付けないよりはつけた方がいいのだ…付けなかった場合は相当火力が落ちてしまうのだから。
「さてと、試し斬りをしたい所だけど…そもそもそこら辺の魔物じゃ切った感触すらないだろうしな…自分の外殻で良いか」
適当に外殻を空中に投げてそれを大太刀で切る。
スッと刃が通り、綺麗に外殻が二つに分かれる。…つまりは俺のステータスを突破して俺にダメージを与えれる程の性能らしい、この大太刀は。
「龍型も試してみたいけど…そもそも人の姿じゃ龍型の大太刀は振り回せないしな」
持ち手だけでも人の身長をゆうに超える大きさなのだ。ステータスの暴力で振り回す事は可能だけど圧倒的に扱いにくいと思う。
「まぁいいか、他の集中錬成武器でも試すかぁ」
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…ある程度試してみてるのだが、もはやここら辺の魔物が弱すぎて話にもならない。
元のステータスだけでもほぼほぼ無双出来ると言うのに、それに加えて壊滅術なんて物をつければ本当に軽く擦るだけでも殺してしまう。
「こりゃ試すなんて出来ないなぁ。さっさと聖国にでも言って暇潰した方がいいかぁ?霊印が起動する感じもないしな」
これらのスキルや武器達を試すにはそれこそ霊印が示す場所でないと出来ないだろう。現状あまりにもオーバーパワー過ぎるのだ。
て事で久しぶりの人の世の中も楽しみなのでさっさと走って行く事にする。
まぁ、ただ走るだけじゃ物足りないので所々に生えてる木々の幹を足場にして飛んだり、滑空したりしながら移動していく。
何か懐かしい気分になるなぁと思ったが、小学校の下校時に横断歩道の白線のみを踏む奴に似ている。
木々を飛び移りながら移動し、木のない場所に出れば高めに飛んで滑空しながら遠くにある木に向かっていく。ちょっとしたアスレチックみたいで結構楽しい。なんだか二段ジャンプやフックショットが欲しくなってくる。
そんなこんなで移動している内にどうやら人間が使う馬車道へと出たっぽい。伸びる方向的にもこの道が聖国へと繋がってるのだろう。
今の姿は龍人…ならばせっかくならこの道に沿って歩いてみるのも良いかもしれない。
にしてもある程度整備されてる道っていうのはやはり歩きやすい。龍の姿ならばそもそも足が大きすぎて気にならないのだが、やはり人の姿だと所々の凸凹で足が取られる可能性があるのだ。
そんな感じで歩いていると、一つの馬車が通り過ぎていく…そして一瞬馬車の中が見えたのだが、とても懐かしい姿が目に見えた。
(ん?あれは…レティか?あともう一人はルミナ・アンブラル…もう一人は知らないけどレティとルミナって知り合いだったのか?)
とまぁ、そんな事を考えていたら馬車が止まってルミナともう一人の女性が降りて来て、俺に警戒しながら近付いてくる…えっ、何かしたか?確かレティならまだしもルミナには身バレしてないハズなのだが…
と言うかレティと別れた時から結構姿も変わってるはずだし。
「ねぇ、ちょっといい…?貴方からとんでもない実力を感じるんだけど…何者?これでも私達は結構強いはずなのに…とんでもない強さを感じるの。貴方、この先で何もする気はないでしょうね?」
…わぁお、めっちゃ危険人物設定されてらぁ。
おそらくこの先の国で暴れたりしないかを確認したいだけなのだろうけど、凄い警戒されている。
んー、そこまで実力を示す様な動きをしてないはずなんだけど。
「黒い…龍人。ねぇ、貴方ってもしかして罪銀龍に関係のある龍人かしら?もし関係があるのならちょっと教えて欲しいのだけれど」
「…罪銀龍?何それ、聖銀龍の蔑称か何か?」
「そう…知らないのね。それは置いといて、こんな今までに感じた事のない実力…無名で居られるはずは無いのに、一体何者?」
そう言うはルミナ。いや、罪銀龍って何?もしかして俺の新しい二つ名的なのだったりするのか?そんなフィリアさんと対になる様な二つ名…ちょっと怖いんですけど。
なかなか警戒を解かずにこちらの様子を見ている二人を見てると、馬車からヒョコッとレティが顔を出してくる。ある程度時間が経っても小動物感は健在らしい。
レティがこちらをジーッと見て来て、頭にピコンっと!マークが出る様な表情をした後に、ちょっと小走りでこちらに向かってくる。
途中でそのレティに気付いた二人が慌てて止めに声を掛けるが、それを物ともせずに俺の元まで寄って来て、いろんな方向から見られる。
…何してるんだろうか、この子は。
「あの…もしかしてゼノさんです?」
「………よく分かったな、レティ」
本当によく分かったね…なんで分かったんだろうか。
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実はもうちょっと聖国編が進んでから再開させたかったんですけど…あまりにも道中で書くことが少なくてですね…?
大半の人は「もうちょっと経ってから再開してほしかった…!」って思うかもですけど、と言うか私自身もそうしたかったの…そもそもその予定だったんですよ…!
でも、本当に道中で書くことが無かったのっ!せめて聖国で別れさせるしか…だから許してくださいな、こんなすぐに合流させてしまったのを。
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